TVアニメ「 はねバド! 」総括 青春ならではの葛藤をストレートに素晴らしい作画で表現しきった作品!
メジャースポーツを扱ったアニメは数あれど、「バドミントン」という題材を扱ったアニメはなかなかないのではないだろうか。
よく最速の球技といわれる卓球だが、初速に限っていえばおそらくバドミントンの比ではないだろう、16枚の鳥の羽で作られたシャトルはプロのバドミントン選手のギネス記録の初速は500km近いスピードでスマッシュを叩き付けてくる。
白いネットを挟み、コート上でシャトルが縦横無尽に舞いながら次の一手、次の一手と心理戦を繰り広げながら行われるスポーツ・バドミントンを扱った本格的なアニメ「はねバド!」
本作は、バドミントンを主軸にスポーツとはなにか、才能とはなにか、青春時代ならではの葛藤と苦悩、そしてガチなバドミントンの描写を描いた作品だ。
主人公の荒垣なぎさと羽咲綾乃。まったく違う境遇の二人が出会い、競い合い、勝利の先になにを見るのか…。
このページの目次
1 素晴らしい表現力の試合描写2 テーマと物語性3 原作とストーリーについて4 TVアニメ「 はねバド! 」総括!!
■素晴らしい表現力の試合描写
画像引用元:©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
とにかくまずはこれに触れておかねばならぬでしょうか。
モーションキャプチャーでも使ってるのかと思うくらいに、ぬっるぬる動くだけでなくきっちりとバドミントンの試合の動きに忠実で、体の動かし方や膝の使い方とかラケットの動き、細かいところまで意識して作られているという印象でした。
実際に一流選手の動きをロトスコープしているらしく、作画枚数を増やしてでも動きに重点を置いています。
時にはカメラをグルグル動かして、縦横無尽なシャトルの動きまで再現してて、それだけで作品に引き込まれてしまいますね。
試合描写もめちゃくちゃ気合い入ってましたが、練習風景とか些細なところまで、すげー作り込まれてて、素晴らしかったです。
バドミントンの熱さ、競技性としてのバドミントンの良さは十二分に表現できていたのではないだろうか!!!
というかね筋肉の作りこみまで、もう細かく見どころが満載で素晴らしいのよほんとに!!
■テーマと物語性
画像引用元:©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
1話のサブタイトルが「すっごい才能!」っていうことからわかるとおりなんですが物語のテーマでもあった「努力」と「才能」の対比。そして、「なんのために」バドミントンを続けるのか。
部活やスポーツを真剣にやっていた人間ならば一度くらいは味わったであろう、圧倒的な「力の差」。
同じチームの人間に…試合の相手に…ライバルに…。感じた力の差はそのまま「才能の差」に変換されてしまいますよね。
「あんだけ練習したのに」と自分を全否定された気分になって、あいつにはいくら練習しても追いつけない…そこからうまく自分を正当化しようと実力の差=才能の差となっていくわけです。
なぎさも同様に過去、綾乃に圧倒的な実力差を見せつけられ、綾乃に対してあいつ天才だった…と才能の差を感じてしまいます。
自暴自棄に近い形で仲間を遠ざけ自分を追い込み、結果としてオーバーワーク気味になってしまったわけですが…。
そしてその感じた才能の差はいつしか「あれ?なんでバドやってるんだっけ…」と、自分がスポーツをやっていた理由さえも曖昧にしてしまいます。
「どうせ練習したところで才能には勝てないし…」
これもきっとスポーツを一度でも本気で取り組んだ人間なら感じた経験のあることだと思います。
そんな「努力」と「才能」、悩み、そして挫折。そこからの復活。
まさしくドストレートな青春部活モノを描いているのがこの「はねバド!」という作品なんです。だからこそ青春を部活に捧げてきた人にとっては共感する部分が多かったのではないでしょうか。
そして、もう一つ描かれているのが「明と暗」もちろんそれはなぎさと綾乃を表現しているのですが…。
なぎさは挫折し「なんのためにバドミントンをやるんだ」と自問自答でふさぎ込んでいた時期に、支えてくれる仲間がいました。そのことで上手く負のスパイラルから脱することできた、いわば明の存在。
一方で、綾乃もコニーに負けたことと、自分のバドミントンを続ける理由の一つだった母親に見限られたんだと感じ、「なんのためにバドミントンをやるんだ」と自問自答でふさぎ込んでしまいます。しかし、綾乃は最早自分には「存在価値がない」と思っており、自分に近づいてくる人間をあえて突き放す言動をとるようになります。まさしく暗の存在。
W主人公なのに、かなり明暗の差が出ていますが、コントラストの対比がしばしば映像や演出の中にも現れていたりと、よく見てみると非常に面白いところです。
綾乃は天才と称されることが多く、才能という言葉だけで片付けられがちですが、11話で健太郎と美也子が語っていたように、綾乃もまったく努力をしていなかったわけではなく、むしろ努力の積み重ねた結果なわけで、「努力」と「才能」をそのまま比較することは難しいことなんです。
そして、なぎさと綾乃は圧倒的に「体躯の差」があり、それはある程度先天性なものでもあると思います。
もしそういったフィジカルが「才能」と呼ぶならば、なぎさは才能があり、綾乃は才能に恵まれなかったわけで、そういったいろいろな切り口で「努力」と「才能」を描いて、さらにキャラの過去の背景を深く掘り下げながら描いているので、あの決勝戦がより映えるんです。
なにより、最終的に行き着く結論がお互い「バドミントンが心の底から楽しいから、そして相手に勝ちたいから!」という同じ理由なのも、また面白いポイントですね。
■原作とストーリーについて
まあよくギスギスしすぎだとか、原作改変とかどうとかって意見もあります。
確かに漫画版の序盤ってタイトル通りちょっと萌え漫画寄りというか、普通にみんなでキャッキャウフフがあったりする漫画で、大会が始まってから徐々に絵柄や綾乃ちゃんが変わっていく過程があるんですが、なぎさも最初からあんなにスランプで他人を遠ざけていたわけではないんですが。
まあそこは1クールアニメですからね、原作10巻分近くを丁寧にはどうしても描けないですから必ずどこかを端折るか、変な構成にならざるを得ないわけですよ。
ならばいっそ最初から熱血バドミントン路線で突き抜けたほうが清々しく見やすいアニメになったのかなという印象ですね。
原作ではあまり注目されていない海老名ら女子部員や男子部員にまでスポット当てているので、そのあたりはアニメできっちり描いていたなと思います。
ただ母親の性格だけは、マジで最悪な印象のまま終わってしまったな…という感がぬぐえないですね…。
それでもアニメだけ見てたら楽しめないかと問われればそれは違いますし、アニメしか知らない人はもっともっと原作を読んでほしいと思う。
■TVアニメ「 はねバド! 」総括!!
画像引用元:©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
バドミントンというアニメ作品としてはなかなかなかったスポーツを取り上げ、青春ならではの葛藤を全面に押し出した作品作り。
スピーディな頭脳戦の試合描写を12話きっちりと素晴らしい作画で描ききった素晴らしい作品!
欲を言えばもっと綾乃のキャラクター性を深掘りしてあの性格になってしまう過程をきちんと表現できれは原作ファンも納得だっただろうか。
TVアニメ「 はねバド! 」感想コラムのまとめ
はねバド! 各話も是非チェックして下さい!
第1話『スッゴい才能!』
第2話「運動の後の肉は格別ッス!」
第3話 「アイツは完璧だった」
第4話「私も今、迷子なんだ」
第5話 「一人じゃないよ」
第6話『最後の夏なんだもん!』
第7話 『あんな子、瞬殺してみせる 』
第8話 「 自分のやりたかったバドミントン」
第9話 「 なりたいのは〝友達”じゃない」
第10話『バックハンドの握りはこう』
第11話バドミントンが好きだから」
第12話『足を前に出しなさいよ!』
第13話『あの白帯のむこうに』
TVアニメ「はねバド!」総括–青春ならではの葛藤をストレートに素晴らしい作画で表現しきった作品!
(あにぶ編集部/Uemt)
よく最速の球技といわれる卓球だが、初速に限っていえばおそらくバドミントンの比ではないだろう、16枚の鳥の羽で作られたシャトルはプロのバドミントン選手のギネス記録の初速は500km近いスピードでスマッシュを叩き付けてくる。
白いネットを挟み、コート上でシャトルが縦横無尽に舞いながら次の一手、次の一手と心理戦を繰り広げながら行われるスポーツ・バドミントンを扱った本格的なアニメ「はねバド!」
本作は、バドミントンを主軸にスポーツとはなにか、才能とはなにか、青春時代ならではの葛藤と苦悩、そしてガチなバドミントンの描写を描いた作品だ。
主人公の荒垣なぎさと羽咲綾乃。まったく違う境遇の二人が出会い、競い合い、勝利の先になにを見るのか…。
このページの目次
1 素晴らしい表現力の試合描写2 テーマと物語性3 原作とストーリーについて4 TVアニメ「 はねバド! 」総括!!
■素晴らしい表現力の試合描写
画像引用元:©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
とにかくまずはこれに触れておかねばならぬでしょうか。
モーションキャプチャーでも使ってるのかと思うくらいに、ぬっるぬる動くだけでなくきっちりとバドミントンの試合の動きに忠実で、体の動かし方や膝の使い方とかラケットの動き、細かいところまで意識して作られているという印象でした。
実際に一流選手の動きをロトスコープしているらしく、作画枚数を増やしてでも動きに重点を置いています。
時にはカメラをグルグル動かして、縦横無尽なシャトルの動きまで再現してて、それだけで作品に引き込まれてしまいますね。
試合描写もめちゃくちゃ気合い入ってましたが、練習風景とか些細なところまで、すげー作り込まれてて、素晴らしかったです。
バドミントンの熱さ、競技性としてのバドミントンの良さは十二分に表現できていたのではないだろうか!!!
というかね筋肉の作りこみまで、もう細かく見どころが満載で素晴らしいのよほんとに!!
■テーマと物語性

1話のサブタイトルが「すっごい才能!」っていうことからわかるとおりなんですが物語のテーマでもあった「努力」と「才能」の対比。そして、「なんのために」バドミントンを続けるのか。
部活やスポーツを真剣にやっていた人間ならば一度くらいは味わったであろう、圧倒的な「力の差」。
同じチームの人間に…試合の相手に…ライバルに…。感じた力の差はそのまま「才能の差」に変換されてしまいますよね。
「あんだけ練習したのに」と自分を全否定された気分になって、あいつにはいくら練習しても追いつけない…そこからうまく自分を正当化しようと実力の差=才能の差となっていくわけです。
なぎさも同様に過去、綾乃に圧倒的な実力差を見せつけられ、綾乃に対してあいつ天才だった…と才能の差を感じてしまいます。
自暴自棄に近い形で仲間を遠ざけ自分を追い込み、結果としてオーバーワーク気味になってしまったわけですが…。
そしてその感じた才能の差はいつしか「あれ?なんでバドやってるんだっけ…」と、自分がスポーツをやっていた理由さえも曖昧にしてしまいます。
「どうせ練習したところで才能には勝てないし…」
これもきっとスポーツを一度でも本気で取り組んだ人間なら感じた経験のあることだと思います。
そんな「努力」と「才能」、悩み、そして挫折。そこからの復活。
まさしくドストレートな青春部活モノを描いているのがこの「はねバド!」という作品なんです。だからこそ青春を部活に捧げてきた人にとっては共感する部分が多かったのではないでしょうか。
そして、もう一つ描かれているのが「明と暗」もちろんそれはなぎさと綾乃を表現しているのですが…。
なぎさは挫折し「なんのためにバドミントンをやるんだ」と自問自答でふさぎ込んでいた時期に、支えてくれる仲間がいました。そのことで上手く負のスパイラルから脱することできた、いわば明の存在。
一方で、綾乃もコニーに負けたことと、自分のバドミントンを続ける理由の一つだった母親に見限られたんだと感じ、「なんのためにバドミントンをやるんだ」と自問自答でふさぎ込んでしまいます。しかし、綾乃は最早自分には「存在価値がない」と思っており、自分に近づいてくる人間をあえて突き放す言動をとるようになります。まさしく暗の存在。
W主人公なのに、かなり明暗の差が出ていますが、コントラストの対比がしばしば映像や演出の中にも現れていたりと、よく見てみると非常に面白いところです。
綾乃は天才と称されることが多く、才能という言葉だけで片付けられがちですが、11話で健太郎と美也子が語っていたように、綾乃もまったく努力をしていなかったわけではなく、むしろ努力の積み重ねた結果なわけで、「努力」と「才能」をそのまま比較することは難しいことなんです。
そして、なぎさと綾乃は圧倒的に「体躯の差」があり、それはある程度先天性なものでもあると思います。
もしそういったフィジカルが「才能」と呼ぶならば、なぎさは才能があり、綾乃は才能に恵まれなかったわけで、そういったいろいろな切り口で「努力」と「才能」を描いて、さらにキャラの過去の背景を深く掘り下げながら描いているので、あの決勝戦がより映えるんです。
なにより、最終的に行き着く結論がお互い「バドミントンが心の底から楽しいから、そして相手に勝ちたいから!」という同じ理由なのも、また面白いポイントですね。
■原作とストーリーについて
まあよくギスギスしすぎだとか、原作改変とかどうとかって意見もあります。
確かに漫画版の序盤ってタイトル通りちょっと萌え漫画寄りというか、普通にみんなでキャッキャウフフがあったりする漫画で、大会が始まってから徐々に絵柄や綾乃ちゃんが変わっていく過程があるんですが、なぎさも最初からあんなにスランプで他人を遠ざけていたわけではないんですが。
まあそこは1クールアニメですからね、原作10巻分近くを丁寧にはどうしても描けないですから必ずどこかを端折るか、変な構成にならざるを得ないわけですよ。
ならばいっそ最初から熱血バドミントン路線で突き抜けたほうが清々しく見やすいアニメになったのかなという印象ですね。
原作ではあまり注目されていない海老名ら女子部員や男子部員にまでスポット当てているので、そのあたりはアニメできっちり描いていたなと思います。
ただ母親の性格だけは、マジで最悪な印象のまま終わってしまったな…という感がぬぐえないですね…。
それでもアニメだけ見てたら楽しめないかと問われればそれは違いますし、アニメしか知らない人はもっともっと原作を読んでほしいと思う。
■TVアニメ「 はねバド! 」総括!!

バドミントンというアニメ作品としてはなかなかなかったスポーツを取り上げ、青春ならではの葛藤を全面に押し出した作品作り。
スピーディな頭脳戦の試合描写を12話きっちりと素晴らしい作画で描ききった素晴らしい作品!
欲を言えばもっと綾乃のキャラクター性を深掘りしてあの性格になってしまう過程をきちんと表現できれは原作ファンも納得だっただろうか。
TVアニメ「 はねバド! 」感想コラムのまとめ
はねバド! 各話も是非チェックして下さい!
第1話『スッゴい才能!』
第2話「運動の後の肉は格別ッス!」
第3話 「アイツは完璧だった」
第4話「私も今、迷子なんだ」
第5話 「一人じゃないよ」
第6話『最後の夏なんだもん!』
第7話 『あんな子、瞬殺してみせる 』
第8話 「 自分のやりたかったバドミントン」
第9話 「 なりたいのは〝友達”じゃない」
第10話『バックハンドの握りはこう』
第11話バドミントンが好きだから」
第12話『足を前に出しなさいよ!』
第13話『あの白帯のむこうに』
TVアニメ「はねバド!」総括–青春ならではの葛藤をストレートに素晴らしい作画で表現しきった作品!
(あにぶ編集部/Uemt)