『99人の壁』で起こるミラクルは「偶然の産物」 100ジャンルを選ぶ舞台裏とは

『99人の壁』で起こるミラクルは「偶然の産物」 100ジャンルを選ぶ舞台裏とは

千葉悠矢ディレクターを直撃


1人のチャレンジャーが己の得意分野を武器に、99人の相手と早押しクイズで対決する『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』。3回の特番を経て、遂に10月からレギュラー放送がスタートしました。





「パン」「ONE PIECE」「人骨」「偉人のお墓」「古畑任三郎」など、番組では多種多様なジャンルを持つ男女100人が揃います。番組では「あの人があのジャンルをブロックするなんて!」と、数々のミラクルが生まれてきましたが、その舞台裏はどのようになっているのでしょうか。『99人の壁』の裏側を、千葉悠矢ディレクターに聞きました。




千葉悠矢ディレクター


■100人の参加者をジャンルで「キャラ付け」


―『99人の壁』は昨年の大晦日に最初の放送があり、春、夏の特番を経てレギュラーになりました。特番時代のつくりから、レギュラー放送を意識して変更した部分はありますか?



千葉:

実は、夏の特番(8月15日放送)を制作する時点で、10月からのレギュラー放送開始が決まっていたんです。なので、夏の特番はレギュラーに向けた「テスト」ができる機会でもありました。セットを明るくしてみたり、問題形式を変えてみたり、人名ジャンル限定の大会を行ったり……いろいろ試したなかから、いいところを残してレギュラーへ、という感じです。



―参加者のジャンルを「立て札」で表したのも、夏の特番からでした。



千葉:

それまではセンターに立った人しか、挑戦ジャンルが分からなかったんですよね。集まった100人がそれぞれ何者なのか、なかなか表現しきれなくて。どうやって皆さんを「キャラ付け」したら……と考えたときに、やっぱりジャンルだなと。「ワンピースキャラの笑い方」というジャンルの人がいるとわかったら、視聴者も「何者なんだ!?」って気になるじゃないですか。これは本当にやってよかったですね。





―印象に残っているジャンルの方はいらっしゃいますか?



千葉:

やっぱりいますね……オーディションには基本的に全て出るようにしているんです。100人全員がどんな人かを説明できないと嫌なので……。例えば、「パン」は365日3食、すべてパンを食べている方だったりとか。「大学駅伝」はお子さんだったんですけど、○年○区の記録保持者は?と聞くと全部パッと返ってきましたね。「山本」はこの方が山本さんなんです。この番組のために「山本」にまつわる全ての物事を勉強されているという……すごいですよね(笑)。




11月3日放送回の回答者ジャンル一覧


なかには、オーディション中に挑戦ジャンルが変わる方もいます。「偉人のお墓」の方は、応募段階では全く違うジャンルだったんですが、100万円を獲ったら「趣味のお墓参りに行きたい」と言うんです。聞いてみると、あの人のお墓はあんな形で……と、どんどんお墓の話が出てくる。それでよくないですか!と(笑) 結局「偉人のお墓」で最終問題まで行ってましたね。



―オーディションで特に心がけていることはありますか?



千葉:

そのジャンルのどこに詳しいか、きちんと聞き出すようにしています。夏の特番での反省点のひとつなんですが、問題が難しすぎてチャレンジャーもブロッカーも答えられない、という場面が結構あったんです。



例えば、ジャンル「イチロー」では「イチローの父・母・祖父の名前を答えなさい」という超難問を出してしまいました。イチローに詳しいといっても、野球選手としてのイチローに詳しいのか、パーソナルな部分も詳しいのか、ちゃんと聞き出せばあの難問を出さずに済んだんです。



参加者の持ち味を最大限に活かすには、オーディションはただ合否を決める作業ではなく一人一人への「取材」なんだと改めて思いました。とはいえ、視聴者の方もある程度わかる問題にしなくてはいけないし、かといって簡単すぎると拍子抜けしてしまう。マニアックなジャンルの中で、ちょうど真ん中の難易度を探すのが大変ですね。


■MCの佐藤二朗さんには「あのままでいてほしい」


―佐藤二朗さんのMCは「慣れていない感じが逆にいい」という評判を聞きます。ただレギュラーで回を重ねると、これから司会が上達してしまうのでは、とも思うのですが……。



千葉:

そうなんです。長時間の収録ですし、回数をこなしたら二朗さんも慣れてきますよね。完全にルールを把握して噛まずに回すようになったら……やっぱり寂しいなぁという気持ちもあります。どこかでミスしてくれないかなと(笑) 二朗さんには本当に申し訳ないんですが、思いっきり段取りを間違えられても、カットせずに使ってしまうんですよ。「ごめん……」という表情とかやっぱり面白いですし、あのままでいてくださるといいなと……。





―二朗さんは編集についてコメントすることはあるのでしょうか?



千葉:「任せてるから」と一切口を出さないですね。「俺は何も知らないでやってる」と。実際、問題も答えも知らないまま進行されています。最初の特番のときは、プロフィールや問題を縮小して渡していたんですが、収録中は見る余裕がなかったみたいで。手元に問題文があるのに「全然意味わかんないんだけど」と、視聴者の目線でコメントされていました。じゃぁ逆に問題文を見せないほうがいいなと。



ただ、それはそれでハプニングもあって、ジャンル「マダガスカル」(11月3日放送)のときは、「この写真の植物はなんでしょう」というただのビジュアル問題だったのに、正解が出たあと「問題文を読み直してください」って言っちゃったんですよね。



―問題を読み上げる小坂さんに「これはビジュアルクイズです」と、たしなめられていました(笑)



千葉:

面白いですよね(笑) でも二朗さん、一度この番組に出場された方のことはよく覚えているんです。「この方は以前○○で出場されてます」とカンペを出しても「俺覚えてるんだよ」って感じですし。オンエアを見直しているのか、単に記憶力がいいのか……。参加者の方も、有名人に認識されるのはとても嬉しいだろうなと思います。これも二朗さんのすごいところですね。


■100人の座席はパズルのように決めている


―過去には「アガサ・クリスティ」の記念切手の問題を「切手」の方がブロックするなど、番組では数々のミラクルが起こっていますが、100人を選ぶ段階で「このジャンルの人はこのジャンルをブロックできそう」と考えることはありますか?



千葉:

いえ、ジャンルのかぶりは全く意識していません。100人100ジャンルが揃って、はじめて「こことここが似てるな」とわかる程度です。



問題は1回の収録で700~800問(1人5問+予備2問程度)を用意しますが、問題作成チームもジャンル同士のリンクはほとんど意識していないですね。ジャンルのリンクを意識すると、なかなか先に進めなくなってしまうので。



先ほどの「アガサ・クリスティ」と「切手」も、たまたまリンクしただけです。レギュラーになってからは、「安室奈美恵」の方がいる前で、「ONE PIECE」に安室奈美恵が答えの問題が出る、というリンクがありましたが、あれもONE PIECEの問題を作ってから「あ!安室奈美恵の人がいる」と気がついたほどです。





―なるほど。「ウシ」と「焼肉」など、似たようなジャンルの方がいるのは本当に偶然なんですね……



千葉:

ただ、座席の場所はかなり意識しています。問題が進むにつれて壁が立ち上がるシステムなので、「この問題の時はこの人がブロックするかも」と座席の順番は結構練っています。

例えば最近で言うと、ジャンル「プロ野球助っ人外国人」の1問目が「ヒゲが特徴的な助っ人外国人」を答えさせる問題だった時に1枚目に立ち上がる壁にはジャンル「ヒゲ」の方を配置したりとか。

座席表を考えるのは、パズルみたいでとにかく楽しいですね……。オーディションの時にポラロイドを撮らせていただくので、写真を貼りながら「この人とかぶってるのは……」と、北の壁1番から順番に考えていくんです。なかなか難しいんですが、たまにピタッとハマって会場がぐわっと盛り上がった時、すごく気持ちいいんですね。



―最後に、これからの『99人の壁』について教えてください。



千葉:

レギュラーになってやりたかったことなんですが、視聴者に「あの人に頑張ってほしい」と応援される参加者が生まれてほしいですね。「人骨」の人はいつ真ん中にくるだろうとか、「パンチパーマ」ってどんなクイズなんだろうとか、応援してきた人がブロックを成功させたときの「来た!」という高揚感とか、毎週見ることで楽しみが増えたらと思います。ゴールデンのレギュラーになっても、今の形式をとにかくブレずに続けるのが当面の目標です。



インタビュー・文=井上マサキ


■番組情報


『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』


<放送>



毎週土曜 19時~20時


<出演>



MC:佐藤二朗



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