『ウゴウゴ・ルーガ』のDNAから『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』ができるまで

『ウゴウゴ・ルーガ』のDNAから『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』ができるまで

下川猛チーフプロデューサーに聞きました


10月から放送がスタートした子ども番組『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』。2人の子ども「じゃじゃじゃ」と「じゃ〜ン」が、人工知能の「AIさん」と旅をしながら、さまざまキャラクターと出会います。CGを駆使した番組作りや、シュールなコーナーの数々に、かつてフジテレビで人気を博した子ども番組『ウゴウゴ・ルーガ』を思い出す方も多いのではないでしょうか。




左からAIさん、じゃじゃじゃ役の大野琉功くん、じゃ~ン役の竹野谷咲ちゃん


『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』はいったいどのように作られているのか?そして、『ウゴウゴ・ルーガ』との関係は? 下川猛チーフプロデューサーに、番組の舞台裏を聞きました。




下川猛チーフプロデューサー


■クセが強すぎて全部「ウゴウゴ・ルーガ味」になってしまう


ーー『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』が始まった経緯について教えてください。



下川:

元々、子供番組ありきの予定ではなかったんです。イオンとフジテレビが共同で知的財産(IP)を開発しようというプロジェクトが発足し、一緒にキャラクター開発しよう、という話からスタートしました。いくつか会議を重ねるなかで、「子ども番組を作り、これをきっかけにキャラクターを展開する」という方向性が出たんです。



このプロジェクトのターゲットは小学校低学年。フジテレビの子ども番組と言えば『ひらけ!ポンキッキ』ですが、この番組は4〜6歳くらいの未就学児向けなのでちょっと合わない。そこにちょうどハマったのが『ウゴウゴ・ルーガ』という番組だったんです。イオンの担当者さんの中にも当時番組を見ていた人がいて、「ウゴウゴ・ルーガみたいなものを作れたらいいね」とイメージを共有して、企画開発を進めていきました。





ーーキービジュアルや世界観をデザインした田中秀幸さん(フレームグラフィックス)など、スタッフの中にも『ウゴウゴ・ルーガ』に携わった方が並んでいます。



下川:

そうですね。監修には当時番組のスタッフだった石井浩二が入っています。あんなに話題になりましたけど、『ウゴウゴ・ルーガ』って実は1年半しかやっていないんです(1992年10月〜1994年3月)。平日に毎日放送があって、後半はゴールデンで生放送もあり、全力で走りぬいた番組だったんでしょうね。あの当時、どうやって「みかんせいじん」などのキャラクターが生まれたのか、企画の意図は何だったのかなど、貴重な話を聞かせてもらっています。



とはいえ、ほぼ8割のスタッフが今回のために集まった若いスタッフたち。当時のことを咀嚼しながら、「だいなしむかしばなし」「クレーンゲーマーつかみ」など、新しいものを作ろうとしています。「5時5分の社会科見学」などの実写のコーナーも、ウゴウゴ・ルーガには、あまり無かったものですね。



ただ……やっぱり『ウゴウゴ・ルーガ』の個性が強すぎて、ちょっとでも個性が強い調味料が入るとウゴウゴ・ルーガ味になってしまうんですよ。劇薬なんです(笑) それだけあの番組が凄かったということでしょうね。


■「謎の男」AIさんの正体は……?


ーー「じゃじゃじゃ」の大野琉功くんと、「じゃ〜ン」の竹野谷咲ちゃんを起用した決め手はなんだったのでしょうか?



下川:

300人くらいの子供のオーディションから、あの世界観にハマる子を、と選びました。竹野谷咲ちゃんは子役のキャリアがある一方で、大野琉功くんはテレビの仕事がほぼ初めて。二人とも同い年の小学1年生なんですが、女の子のほうがお姉さんな感じが番組にも出ているかなと。収録は朝8時からと早いんですが、子どもたちは元気ですよ。休憩時間は衣装を脱いで走り回っています(笑) 。声の出演の芸人さんもいらっしゃいますし、賑やかで楽しい現場ですね。





ーー「イケメンシェフ」の篠宮暁さん(オジンオズボーン)や、「オッス団長」の森田哲也さん(さらば青春の光)など、個性的なキャラクターや芸人さんがたくさん出ていますよね。



下川:

先にキャラクターがあって、それに合った声の芸人さんを探すようにしています。いろいろな声を出す「ユーチューババア」はモノマネが得意な梅子鉢の高田紗千子さんとか、腰の低い「テング課長」はオテンキののりさんとか。バブル用語を教える「バブリー先生」には、ベッド・インのちゃんまいさんにお願いしています。子ども番組なので、得意の下ネタを封じられて苦労されていましたが。



ーースタジオではどのように収録しているんでしょうか?



下川:

芸人さんが直接目の前にいると、子どもたちのリアクションが変わってしまうので、そこはキャラクターを一枚挟むよう工夫しています。ただ、距離感をつかむのが難しいみたいで、オッス団長は最初「オッス!」をやりすぎてしまって、子どもがおびえてしまったり……。回を重ねるにつれ、徐々につかんでもらっていますね。





ーー声の出演で気になると言えば、「AIさん」の声が「謎の男」なんですよね……?



下川:

これはですね……ご本人から「謎にしてほしい」と言われているんです。スタジオや楽屋の貼り紙も「謎の男」と書いてますし、社内でも正体を知る人は少ないんじゃないでしょうか。でも、そのくせ本人は結構アドリブも入れてくるし、よく聞くと正体がバレそうな発言もあるんです。それなのに「自分から言いたくない」(笑)。本人の気持ちが整ったら発表があるんじゃないでしょうか。


■ベテランと若手、古きと新しきを「ごちゃ混ぜ」に


ーー今後『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』でやりたいこと、展望などを教えてください。



下川:

せっかく短いコーナーをたくさん差し込める構成なので、もっといろいろな企画を試したいですね。情操教育の番組なので、読み書きそろばんではなく、空間認識や音楽、色彩などから子どもたちに刺激を与えていければ。ただ全てをいかにも「子ども向け」で揃える必要はないかな、とも思っています。子どもが自分で選ばないものを流すのも、テレビの役目のひとつですから。



あとは、若いクリエイターさんたちとも積極的に仕事をしたいですね。LINEスタンプやGIFアニメなど、ネットを中心に活動しているクリエイターと『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』という場所で一緒に遊べたらなと。SNSで面白い方を見けたら、声をかけたり、会いに行くようにしています。



石井が言うには、『ウゴウゴ・ルーガ』の時もそうだったみたいです。当時最先端のCGを使った番組制作とか、若手クリエイターからの持ち込みとか、新しい人やモノをどんどん吸収していたと。その精神は活かしておきたいですね。ベテランと若手、古きと新しきをごちゃ混ぜにした中から、新しいものが生まれればと思います。





ーー最後になるのですが……ガチャピンとムックは今後登場するのでしょうか?



下川:

そうなんですよね……ガチャピンさんムックさんもお忙しいみたいで……。 芸歴45年の大ベテランですから、1ヶ月前くらいからきちんとオファーを、と思ってるんですがなかなか……。でもいつか出ていただけたらと思うので、がんばって調整します(笑)。





取材・文=井上マサキ


■番組情報


『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』


<放送>



毎週土曜 4時52分〜5時22分


<出演>



大野琉功

竹野谷咲

AIさん



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