不朽の名作『BANANA FISH』完結から24年……悲願のアニメ化が実現した理由

不朽の名作『BANANA FISH』完結から24年……悲願のアニメ化が実現した理由

『BANANA FISH』瓜生恭子Pにインタビュー!


■原作は1985年に連載が開始された伝説の名作コミックス


2018年7月5日(木)より、ノイタミナにて放送が開始されるアニメ『BANANA FISH』。マンガ家・吉田秋生氏により1885年から1994年まで連載され、多くのファンを惹きつけた大ヒットコミックスです。連載終了から20年以上経った現在でも、根強い人気を誇っています。




(C)吉田秋生・小学館/Project BANANA FISH


主人公はニューヨークのストリートで生きるアッシュ・リンクス。不良少年のリーダーとしてマフィアのボスと対立しながら、「バナナフィッシュ」の謎を追います。そんなアッシュを支えるのが、日本から取材にやってきたカメラマンのアシスタント、奥村英二。まったく違う人生を歩んできながら、出会い、共鳴しあった二人が、過酷な運命に挑んでいきます。



作者である吉田氏が2017年に活動40周年を迎えたこともあり、そんな伝説的コミックスがついにアニメ化されることに。ご自身も作品の大ファンであり、『BANANA FISH』のアニメ化が念願だったというアニプレックスのプロデューサー・瓜生恭子さんにお話を伺いました。


■大好きな作品を多くの人に知ってほしい、プロデューサーの悲願が結実




瓜生恭子プロデューサー


――アニメのプロデューサーとはどういうことをされているんでしょうか?



「企画の立ち上げから、どういう作品にしてどう展開をしていくか、企画から製作、宣伝、商品化といったプロジェクト全体の責任者という位置づけになりますね」



――『BANANA FISH』をアニメ化するに至った経緯、きっかけについて教えてください。



「もともと原作の大ファンだったんです。アニプレックスに入社したときから、プロデューサーになって『BANANA FISH』をアニメ化したいと言っていたんです。それで制作の部署に異動になった時、すぐに企画書を書いて小学館にお話を持っていきました。今思うとその企画書も、なぜこの作品が好きなのか、こういう映像にしたい、といったような自分の思いを伝えるラブレターのような内容でしたね。これまで一度も映像化されていないので、難しいのかもしれないと思っていたのですが、なぜかOKが出て……。正直、出した本人が驚きました」



――今、なぜこの作品がアニメ化に至ったのでしょうか?



「タイミングでしょうか……。最初に企画書を作ったのは5年前くらいなんですが、2017年が吉田秋生先生のデビュー40周年ということもあったりして、いろいろな巡り合わせで2018年の今、放送にこぎつけることができました。私としては、自分が学生時代に出会って感動したこの作品を、今の若いアニメファンに知ってほしいという思いで作っています。このアニメをきっかけにこの作品に出合う人が生まれるといいと思いますし、この作品の素晴らしさを多くの人に伝えていきたいと思っています」



――原作は根強い人気を誇る作品ですが、プレッシャーや不安はありますか?



「プレッシャーはずっと感じています。自分自身がもともと大好きな作品ですし、そういう作品が映像化される時にファンの方が感じる不安などもよくわかるんです。連載が終了して時間が経っている分、ファンの方のなかでもより思い入れのある作品に成長しているでしょうし。それぞれの解釈もあるのでファンの方全員に認めてもらうことは難しいと思いますが、原作の大ファンの一人である私が感じている『BANANA FISH』の魅力が届けられればと思っています」



――原作のある作品をアニメ化する際に心がけていることについて教えてください。



「やはり原作が好きで、作品に対するリスペクトがあるからアニメ化したいと思うんですよね。当然、アニメとしてわかりやすくするために構成を変えたりすることはあるんですが、それは描かれているものの本質を伝えるために変更しているだけなんです。原作のよさをきちんと伝えることが何よりも大切だと思っています。自分が出合った素敵な作品を、アニメという媒体を通してさらに広げていきたいと思っています。アニメ化することで、原作の魅力に何かプラスαできるといいですね」


■アッシュと英二、二人の化学反応をリアルに映像化したい


――声優さんのキャスティングはどのように決定されたのでしょうか。



「メインキャラはオーディションで監督や音響監督と話し合って決めました。実は先に英二役が決まったんです。オーディションをした結果、英二の中にある包容力やアッシュの心の支えになれる優しさが感じられる野島さんに決定しました。アッシュ役の内田雄馬さんは、野島さんの声との相性や、普段はクールなのに英二に対して子どもっぽい話し方になるアッシュのかわいらしいところにリアリティが出せる人、ということで決定しました」



――80年代、90年代に連載されていた原作を、今の時代に合わせて変更している点はありますか?



「基本は持ち物や、服装、建物などですね。物語の展開は原作どおりで、描きたいものの本質は変わらないんですが、携帯電話やパソコンといった持ち物にあわせて展開が変わっている部分があります。この作品で『BANANA FISH』を知った新しいお客さんがお話に入りやすくするために、今の時代にあわせた変更を行って、現在の事実と齟齬がないようにしているという感じです。それは美術やアメリカ情勢などに関しても同じで、今回は脚本家の瀬古浩司さんも一緒にニューヨークにロケハンに行ったりしているんです。内海監督が危険な地域までどんどん入って行こうとして、ガイドさんに止められたりもしましたね(笑)。映像面でも脚本面でもリアリティを追求して、アッシュや英二がそこで“生きている”姿を描けたらと思います」


■吉田秋生氏の作り上げた『BANANA FISH』の世界に、プラスαの魅力を





――瓜生プロデューサーの考える『BANANA FISH』の魅力とは何でしょうか?



「本当にいろいろな魅力がある作品なんですよね。“BANANA FISH”とは何かという謎を追い求めていくサスペンスや、海外ドラマのような緊張感のある展開とか……。でも一番の魅力は、やっぱりアッシュ・リンクスという主人公のキャラクターだと思います。彼の生き様や、さまざまな試練に立ち向かっていく、決して折れない心。そして、そうやって険しい道をすすんでいくアッシュを支える英二との関係性など、語り出すとキリがないです(笑)」



――原作は19巻にも及ぶ長編作品ですが、アニメではどこまで描かれる予定ですか?



「全24話で最後まで描きます。どこを抜いても成立しなくなるので、残すシーン、削るシーンを選ぶのも大変でしたね。ただ、瀬古さんが頑張ってくれたのと、内海監督のビジョンがはっきりしていて、まったくぶれないのでいい形でまとまったと思います。私は終始原作ファンの立場から『このセリフは変えちゃダメなんです!』なんて発言していましたね」



――最後に、見どころや注目点など、ファンの方にメッセージをお願いします。



「監督をはじめ、製作会社のMAPPAさんがすごくこだわって丁寧に絵作りをした、一話一話の密度がすごく濃い作品になっていますので、細かい描写の数々を見ていただきたいですね。吉田先生が生み出されたアッシュや英二というキャラクターの生き様をぜひ見届けてください。自信を持ってお届けできるフィルムに仕上がっています」



取材・文=松村知恵美


■番組情報


『BANANA FISH』


<放送>



7月5日より毎週木曜24時55分~25時25分(初回放送は25時~)


<出演>



内田雄馬/野島健児/平田広明/石塚運昇/古川慎/細谷佳正/川田紳司/福山潤/森川智之


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