「生物進化に通じる番組」解説員・五箇公一先生に聞く【全力!脱力タイムズ】

「生物進化に通じる番組」解説員・五箇公一先生に聞く【全力!脱力タイムズ】

「笑いをこらえるのが大変なんですよ」





独自の視点でニュースを取り上げ、予想もつかぬ展開でゲストコメンテーターの芸人を翻弄する『全力!脱力タイムズ』。メインキャスター・アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)と共に、番組を支えるのが有識者たちによる「全力解説員」だ。



その素顔を探るため、今回は生態学者の五箇公一先生に話を聞きました。番組内では笑顔ひとつ見せずゲストに厳しいダメ出しをする五箇先生は、実はかなりのテレビっ子。「笑いをこらえるのが大変」なのだそうで……。


■番組を入口に、環境に関心を持ってほしい


――『全力!脱力タイムズ』に起用されたきっかけが『クローズアップ現代』(NHK)だとお聞きしました。



五箇 そうなんですよ。『クロ現』にこの格好で出たときに、ネットがざわついたんですよね(笑)。そこで番組からお声がかかって、わけもわからずフジテレビに来て、吉川(美代子)さんと出口(保行)先生の横に座らされて。お二人が段取りをいろいろ教えてくれるんだけど、さっぱり意味がわからない。でも、なにか振られれば僕もつい答えちゃうんですよ。そしたらいつのまにかレギュラー枠で。



――そのまま3年の月日が流れてしまいました。



五箇 こんなに続くとは思ってなかった。他の先生も「1クールぐらいならふざけてもいいかな」ぐらいの感覚で出てたはずですよ。半年経ったくらいかな、「さすがにこれは学者がやる仕事じゃないな……」と思って、プロデューサーに「辞めさせてください」と申し出たことがあるんですよ。そしたら「次のスペシャルは天海祐希さんが来ます」と(2015年7月3日放送)。大物じゃないですか!「これは最終回だ」と思って。



――こんな大物が来るわけがないと(笑)。



五箇 収録のとき、レギュラー陣みんなにポストカード(※五箇先生お手製の危険生物イラスト入り)を配って回ったんです。今日最終回でしょ?って言ったら、「勝手に終わらせないでください!」って(笑)。



――先ほど「学者がやる仕事じゃない」とのことですが、本業の方に影響は……?



五箇 いや、プラスに働いていますね。環境省の人も番組を見てますよ。我々がやってる環境科学や環境研究は、温暖化にしても外来種にしても、広く皆さんに問題意識を持ってもらいたいんです。僕自身を入口に、認知度が上がってくれたら嬉しいですよね。まぁ、結局ファッションしか見てないかもしれませんけど(笑)。テレビに出ても、ネットでは「あ、『脱力』のダニの先生だ」って書かれてますから。



――ネットの反応もチェックされてるんですか?



五箇 チェックしますよ。テレビを見ながらネットの反応も見て、ディスられても「うるせぇ」とか言いながら(笑)。それが楽しいんです。それでも、たまに「でも言ってることはまともだよな」って反応も出てくる。本来は環境に興味が無かった人が、僕の話を聞いてくれたわけです。そんな人が1%でも増えればいいですね。


■「『ひょうきん族』を見ないと死んじゃう」





――ご自身が出演した回のオンエアはチェックされますか?



五箇 します。自分がムッとした顔でポーンと出てくると笑っちゃう(笑)。すっかり笑わない立ち位置になりましたけど、芸人さんにダメ出しするときなんて、笑いをこらえるのが大変なんですよ。噴き出したら台無しですから。本当はすごい面白くて笑いたいんですけどね……。



――普段からテレビはご覧になりますか?



五箇 テレビが無いと死んじゃうぐらい、家ではテレビつけっぱなしです。こうやって出張している間も、ずーっと録りだめして、休日はひたすら見てます。高校生の時は『オレたちひょうきん族』を録画するためだけに、バイトでお金を貯めてビデオデッキを買いましたからね。山岳部に所属していたから、土日は山に登っちゃうんですよ。『ひょうきん族』を見ないと死んじゃうくらいの勢いだったから。



――めちゃめちゃテレビっ子じゃないですか……!



五箇 映画は『ゴールデン洋画劇場』で見たし、『カノッサの屈辱』とか深夜番組も見ていたし、フジテレビは子供のころからずっと好きでしたね。だから、こうして芸能人の方に会えると、また辞められなくなって……。でも全国ネットなので、さすがに最近はあちこちで顔バレするようになっちゃった。



――存在感がありますからね……。五箇先生は環境省にもそのファッションで行かれるんですか?



五箇 このまま霞ヶ関に行きますよ。元々は普通のファッションだったんですけど、2000年ぐらいかな、出張先で時間が余ったから、コムサのショップに寄ったんです。あそこ、真っ黒じゃないですか。試着させてもらったらビビッときちゃって。そこからすっかり惚れ込んで、クローゼットなんて真っ黒ですよ。他の人からは「なんで同じズボンを……」言われるんだけど、いやいや、僕の中では違うんだと(笑)



――サングラスもそのころから?



五箇 これは高校生の時から。山岳部で登山をする時にかけていたんですけど、高校生だからかっこつけたくて、下界に降りてもかけっぱなしにしてたんですよ。授業中もずっと。先生に怒られても懲りずにかけ続けた。それぐらい長い付き合いだから、もう外すと不安になりますよね。


■番組を続けるカギは「生物多様性」にある





――ワンクールで終わると思っていた『全力!脱力タイムズ』が100回を越えて長く続いていることについて、五箇先生はどう分析されますか?



五箇 僕は「生物多様性」を研究対象にしているんです。この地球上にはいろんな種類の生き物がいますよね。いろんな種類がいるからこそ、たとえ環境が変化しても有利になる種類が必ずいる。そうして進化を続けて、環境の変化に適応してきたわけです。『全力!脱力タイムズ』も生物の進化に通じるものがあって、進化を続けるからこそ続くんだなと。



――番組の展開が毎回違うのも「環境の変化」であると。



五箇 そう、一定じゃない。出ている自分すらも「こんな展開で来るんだ」ってドキッとしちゃう。ワンパターン化してないっていうのは凄く大事ですね。視聴者が常に新しい刺激を求めるなか、番組側も新しい刺激をどんどん作り続けようという姿勢が、長く続いている秘訣なんじゃないかと思います。



この番組はよく考えたら「コント番組」なんですよね。純粋に笑える番組も少なくなっているし、今コント番組って意外と無いんですよ。しかも、お笑い芸人がやるコントではなくて、我々素人も含めてコントをしている。そこに、何が起こるんだろうというドキドキ感や、期待や、予測不能性みたいな面白さがあるのかもしれませんね。出ている僕らも当日台本を見るまで何が起こるか全然わかりませんから。



――最後に、五箇先生が番組に呼びたい芸能人の方っていらっしゃいますか?



五箇 女優の稲森いずみさん。学生の頃から大ファンで、今でもずっとファンなんですよ。『刑事ゆがみ』にも出てましたよね。ちらっと番宣で来ていただけたら……。



――じゃぁもしまた五箇先生が辞めると言いだしたら、稲森いずみさんを……。



五箇 そうですね!それが一番ありがたいかもしれない(笑)。


取材・文=井上マサキ


■番組情報


『全力!脱力タイムズ』


<放送>



毎週金曜日 23時~


<出演>



【メインキャスター】

アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)


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