『アウト×デラックス』の猫キャラ・柿沼しのぶが語る、人生を変えた瞬間

『アウト×デラックス』の猫キャラ・柿沼しのぶが語る、人生を変えた瞬間

柿沼しのぶの知られざる半生とは


世の中の素晴らしきアウト人たちと送る、人間賛歌異色バラエティ『アウト×デラックス』。



当番組で「猫」といえば、誰しも同じ人を思い浮かべるのではないでしょうか。



猫耳をつけて、「柿猫だにゃー」と手を握りながらポーズをとる、柿沼しのぶさん。スタジオではその独特な世界観やツッコミどころ満載な発言に注目が集まりがちですが、今回は10月4日に放送される90分スペシャル収録時に湾岸スタジオにきていた柿沼さんにインタビュー。



今までの人生から、『アウト×デラックス』に出演したことによる変化などを伺いました。





■人の輪に入れなくて、自分の世界が好きだった


番組収録前、ご機嫌で現れたのが猫耳をつけた柿沼さん。部屋に入るなり、「どうも、柿猫だにゃ〜」といつものポーズで挨拶をしてくれました。「今日は、尻尾ももってきたんですよ」と、耳とお揃いの尻尾をつけて、席に座ります。「半生について聞かれると言われていたので、覚悟してきました」。



柿猫さんの幼少期については、「あまりいい思い出がない」のだそう。



「とにかく、保育園に行きたくなかったですね。お母さんがピアノの先生をしていたから預かってもらわないといけないんだけど、とにかく嫌で『行きたくないよーー!』って叫びながらキティちゃんの靴を放り投げて……」



保育園に行きたくなかった理由を訊ねると、「30年以上前のことですからね」と首をかしげます。「いじめもなかったし、先生も普通だったし。でも、人の輪に入れなかったんですね。それでいつも自分の世界に没頭していて、先生から呼ばれても気づかない。だから『しのぶちゃんは耳が悪いんじゃないか』なんて言われたこともあったくらいですよ」



保育園はあまり行かず、「小学校も楽しくなかった」という柿沼さん。勉強が苦手だったこともあり、小学校は苦痛だったのだそう。



「でも、教育実習の先生が来たときはオアシスでしたね。手紙書いたら返してくれるし、毎日先生の家に電話したりして。アイスクリームとかお誕生日プレゼントもくれて、あのときは本当にオアシスだった」



教育実習の先生のどこがそんなに柿沼さんにとって魅力的だったのでしょうか。



「あの先生は差別しなかったから。欠点があっても怒らなかった」



過去を振り返りながら、柿沼さんはこう続けます。



「きっと先生もどこかで爆発してたんだろうな。だってあんなに怒らなかったら、なめられますよ」



唯一学校の科目で好きだったのは家庭科。中学を卒業したあとは、洋裁学校に通い始めます。



「あの学校では誰とも話が合わなかったですね。滑り止めで受けるような(やる気のない)子ばかりが来ていて、女の子しかいないから平気で下ネタとか言ったりして。またそこで孤立するから、自分の世界に入るんです。あの子たち、おかしいね、って」


■様々なアルバイトをしながらつかもうとする夢


洋裁学校を卒業後は、洋裁仕事の時給の低さからフリーターの道を選んだそう。派遣登録をして、路上でチラシを配ったり、試食販売をしたり、夜間の郵便局やマクドナルドなど、今まで経験してきたバイトの種類は多岐にわたります。



そして、追いかけていたのが、「歌手になる」という夢。幼少期から自分の世界を確立していた柿沼さんは、それを歌声で表現したいと思っていたといいます。





「高校生の頃から、歌手になるのが夢だったんです。当時から応募はしてたんですよ。最初に応募したのは、全日本国民的美少女コンテスト。ダンス教室通ったりもしたし、とにかくオーディションのチラシを見つけては応募して、はい残念でした、の繰り返し」



そんな過去があった柿沼さんですが、いまは形を変えながら、テレビで活躍する日々を送っています。現在の心境はどうなのでしょうか。



「親には、今まで苦労してきた分、自分に返ってきてるんだよ。感謝しなさい、って言われてます。番組は楽しいし、色々学ばされますよね。変わっている人たちを応援してあげようという趣旨の番組じゃないですか。出演してるアウトな人たちの話を聞いていても勉強になるし、アウトでも迷惑かけてないんだからいいんじゃない?って思うんですよね。よく考えたら」


■受かるとは思わず『アウト×デラックス』に応募


ご自身が「アウト」であると言われることについては、あまり気に留めていないといいます。そもそも柿沼さんはどのような経緯で『アウト×デラックス』に応募したのでしょうか。



「たまたまチラシで募集をみたときに、ピーンって直感があったんですよね。募集の条件には『この番組を好きな人』って書いてあったんですけど、正直番組を見たことがなくて、CMくらいかな。だから本当に軽い気持ちで、こんな大きな舞台に自分が立てるわけないだろうって思って応募したんです。そしたらオーディションに来てください、って」



この軽い気持ちの応募が、柿沼さんのその後を大きく変えることになります。



「オーディションは楽しかったですよ。車内販売をしていた思い出や、紙芝居のこととか、チャペルコンサートの話を30分くらいして、あー楽しかった!って思いながら、帰ったんです。そしたら、ゆりかもめに乗る直前に派遣事務所から電話がきて、『ヘアカラーの在庫はどうした?買い取りにしたの?』って。ああ、現実はこうだなって一気に引き戻されました」



その後、当時働いていた鶏肉の加工会社から「あなたは使えません」とクビにされてしまった柿沼さん。しかし、その数週間後、今度は『アウト×デラックス』から「番組に出演してください」と見事オーディションの合格連絡が届きます。



「今はアウトデラックスの出演を中心に、派遣会社で仕事をしています」



洋裁学校を卒業してから、様々なバイトをしながらもずっと歌手の夢を胸にオーディションを探してきた柿沼さん。現在は歌手ではないものの、大好きな猫キャラになりきり、番組の人気者になりました。



フリーターというと、どうしても定職についていないといったネガティブな印象ですが、柿沼さんは違います。どのバイト時代の話を聞いても、それが鮮明な思い出として、「こんな学びがあったんですよ」と教えてくれます。



「マクドナルドでアルバイトしてたときが一番楽しかったなあ。はじめて友達ができたんです。深い関係とかじゃなくて、広く浅いような関係ですね。みんなで毎日馬鹿笑いして『あんたたちちょっとうるさいよ』なんて怒られて。地方から出てきた人、劇団員とかマジシャンとか、探偵の卵とか、ピアノ奏者とか、美術大生とか……、そういう仲間たちと大声で話して、本当に楽しくて」



世間一般の常識からちょっと外れた「アウト」な価値観だからこそ、自分なりの世界の楽しみ方を知っているのかも……なんてお話を聞きながら思ってしまいました。



「本当に、『アウト×デラックス』に救われました。小さい頃からみんなと違う生き方をしてきて、あっち行けよとか遊びたくないよとか言われ続けてきて……。でもだからこそこの番組に出てるんだ、って、そう思えるんです」



取材・文=園田菜々


■番組情報


『アウト×デラックスSP』


<放送>



10月4日(木)22時~23時34分 90分スペシャル

※通常放送は毎週木曜23時~23時40分


<出演>



矢部浩之(ナインティナイン)、マツコ・デラックス/ほか


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