全力解説員・岸博幸先生に聞く「全力!脱力タイムズは日本一の優良企業」

全力解説員・岸博幸先生に聞く「全力!脱力タイムズは日本一の優良企業」

「大企業のトップにこそ観てほしい」


世界各地のニュースを独自の切り口で伝え、予想もつかぬ展開でゲストコメンテーターの芸人を翻弄する『全力!脱力タイムズ』。メインキャスター・アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)と共に、番組を支えるのが有識者たちによる「全力解説員」だ。



専門分野について真面目に解説したかと思えば、芸人にダメ出しをしたり、寸劇を演じたりと、真顔で”悪ふざけ”を繰り出す解説員たち。その素顔を探るため、全力解説員のひとり・岸博幸先生に話を聞きました。「大企業のトップにこそ、この番組を観てほしい」と語る、その真意は……?





■この番組は日本に足りないものを持っている


――岸先生は特番時代から「全力解説員」として出演されています。周囲の反応はいかがですか?



岸 地方に講演に行くことがあるんですが、声をかけてくださる方ほぼ全員が「脱力見てます」ですね。回を追うごとに番組の人気が高まっていることを感じます。



私は今55歳なんですけど、番組からすごくいい勉強をさせてもらっていますね。元々役人なので、説明や討論はそれなりにやってきたつもりですが、固い話題を若い人にも聞いてもらうには、いかに楽しい要素を入れるかも大事なんだなと。



やっぱり、役人って話がつまらないですよ。長いし、わかりにくいし。強弱もオチもない。ところどころ笑いをとった方が気持ちよく聞けるんです。個人的にはこの番組に関わらせいただいて、すごく貴重な経験をさせてもらっているなって。正直、ギャラをいただくのも申し訳ないくらい(笑)。



――今年10月、番組は放送から100回を迎えました。ここまで番組が続いたことについてはどうお考えですか?



岸 ここまで続くとは思っていませんでしたね。最初のころ、解説員は真面目なことを言ってるだけだったんですけど、どんどんいろんなことをやらされるようになって……。



――もはやコントまでやられてますもんね。



岸 でも、これはまさに今の日本に足りない部分を示しているんです。日本経済が20年くらい沈滞していたじゃないですか。その理由は簡単で、民間がイノベーションを作り出してこなかったから。世の中の環境がどんどん変化していく中、それに適応してこなかった。ダーウィンの「進化論」で言えば、世の中の環境変化に適応したものだけが生き残るわけですから、単に賢いだけ、強いだけでは全然ダメなんです。



その中で『全力!脱力タイムズ』は常に進化を続けている番組です。MCのアリタさんは、企業でいえばトップですよね。トップが新しい方向を追求して、常に進化を止めない。解説員の僕達はそれにしがみついてるって感じなんですけど(笑)。これは「進化論」的にはすごく正しいし、結果的にそれはイノベーションにつながっている。さらに人気にも視聴率にもつながっているのではないかと。



大企業のトップの皆さんも、常に進化しイノベーションを作っていくということをこの番組から学んでほしいですね。政治家とばかり会ってないで、こういう番組を継続的に見てほしいです。





■テレビは空気感が大事


――岸先生は元々テレビはご覧になっていましたか?



岸 実はテレビを見ない人間なんです。せいぜいニュース番組か、NBA(米バスケットボールリーグ)が大好きなので夜中にやってたら観るくらい。バラエティはほとんど観ていなくて。



――ご家族はオンエアをご覧になることは?



岸 あります。妻は基本的には呆れています(笑)。子供はまだ小さいんですが、テレビの楽しい番組に出てる、というのが分かるみたいで喜んでいますね。妻は他の子の親から「脱力タイムズ見てるよ」と言われることもあるみたいなので、大事な番組なんだろうと思ってもらえれたらいいんですが(笑)。



――バラエティをほとんど観てないとのことですが、アドリブを返すなど、バラエティ番組への対応がとても慣れているように感じました。



岸 最初にバラエティに出演したのが、関西のやしきたかじんさんの番組なんです。そこでだいぶ鍛えられました。この番組にも50回近く出ていますが、まだまだ上手く対応できないので、終わるたびに毎回反省しています(笑) 自分なりにも進化をしないとな、と。



たかじんさんから学んだことのひとつは、テレビって空気感が大事なんだってこと。空気感がいいものは当然面白い。この番組も、トップのアリタさんやスタッフの頑張りで、スタジオの空気感がとてもいいサイクルを生んでいると思います。



いろんな会社に関わると分かるんですが、テレビだけでなく、面白い製品やサービスを出している企業ってオフィスの空気感がいいんですよ。例えばレストランだって空気感は大事じゃないですか。いくら美味しい料理が出ても、店員の態度が悪かったり、店の雰囲気が暗いと、何度も行こうとは思いませんよね。目に見えない部分ですが、番組の空気感の良さも、世の企業に学んでほしいところです。


■『全力!脱力タイムズ』は「日本一の優良企業」


――これから番組が200回、300回と続いていくためには、何が必要でしょうか?



岸 僕は今の延長線上で絶対大丈夫だと思います。間違いなく常に進化しているのがわかりますから。例えば、途中から『ミヤネ屋』(日本テレビ)にヒントを得て、ボードが登場するようになりましたよね。ボードの使い方もどんどん進化したじゃないですか。



――たくさん「めくり」を用意しておきながら、結局めくらずに終わったりします(笑)



岸 かつて野口英世は「日本人はパクリから始めて、それを独創にまで高める強い能力がある。これが日本人の非常にいい部分なんだ」という意味のことを言っています。まさにあのボードは、『ミヤネ屋』からパクって更に独創まで伸ばしたわけです。



高度成長期の日本人もこれをやっていたんですよ。例えばウォークマンは、元々あったテープレコーダーの技術から録音やスピーカーをそぎ落とし、独自の「ウォークマン」としての価値を生み出した。自動車技術も海外から入ってきましたが、燃費を上げたりサイズを小さくしたりして、日本車のブランドを作り上げた。日本人は「パクリから入って独創まで高める」という非常にユニークな能力を持っている。それを生かすのがイノベーションを作る道だと僕は思います。



結果的にこの番組はこうしたイノベーションを起こしているわけで、今のペースでどんどん進化を遂げていれば、なにも不安はありません。大企業が同じことをやれば日本はもっと強くなると思ってますので、そのためにも認知度が高まって、面白い以外の「凄さ」も伝わってほしいですね。『全力!脱力タイムズ』は日本企業の中でも一番の優良企業ですから。



――ではまさに「今が買い!」と。



岸 えぇ、株なら絶対上がっていきます!


取材・文=井上マサキ


■番組情報


『全力!脱力タイムズ』


<放送>



毎週金曜 23時〜


<出演>



【メインキャスター】

アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)


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