「一生懸命くだらないことを探していた」PUFFYが語る「さくらももこ」の魅力

「一生懸命くだらないことを探していた」PUFFYが語る「さくらももこ」の魅力

『ちびまる子ちゃん』出演!PUFFYに突撃


「回り続ける 地球の上で 急がば回れは のんき者だよ」

「インコがお喋り あら不思議 サンタのおじさん 夏はヒマ アンア~ アアア~ 何が真実」

「ヒントは波乗り 不安定 近所のロコモコ もういっちょ アンア~ アアア~ ふざけたキミの くちびる青し」



……これはアニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディング主題歌「すすめナンセンス」の一節。作詞はさくらももこさん。タイトル通り、ナンセンスな言葉が並ぶ歌詞を歌うのは PUFFYのお二人です。





そんなエンディング主題歌を歌うPUFFYが、今度はアニメの本編に登場! 年末に放送される『ちびまる子ちゃん もうすぐクリスマス!町内のど自慢スペシャル』で、中学生の大村あみと大村ゆみという役で出演することが決まりました。作中ではまる子との絡みはもちろん、お二人がのど自慢大会で歌う姿も。



今回はPUFFYのお二人に、ちょうど本編のアフレコが終わった直後にインタビュー。アニメ出演が決まったときの心境や、お二人が思う『ちびまる子ちゃん』という作品の思い出、そして、さくらももこさんという作家の魅力についてお話を伺いました。


■ザ・ピーナッツを歌うような中学生を演じました


――今回アニメ出演が決まって、どんなお気持ちでしたか?



吉村由美(以下、由美):決まったはいいものの、(情報解禁前で)誰にも言っちゃいけないから、内に秘めとかなきゃ、みたいな気持ちが強かったですね。



大貫亜美(以下、亜美):そうそう、言っちゃいけないからと思って、自分の中でずっとなかったことのようにしてました。聞いたときは、とにかく単純に、すっごく嬉しかったんですけど。



――もともとお二人はエンディング主題歌も担当されていましたが、やはり作品に対する想いは強かったのでしょうか?



亜美:そうですね。もともと本誌で読んでいたくらいだし……由美ちゃんも読んでたでしょ?



由美:うん、りぼん派。だからもう、これが言えるようになったら、とにかくみんなに自慢してやろう、って思ってます。





――実際今日アフレコしてみてどうでしたか?



由美:いやあ、難しかったですね。アフレコ自体は、やったことがないわけではなかったけど、いつもだいたい本人役だから大目に見てもらえる。ただ、今回は名前は一緒だけど、中学生という役どころで。



亜美:そう、しかものど自慢大会でザ・ピーナッツの曲を歌うような中学生ね。そこまで深く考えてやったわけではないですけど、のど自慢大会で実際に歌うシーンはけっこう悩んだし、何回も録り直したよね。



――誰もが知っている国民的な作品だと思うのですが、それに出演することに対するプレッシャーなどはあったのでしょうか?



由美:喜びの方が大きかったので、あんまり気にしてなかったですね。そういえば。



亜美:プレッシャーよりも親近感の方があったので、そこはあまりなかったかな。



――そもそも普段からプレッシャーって感じられないタイプですか?



亜美:……と思うでしょ?



由美:作戦だよね。



亜美:毎回ガチガチですよ、私たち。



由美:今日も現場ではけっこう緊張しましたよ。「ちょっとスタジオ暑いな」って思ったということは、緊張してるってこと。



亜美:台本が手にくっつくみたいな。



由美:めくりやすかったもんね。


■もっと早く仲良くなれば良かったね





――お二人に作品に対する特別な思いや印象的なエピソードなどがあれば伺いたいです。



亜美:私は一人っ子で、おじいちゃんおばあちゃんも早くに亡くしていたので、ずっと憧れで観てましたね。まるちゃんがお姉ちゃんと喧嘩してるシーンですら「なんか楽しそうでいいなあ」みたいな。逆に由美ちゃんとかはあるでしょ、こういう経験。



由美:うん、あるねえ。私は逆におじいちゃんおばあちゃんとずっと暮らしていて、お姉ちゃんもいたし、まさに自分がまる子みたいな立ち位置で。だから作品の細かなエピソードとかも、「わかるわかる~」みたいな感じで観てました。おじいちゃんに欲しいもの買ってもらったりとかして。



亜美:え~、そうなの! もっと早いうちに仲良くなればよかった。そしたら遊びに行けてたのに。もし自分に友蔵さんみたいなおじいちゃんがいたら、絶対にべったりだった。羨ましいなあ。


■さくらさんも民生さんも、くだらないけどキラリと光る一行があるんです


――PUFFYのお二人は、2017年からエンディング主題歌「すすめナンセンス」も歌っていますよね。さくらももこさん直々のご指名だったと伺ったのですが、どのような経緯で決まったのでしょうか?



亜美:私がもともと、さくらももこさんの「富士山」という本でご一緒させていただいたのがきっかけで、面識があったんです。その後、「小説すばる」で私の連載担当の編集者さんがさくらさんの元担当だということで、「久しぶりにお会いしたいな」と話したら食事の場を設けてくれて。久々に再会して、さくらさんの行きつけのイタリアンで飲んで食べておしゃべりしていたら、「ちょっと今考えていることがあって」と言われたんですよね。「もう一回『おどるポンポコリン』みたいな曲作りたいんだよね。亜美ちゃん由美ちゃんなら、あのバカらしい感じ分かってもらえると思うんだけど」というお話だったので、もうその場で私が「やるやるやる!」って前のめりになって、もちろん即決です。



――そこから実際にさくらさんが作詞されたものを見て、どう感じましたか?



由美:「え! バカらしい!」って感じ。ただ、「そういえば、私たち最近そういう曲歌ってなかったな」とも思ったんですよね。デビュー当初って、私たちが書いていたわけでないけど、変わった歌詞が多いですねっていろんな人に言われていて、さくらももこさんの「亜美ちゃん由美ちゃんならわかってくれる」というのはこういうことだったんだな、ってそこで気づいたんですよね。



――確かにPUFFYが初期に歌っていた、奥田民生さんの言葉遊びをしているような歌詞が思い出される印象でした。当時を思い出すような感覚もありましたか?



亜美:なんか久しぶりの感覚というか、こういう感じ忘れてたね、みたいなのはありました。真面目にくだらないことをする。それこそ奥田民生さんがそれをずっと目指していて、みんなで笑いながら真剣にやっていたんだけど。それを最近やってなかったな、って。歌詞ってこんなにふざけてよかったんだ、というのを再確認しましたね。



由美:織田哲郎さんとも初めてご一緒したけど、歌詞がヘンテコすぎるせいで、レコーディングもずっと和やかで楽しかったんだよね。



――ナンセンスな歌詞が光る曲とは対照的に、メッセージ性の強い曲や共感を集める曲もまた人気を集めやすいですよね。そういった曲に比べて、くだらない曲がもつ独特の魅力をお二人はどう捉えていますか?



由美:ああいうわかりづらい歌詞だからこそ、「こういう意味があるんじゃないの?」って裏をかいたり解釈したりする楽しさってあると思うんですよね。メッセージ性が強い曲と違って、それはそれでもちろんいいんだけど、「そのまんま」ではなくて、「自分で考える余地」みたいなのがある。あとは、歌ってる方も聴いてる方も不快な気持ちにならないっていうところはあるかな。



亜美:民生さんもそうだし、さくらさんもそうですが、ちゃんとくだらないんだけど、その中にキラリと光る一行みたいなのがあるんですよね。完全に支離滅裂なのではなくて、ところどころ「いいこと言ってるな」と感じるところが随所に散りばめられている。それって彼らにしかできないテクニックのようなもので、そういうところに着目してみると面白い気がします。


■さくらももこさんは、くだらないことを「一生懸命に」探していた





――「すすめナンセンス」という曲を作る際にさくらさんが「亜美ちゃん由美ちゃんならわかってくれると思う」という信頼を寄せていたお話が印象的でした。逆にお二人からさくらさんに「彼女ならわかってくれる」とシンパシーを感じる部分はありますか?



由美:なんだろう、でも「本気でふざけることが大事だと思っている」というところは近いのかな、って思います。適当にやるんじゃなくて、本気でふざけるんです。



亜美:「これってくだらなくない?」ってことですごく盛り上がるんだよね。楽しけりゃいいじゃん、みたいなゆるい部分もちろんあるんだけど、心のどこかで一生懸命にくだらないことを探している、というか。何かでひと笑いとっておきたい、みたいなところは三人とも貪欲だと思います。



――亜美さんはさくらさんとの交流も深かったと思うのですが、プライベートでもそう感じる部分はありましたか?



亜美:会ってないときとか、けっこうメールでやりとりをしていたんですけど、だいたいずっとお笑いの話しかしないんですよね、お互い。「この芸人面白かったよ」みたいに紹介し合う。それが、さくらさんはすごくアンテナが高くて、その芸人がブレイクするよりもかなり早い段階から見つけ出しちゃうんですよ。この人本当に忙しいのかな?って不思議に思っちゃうくらい。



――面白いことに貪欲だったんですね。さくらさんもそうですが、 PUFFYのお二人も、肩の力が抜けた雰囲気をもっているので「一生懸命」や「貪欲」という言葉が出てきたのは意外でした。本気でふざけている、というのも。



亜美:けっこう真面目に生きてるよね? 私たち。



由美:うん、真面目。



亜美:真面目にやってるんだけど、やってることがふざけてるだけで。取り組む姿勢はいつだって本気だし真面目なんです。病欠とか以外では、あまり休まないし、不意に連絡が取れなくなることもないし。結果ふざけているんですけど、気持ちとしては真面目……。ははは。むずいなあ。



――でもそういった「ふざけている歌詞」が幅広い人に聴かれたり、国民的に支持されているアニメのエンディング主題歌になったり、というのを考えると、意外とみんな心の奥底では自分もふざけたいという欲求をもっているのかな、とも思います。



亜美:まあ、ふざけた方が楽しいもんね。



由美:うん。



亜美:なんでみんなふざけないんだろう、って思うくらい。



――実際お二人のパフォーマンスを見ていても楽しいですし。



亜美:真面目にやっているんだけどね。



――そこは手を抜かない、と。



亜美:いや、手は抜く。気は抜いてないけど、手は抜いてます。これ、合ってますか?



由美:いや、私いま発言してないんで。責任とらないよ(笑)。



亜美:全部、頑張ってます。手も抜いてません!


■私たちも全力でさくらももこさんに応えました





――最後に、今回ご出演される回とエンディング主題歌について、ファンへのメッセージがあれば伺いたいです。



亜美:ご縁あって、主題歌だけではなくアニメにも出させていただいて、嬉しい限りです。老若男女楽しめる作品なので、 PUFFYを知らない世代にも届くといいなと思ってます。そして、「亜美由美いいじゃん」って思った方は、私たちの次のステップにつなげるためにも、ぜひフジテレビにご一報を(笑)。



由美:二回やったら、もうプロフィールに「声優」って入れたいね。



亜美:第二弾のオファーお待ちしてます。



由美:今までも、アニメのアフレコは経験があったけど、作中で、別のアーティストの曲をカバーする、というのは初の試みだったので、そういう意味では亜美由美の新しい一面を見ることができるのかな、と思います。



亜美:主題歌は、さくらももこさんが全力でふざけにかかってきたのを、我々も全力で応えた曲になっているので、一通りくだらないなと思って聞いてもらったあとは、歌詞を見返しながら「でも、さくらももこさんにしか書けない歌詞だよね」って噛み締めてもらえたら嬉しいです。





由美:主題歌、ね。ひとつ言いたいことがあって。



亜美:うん。



由美:ちょうど昨日、子どもがいる友達と一緒にご飯食べてたのね。そしたら彼女が「ずっと気になってたんだけど、ちびまる子ちゃんの主題歌歌ってるの、吉村?」って聞いてきて。



亜美:知らんかったの!?



由美:子どもが見てる横で、「なんか、PUFFYっぽい声だなあ」くらいで聴いてたらしい。だから、知らない人が多いと思うので、今一度声を大にして言いたくて。「すすめナンセンス」を歌っているのはPUFFYです、って。



亜美:『ちびまる子ちゃん』の主題歌を歌っているのは PUFFYだよ(笑)!



取材・文=園田菜々


■番組情報


『ちびまる子ちゃん もうすぐクリスマス!町内のど自慢スペシャル』


<放送>



12月23日(日)18時~19時


<出演>



TARAKO、屋良有作、一龍斎貞友、豊嶋真千子、島田敏、佐々木優子/PUFFY/ほか



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