新アニメ枠「+Ultra」スタート!「ノイタミナ」との違いはどこにある?

新アニメ枠「+Ultra」スタート!「ノイタミナ」との違いはどこにある?

「+Ultra」プロデューサーの狙いとは


2018年10月より、フジテレビに新しい深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」が誕生します。コンセプトは、「海外にアニメカルチャーを広げたい」。



この「+Ultra」で放映されるアニメ作品は、日本での放送と同時に、Netflixにアップされ、世界中で視聴可能。10月から始まる第1弾作品として、ナイアンティック社のゲームとコラボレーションした『INGRESS THE ANIMATION』が放送されることが発表されています。さらに第2弾作品として『revisions リヴィジョンズ』、第3弾作品として『キャロル&チューズデイ』も待機中です。



この「+Ultra」の仕掛け人で担当プロデューサーである森 彬俊さんに、新アニメ枠誕生の理由や今後の展開について、お聞きしました。




「+Ultra」担当プロデューサー・森 彬俊さん


■チームジャパンで全世界に届けるハイクオリティアニメ


――フジテレビの深夜アニメ枠としては「ノイタミナ」がありますが、なぜ新たなアニメ枠「+Ultra」を作ることになったのでしょうか?



2005年に「ノイタミナ」が始まって、今年で14年になります。これまでやってきたなかで、実感してきたことが二点あります。一つは、アニメのプレゼンスが上がってメジャー化してきているということ。今は多くの人がアニメを見るようになり、アニメ視聴者の目が肥えてきています。



もう一つは、今、国際的に日本アニメが再評価されているということです。ここ数年、NetflixやAmazon Prime Videoなどで、海外の方にも日本アニメを見てもらう機会が増え、評価が国際的に高まってきています。その二点を踏まえて、国境を越えて楽しんでもらえるアニメーションというジャンルで、全世界に日本のコンテンツを戦略的に届けたいと「+Ultra」の枠を立ち上げることになりました。



――「ノイタミナ」と「+Ultra」ではどのような違いがあるのでしょうか?



「ノイタミナ」はあくまでも日本の視聴者を意識した枠になります。「+Ultra」は日本だけではなく、海外の視聴者を意識したハイクオリティ、ハイエンド、ハイターゲットな作品を作っていきます。



――作品のクオリティも違ってくるのでしょうか?



たとえば、第1弾作品の『INGRESS THE ANIMATION』、第2弾作品の『revisions リヴィジョンズ』はフルCGアニメとなります。フルCGはコストがかかるので、TVアニメには、なかなか取り入れづらい。しかし「+Ultra」では世界のマーケットでの展開のため収益スキームも変わり、予算規模も変わってきます。



――作品の内容やテーマに関しても違ってくるのですか?



たとえば「ノイタミナ」で放送された人気作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などは、とても日本的な作品ですよね。もしかすると、海外の視聴者には「日本の一地方の物語でしょ」と最初から選択肢に入れてもらえない可能性もあります。だから「+Ultra」ではファーストインプレッションをフラットにできるよう、世界中の人々が自分のこととして捉えられるような物語を作っていきたいと思っています。


■世界ターゲットだからこそ、アニメ制作体制にも変化を





――これまでとは収益スキームから制作体制まで変わってくるのですね。



今、日本では1クールに作られるアニメの数がすごく増えているんですが、アニメーターの数が増えているわけではないので、一人のアニメーターが短期間で多くの量をこなす必要があるんです。需要と供給の関係がパンクしているんですよね。我々としては、この「+Ultra」は適正なコスト、適正な時間をかけてハイクオリティなコンテンツを作っていく枠にしたいと考えているんです。



――それはアニメ制作の現場スタッフにとってもうれしい話ですね。



きちんとした制作期間をとって適正なコストを払い、クオリティの高いアニメを作っていく。そしてその作品を、放送やネット配信などたくさんのウィンドウでより多くの視聴者に届け、きちんと評価してもらう。我々放送事業者がそういうサイクルを作っていくことが重要だと思っています。そのサイクルができていけば、日本アニメのプレゼンスもさらにあがり、現場にも還元できるのかなと。



――アニメ業界のスキームをガラッと変えてしまう可能性がありますね。



後々、この「+Ultra」枠が日本のアニメ制作を変える転機になったと言われるようになるとうれしいですね。日本アニメの制作現場は伝統工芸のようなところもあって、ハイクオリティな作品を海外に比べて安いコストで作ることができるんです。でも、そこに甘えるのではなく、きちんとした収益構造の元に、現場にも還元できる体制を作っていきたいですね。高い技術を持つ日本のアニメ制作会社と一緒に、チームジャパンで世界と向けて戦っていけるようなクオリティの高いアニメを作りたいと思っています。



――これは期待が高まりますね。各国の言語へのローカライズはどうされていくのでしょうか?



今回、配信プラットフォームとしてNetflixさんと一緒にこの枠を展開していくわけですが、Netflix上では、各コンテンツに24言語の字幕と8言語の吹き替えを用意して全世界で配信をしているんです。フジテレビだけではそこまでの多種多様なローカライズは難しいけれど、Netflixさんと組むことで、これだけのローカライズが可能になるのです。日本ではフジテレビが放送という形で作品を届け、日本以外の国に関しては、Netflixさんのインフラとローカライズの力を借りて、全世界配信を行っていきます。


■ゲーム連動イベントなど、シームレスな多次元展開も




©『イングレス』製作委員会


――第一弾作品に『INGRESS THE ANIMATION』を選ばれた理由を教えてください。



『INGRESS』はナイアンティック社が2013年に作った位置情報ゲームで、既に多くのユーザーやファンがいるワールドワイドなコンテンツだというのが、もっとも大きな理由ですね。実はフジテレビがナイアンティック社に出資している関係もあって、アニメ化できないかという話は以前からあったんです。それで「+Ultra」枠のプロジェクトが立ち上がった際に、一気に話が動き始めました。



――ゲームと連動したイベントなどは企画されているのでしょうか?



はい。アニメの中で起きている事象をゲームとリンクさせるという仕掛けを考えています。アニメで起きているような事件がゲームの中でも起こり、アニメを見ながらゲームの中で事件解決を目指せるようになります。



――お話をお聞きしていると、この「+Ultra」はまさに日本と海外、テレビとネット、テレビとゲームをシームレスにつなぐ、いろいろな意味でボーダーを越えていく枠だという思いが強くなりました。最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。



この「+Ultra」ではハイクオリティで全世界の視聴者が楽しめるような作品を作っていきたいと思っています。これまであまりアニメを見たことがないという方が見ても、日本のアニメってこんなに面白いんだ、こんなにクオリティが高いんだと、感じてもらえるはずです。日本のアニメ技術を活かし、チームジャパンで世界的なムーブメントを作っていきたいと考えていますので、ぜひご期待とご視聴をお願いいたします。



取材・文=松村知恵美


■番組情報


新アニメ枠「+Ultra」


<放送>



毎週水曜24時55分~25時25分


<出演>



第1弾アニメ『INGRESS THE ANIMATION』

中島ヨシキ、上田麗奈、喜山茂雄、緒方恵美/ほか


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