『ヲタクに恋は難しい』鈴木健太プロデューサーが明かす、アニメ化への軌跡

『ヲタクに恋は難しい』鈴木健太プロデューサーが明かす、アニメ化への軌跡

『ヲタ恋』はどのように発掘されたのか


■原作は累計発行部数550万超の大ヒット作!


2018年4月13日より、ノイタミナにて放送されているアニメ『ヲタクに恋は難しい』。著者・ふじた氏がPixivで発表し、現在もcomic POOLにて連載中の原作(同タイトル/一迅社)は、ヲタク同士の恋愛をコミカルに描いたことで話題となり、書籍化に至ったベストセラー・コミックです。現在5巻まで刊行されており、累計発行部数は550万部超の大ヒット作となっています。




(C) ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会


主人公は、重度のヲタクである桃瀬成海。前の職場でヲタクであることがバレて転職した成海は、新しい職場で重度のゲームヲタクの幼なじみ、二藤宏嵩と再会し、ヲタク同士で付き合うことに。さらに職場には有名コスプレイヤーの小柳花子やライトなヲタクの樺倉太郎らがおり、成海の会社生活は楽しいものへと。作中にはヲタクならではのネタやネットスラングも満載。読者から大きな共感を得ています。そして実現した、待望のアニメ化。今回はその立役者となった、株式会社アニプレックスのプロデューサー・鈴木健太さんにお話を伺いました。


■鈴木健太プロデューサーの熱い想いが、アニメ化を実現させた




鈴木健太プロデューサー


――そもそも、プロデューサーとはどういう仕事なのでしょうか?



「一言で言えない程、業務が多岐に渡るので、説明する際いつも悩んでしまうのですが、まずは企画の発起人と答えるようにしています。最初に『この企画をやりましょう!』と手を挙げた人という感じでしょうか。もちろん手を挙げて役目は終了、という訳ではなく、そこから企画実現に向けて、ほぼ全ての分野に携わります。」



――普段から面白いコンテンツを探しているのですか?



「そうですね。マンガだけではなく、小説、映画、ドラマ、バラエティ番組、ライブ、スポーツなど、ありとあらゆるエンターテインメントに常に触れるようにしています。元々そういったエンタメに触れるのが好きなので。触れながらどうしたら企画に活かせるかということを考えながら生きています」



――その多くのエンタメ作品のなかで『ヲタクに恋は難しい』をアニメ化したいと思った理由はなんですか?



「普段から一日一冊くらいマンガを買って読んでいて、そういうサイクルの中でこの作品は本屋さんでパッと表紙が目にとまったんです。それで読んでみたら、中身も非常に面白かったんですね。タイトルに『ヲタク』とありますが、『ヲタク』というのはあくまで作品の一要素でしかなく、メインで描かれているのは恋愛における気持ちの向き合い方や、関係性の難しさなんですよね。そういう部分を丁寧に描いている作品なので、それを映像化したら面白くなるんじゃないかと思い、企画しました」



――『次にくるマンガ大賞』の「本にして欲しいWebマンガ部門」の1位だったり、『このマンガがすごい!2016』でオンナ編の1位となり話題となっていましたね。



「僕がこの原作を知ったのは2巻が発売される少し前なんですけど、その頃からユーザー間ですごく盛り上がっていたんですね。めちゃめちゃ面白いという人や、反対意見の人、賛否両論巻き起こっていました。でもそういう状況も含めて面白いと思いました。反発する感情を巻き起こすということは、作品の強さがあるということだと思っているので」



――批判する人も、作品に興味があるということですよね。



「読んでみて、本当につまらなかったら何も言わないと思いますので。冒頭部分はふじた先生が趣味で書いてPixivというイラスト投稿サイトにアップしていたんですが、それが書籍化され、今では5巻で550万部という販売部数まで数字が伸びています。日本国内でここまで売れている漫画は数える程しかないので、素晴らしいことだと思います」



――アニメ化に向けて具体的にいつから動き出したんですか?



「2016年4月、コミックス2巻の発売直後くらいだったと思います。ふじた先生もコミックスの後書きに『目指せアニメ化!』とか書かれていたこともあって、お話を喜んでいただけたようで良かったです」


■『ヲタ恋』を育てたファンにも感動される、原作を生かしたキャラデザ&キャスティング





――アニメを見たファンの方の反応はどうですか?



「アニメのビジュアルを最初に露出した時、原作ファンの皆さんに好反応を頂けた時は安心しました。ふじた先生も喜んでくださっていたようですし。キャラクターデザインの安田京弘さんが、素晴らしい絵を描いてくれました」



――声優さんはどのように選ばれたのですか?



「アニメ化が決まる前から一迅社さんがマンガのプロモーションのためにPVを作られていたんですが、今回はそのPVに出演されていたキャストさんにそのままお願いすることにしました。原作ファンのみなさんにとっては、既にそのキャラクターの声=そのキャストさん、というイメージになっていましたし、みなさん非常に合っていたので、あえて変える必要はないかなと。アニメの収録用にキャストさんのスケジュールも確保できたので、PVと同じメンバーでのアニメ化が実現できました。初期からこの作品に注目していたファンの方からすると、PVのキャストさんがそのままアニメで演じていることを喜んでくださっているようで、そのようにして良かったなと思います」



――原作とあえて変えている部分などはありますか?



「メディアが変わるので、そういう意味での変化はありますが、本質的な部分であえて変えるという作り方はしていません。コメディパートとドラマティックな恋愛パートを切り分けつつ、どちらもしっかり描くという方向です。平池芳正監督が、原作の良さを引き出して、作品に描かれていることをきちんとアニメーション化するということをやってくださっています」



――OA後の反応はどうですか?



「作品を楽しんで好意的に受け止めてくださっている方、作品を見た上でもっとこうしてほしいとおっしゃっている方、様々な反応をいただいています。応援のお言葉も、厳しい叱責も受け止めさせていただいて、毎週の放送に向けて制作をしています。ただ、楽しんでくださっている声を聞くと、制作陣一同としてはやはり励みになりますので、そう思っていただけるような作品にしていきたいですね」



――海外の方にもウケていると聞きました。



「みなさん、Amazonプライム・ビデオなどで見てくださっているようですね。恋愛という普遍的な要素や、日本ならではのヲタクカルチャーなどがウケているのかもしれないですね。日本のファンも海外のファンも、主人公たちに自己投影して、ヲタクの恋愛の理想像として楽しんでくれているのかもしれません」


■社会現象を作り出すようなエンタメ作品を作りたい


――鈴木さんご自身はヲタク属性がある方ですか?



「自分にとってヲタクというのは、深い知識を持って趣味を突き詰めたすごい人、という印象なんです。なので、自分で自分をヲタクと名乗るのはおこがましいと思ってしまいます。でも他の人からみたらヲタクだと思われるかもしれませんね。小さい頃からアニメ等のエンタメが大好きで、中学生の時にはアニメのプロデューサーになりたいと思っていたので、夢が叶ってありがたいです」



――ご自身が一番影響を受けたアニメ作品はなんですか?



「『新世紀エヴァンゲリオン』ですね。小3の時にエヴァを見て衝撃を受けました。それまでもアニメは沢山好きで見ていたのですが、エヴァは、それこそグッズや映像商品を買ったり、コンテンツへののめり込み方が違いました。今の仕事につながる原体験だったと思います」



――かつてご自身が受けた衝撃を、今は視聴者に与える立場に立たれているわけですね。



「今はまだ、そこまでの自信も実績もありません。でももちろん自分がエヴァから受けたような衝撃を、与えられるような作品を送り出せれば、という思いで仕事をしています。それこそ社会現象を巻き起こすようなエンターテインメント作品を作りたいです。『ヲタ恋』がそういう作品になったらうれしいですね」





――原作ファンの方、アニメファンの方にメッセージをお願いします。



「原作が巻数を経るごとにどんどん面白くなっていくように、アニメも、話が進んでいくにつれ、どんどん面白くなっていきます。自分と同じように作品の世界の虜になってくれるといいなと思います。ぜひ原作・アニメ共々『ヲタ恋』を楽しんで頂けたら嬉しいです」



21日(木)の放送がいよいよ最終回。

残り2回の放送をお楽しみに!



取材・文=松村知恵美


■番組情報


『ヲタクに恋は難しい』


<放送>



“ノイタミナ”にて毎週木曜24時55分~25時25分

Amazonプライム・ビデオにて日本・海外独占配信


<出演>



伊達朱里紗/伊東健人/沢城みゆき/杉田智和/梶裕貴/悠木碧


カテゴリ