「爪痕を残したい」 「全力!脱力タイムズ」解説員・吉川美代子先生に聞く

「爪痕を残したい」 「全力!脱力タイムズ」解説員・吉川美代子先生に聞く

「解説はきちんと裏を取っています」


アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)がメインキャスターを務め、世界各地のニュースを独自の切り口で伝える『全力!脱力タイムズ』。報道番組のはずが、思わぬミスから脱線に脱線を繰り返し、ゲストコメンテーターの芸人たちがパニックになる光景ももうお馴染みである。



その「脱線」に一役買っているのが、有識者たちによる「全力解説員」の皆さん。今回は解説員のひとり・吉川美代子先生に話を聞きました。TBSで報道に携わっていた吉川さん、こちらの「報道」でもきちんと「裏」を取っているそうで……。





■別人格「解説員・吉川」になりきって


――最初に「解説員」のオファーを受けたときのことは覚えてらっしゃいますか?



吉川 こういう企画自体が初めてで、なんてユニークな番組だろうと思いましたね。これまでTBSの社員で30年近く報道をやっていた私を、フリーになったからといって起用する勇気もすごいなと(笑)。



レギュラー化する前、特番の頃から解説員として出演しているんですが、最初の頃は割と真面目に自分の専門分野について解説していたんですね。ただ、話の流れをわざと無視して「○○と言えば~」と強引に解説しちゃう。そうしたら、番組を見た方の中には「あまり見当外れなことを言うな」と批判されている方もいたんです。当時はまだ番組の趣旨が理解されていなかったんですね。



――解説員の役割もどんどん変わっていきましたよね。



吉川 「こいつら、やれと言われればやるんじゃないか」とバレてしまって(笑) ただ、有田さん自体が「アリタ哲平」としてキャスターになりきってやられているので、私たちも「全力解説員」という別人格になりきれるんです。吉川美代子本人ではなくて、「全力解説員・吉川」というキャラクターで出ていられるので、平気でいられるのだと思います。



……だから他の番組で素の有田さんと会うと、お互いなんだか気恥ずかしいんですよね。 出口先生や岸先生も、ここで慣れちゃったので、どこで会っても「出口先生」「岸先生」って呼んじゃいます。



出口先生とは12、3年前に防犯関係のシンポジウムでご一緒して、そのときからお話がお上手で面白い方だなと思っていたんです。でも、ここまでユニークな方とは……。そうそう、出口先生は噺家の三遊亭小遊三師匠とご親戚なんですよ。



――え!そうなんですか!?



吉川 私、TBSの新人だった頃にラジオで小遊三師匠と4年間お仕事をしてるんです。去年でしたかね、小遊三師匠に会ったときに「出口がいつもお世話になってます」って(笑)。世間は狭いなと思いました。やっぱり、出口先生はお笑いの素質があるのかもしれませんね。


■解説はきちんと「裏取り」をしています


――元々、吉川先生は報道番組に携わっていたわけですが、バラエティ番組に出演するにあたり、どんな部分に違いを感じますか?



吉川 報道は、実際に起きてしまった出来事を正確に伝えます。逆にバラエティは作り物の世界。必要とされる頭の中の領域が違うように感じますね。報道の生放送の緊張感と、バラエティの収録の緊張感は、また別物ですし。



ただ、別物とはいえ、報道番組できちんと情報の裏を取るのと同じように、この番組でも私はきっちり論文を調べたりした上で解説しています。他の解説員の方々も、変なことはするけども、ちゃんと正しいことを言っているんですよね。



――吉川さんに報道番組のイメージがある方は、『脱力タイムズ』を観て驚かれるかもしれませんね。



吉川 TBS時代は報道局にデスクがありましたけど、当時は報道以外に「倫理委員会」のメンバーにも入っていたんです。各セクションから部長クラスが集まって、問題になりそうな番組をVTRでチェックしたりして。「アナウンサーにこんな仕事をさせてはいけない」とか「深夜だからってこれは」とか、イエローカードやレッドカードをプロデューサーに出す役割だったんですよ。



その私が、今こういう番組をやってる(笑)。ところ変わればというか、郷に入っては郷に従えというか、なんというか……。



――では、本業に影響などはありますか?



吉川 特に無いです(笑)。講演会で日本全国行くんですけど、地方でも「見てます」という声がとても多くて。若い方もいれば、70代の方もいらっしゃいます。



この番組って、見始めると「何これ?」と思っている間に、40分があっという間に終わっちゃうじゃないですか。でも、次も同じ手を使うわけじゃないですよね。どんどん変化していくから、また見たくなるんじゃないでしょうか。常にチャレンジ精神を持って、取り組んでいる番組だなと思います。


■アリタさんが言葉を失う一言を


――これから先、解説員としてやってみたいことなどはありますか?



吉川 そうですね……アリタさんがびっくりして言葉を失うような、台本に無い一言を言ってみたいなと。



――アリタさんはどんな流れになっても軌道修正していきますよね。そこを突き崩したいと?



吉川 今まで二回、それがあったんです。一回目は、ゲストの若い俳優さんが猫について何か言ったとき。私が猫好きなので、アリタさんが「吉川先生、どうですか?」って振ったんです。台本に無かったので、とっさに「ニャオ?」と答えたら、それから私がニャオニャオ言うのが結構続いて……。ゲストの俳優さんもノってくれて、お互い「ニャオ?」「ニャオ」って返したりとか。



――それから先、何回か「ニャオ」のくだりありましたよね(笑)。



吉川 二回目は、占い師のユミリーさんが出演して「ピンクがとてもいい」という趣旨のことを言ったとき。これも台本に無い流れなんですけど、アリタさんが「吉川さん、やっぱりピンクはいいんですね」って聞いてきたから「そうですね、ちなみに今日私はピンクの下着をつけてます」って返したら、アリタさんがなにかにつけて「ピンクの下着」って言うようになり(笑)。番組最後の締めまで「ピンクの下着が……」でしたから。



――では、またそういう爪痕を残していければと。



吉川 はい(笑)


取材・文=井上マサキ


■番組情報


『全力!脱力タイムズ』


<放送>



毎週金曜 23時〜


<出演>



【メインキャスター】

アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)


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