叶姉妹とオタクカルチャーの必然的な親和性、「好きなことを楽しむという意味では、まったく同じ」

叶姉妹とオタクカルチャーの必然的な親和性、「好きなことを楽しむという意味では、まったく同じ」

 叶姉妹が発売した『ファビュラス 叶 コスプレアート写真集 FABULOUS COSPLAY WORLD』が話題になっている。ゴージャスなイメージの2人はこの数年、コミケに参加したり、SNSでコスプレを披露していることでも知られていたが、今回の写真集でもキューティーハニー、メーテル、綾波レイといったキャラクターのコスプレが、持ち前のプロポーションとも相まって高い再現率で収められた。「あくまでもコスプレイヤーではない叶姉妹が約半年以上かけアメージングでアーティな完成となりましたよ」(同写真集前書きより)とのこと。叶姉妹が取り組むコスプレの哲学とは? 2人にインタビューを試みた。



【写真】叶美香、グラマラスボディで『監獄学園』白木芽衣子を“完全再現” 写真集アザーカット



■衣装やポーズを真似るだけではなく、キャラクターを理解して上で内面からも表現



――もともとはブログやインスタグラムにコスプレをアップされてすごく話題になっていましたね。



【叶美香】たくさんのファンの方々から、このキャラクターのコスプレをぜひ見たいです!という熱烈なリクエストをいろいろといただき、ぜひお応えしてみたいという気持ちから始めました。



【叶恭子】知らなかったアニメのこともお勉強した上で、作品と作者の方、そしてその作品を愛するファンの方々にも敬意を払い、そのキャラクターを究極に再現できるかが自分たちのチャレンジと楽しみでもあります。皆さんが喜んでくださるのを、わたくしも美香さんもシェアする楽しさがクセになりました。



――今回の写真集のように1冊の本にしたい気持ちもあったんですか?



【叶恭子】特にありませんでした。SNSにはわたくし達の愛する大切な皆さんとのプレシャスな心の交流として、アップしております。だから、まとめようと思っていたわけではありません。いろいろなオファーをたくさんいただいておりましたが、(今回の発行元の)玄光社さんが「唯一無二の存在の叶姉妹さんでしかできない芸術性を前面に出して今までにない作品をぜひ創って欲しいです」と、コスプレをあくまでも美術館の芸術作品のように観てくださる方々の心を揺さぶり、次元を超える作品を創ることがわたくし達の感性にタッチしましたのでお受けいたしました。



――芸術的なコスプレ写真を作るうえで、大切にされたことは何でしょう?



【叶恭子】わたくし達が最も大切だと感じましたのは、自分自身の写真集でありながら自分自身が違うものを誠意と敬意をもって表現し、観てくださる方々の心が次元を超えて自由になって感動できるものを丁寧に作りあげる心してとりかからなければならないとても神聖でアーティなプロジェクトという精神性です。それから、わたくし達はコスプレに限らず、写真のシチュエーションやポージングにはいつもとてもこだわりがあります。キャラクターの衣装やポージングだけを真似るのでは表面的な薄っぺらいものになってしまうケースも。ですから、アニメを観たり作品を読み込んだり、きちんとキャラクターを理解した上で内面からも表現することを、とても大事に考えております。



【叶美香】私も限りなくそのようにしようと思っていますが、足りないところもたくさんありますので、姉が細かくプロデュースしてくれました。



【叶恭子】以前からリクエストがすごくたくさんありました初音ミクや綾波レイは、どうしても美香さんのスーパーグラマラスな体形ではとても表現しづらいものがありますので、特に気をつけました。初音ミクは着物を着る時のように胸を平らに潰して抑えましたが、綾波レイの場合は着ている服(プラグスーツ)自体が立体的なもので抑えようがなく大変でした。



――恭子さんのプリンセスシリーズのコスプレも素晴らしいですよね。



【叶恭子】私は8~9割が美香さんのコスプレでいいと思っていて、自分のはいらないとも考えていました。しかし、「ぜひ恭子さんの作品を少しでもいいので入れてください」と強く希望されましたので(入れました)。



【叶美香】以前からSNSでベルやオーロラ姫やマリーアントワネットのイラスト画が、姉にそっくりというツイートやコメントがすごくたくさんありました。姉がベルなどのコスプレをアップいたしますと「まるでそのものです!」という大絶賛のコメントをたくさんいただきました。「プリンセスシリーズをぜひたくさん再現してほしいです!」というリクエストが多くて、私のいろいろなタイプのキャラクターとはまた一線を画していますが、このご本の中でサラッと融和しているバランスは素晴らしいと思います。



――背景はシンプルなものが多いですね。



【叶恭子】背景がシンプルな分、皆さんがキャラクターに見入っていただけると思います。いろいろな背景を作ってみたりもしたのですが、最終的には作品の世界観を壊さないよう、あえてシンプルにいたしました。



■簡単そうに見えて難しい、写真集のポーズを真似るだけでエクササイズにも



――それぞれお気に入りの1作というと?

【叶恭子】すべてがお気に入りですが、最後にありますキャットウーマンは、完成度の高いキャットスーツでゴールドのフルオープンファスナーがとてもセクシーです。ピッタリとわたくしのボディのお肌にからみつく上質のエナメル素材のため着衣するのに15分かかります。いつもの「叶ポージングエクササイズ」のポージングのしなやかな筋肉を鍛える成果を存分に発揮したポージングやブーツはわたくしの普段からお気に入りのハイブランドのもので、17cmのピンヒールがよりシャープな印象を醸し出していると、わたくし達ならではの楽しみ方が出ています。



【叶美香】衣装は姉がとてもこだわって、1点1点かなり精密に作ったので、どれがお気に入りかというとすごく難しいです。ただ、白木芽衣子さんやドロンジョは私の性格とキャラクター的には真逆で自信がなかったのですが、姉に指導されて出来上がったものを見ると、とても完成度が高くなっていて出来上がったお写真を見てとても嬉しくなりました。



【叶恭子】白木芽衣子のポージングは、美香さんはサラッとやっていますが、かなり難しいものです。



【叶美香】キャットウーマンのポージングはアクロバット的、2次元的な難しさで、私には同じことはできません。姉はいつも「叶ポージングエクササイズ」で筋肉がしなやかに鍛えられていますので、アメージングなポージングをサラリとこなしておりますよ。プリンセスシリーズもあまり動きがないので、むしろ表現が難しいですね。姉はまるで本物のマリーアントワネットのような立ち居振る舞いでハッとするくらいでした。



【叶恭子】エクササイズの賜物です。20センチ近いピンヒールで、普通は立つだけでも大変だと思います。それでバランスを取るには、体幹がちゃんとしていないと。特に片足を伸ばして開脚して、お顔がちゃんと前を向いたポーズをキープすることは難しいです。



【叶美香】白木芽衣子さんのポージングもそうですね。



――マンガでおなじみのM字開脚を見事に再現していました。



【叶恭子】とても高いヒールのブーツで開脚するポーズは、なかなかできないですね。シャンプーもそう。特に座って足を交差するポーズは、ご自身で鏡を見てやっていただいたら絶対同じ形にならないと思いますよ。この写真集を買っていただいた方の面白い楽しみ方として、ポージングを真似していただくと、とても筋肉が引き締まり、ほどよいエクササイズになりますが同時にどれほど難しいかもわかります。ポージングエクササイズが体幹をとても鍛え、筋肉を引き締め、美しいプロポーション作りにも役立つということです。この写真集はエクササイズ本にもなりますので、やってみてはいかがでしょうか。



――叶姉妹のイメージとオタクカルチャーというと、一般的に見たら対極に位置するようにも感じますが、お2人自身には当初、遠いものという感覚はありませんでしたか?



【叶恭子】まず、わたくし達は人様に対して世の中で言われているような偏見かもしれない考えを持ってみることがありません。そして、当たり前のことですが人と人の関係性に何か分け隔てなどの位置づけなどカテゴライズすることもありません。ですので、"遠いもの"という質問がピンとこないのですが。強いて言うならば、ごく自然にいままで知らずにいた新しい世界にワクワクしながら自然と溶け合ったと感じます。ちなみに、"一般的に"という考え方は、わたくし達はむしろ違和感を感じます。なぜなら、わたくし達は常に世界から日本を観ており、世界中の広いさまざまな観点からいろいろなことを考えているからです。オタクというカルチャーは今や世界的なものですし、自分たちとかけ離れたものとして見たことはありません。ですので、この質問すら不思議な気持ちになります。好きなことに対して情熱を持って心から楽しんでいるというピュアな心は、わたくし達と全く同じと感じます。



――今後もオタクカルチャーと触れ合っていくのですか?



【叶恭子】コスプレにしても、私たちは"オタクカルチャー"と思っているわけではないのです。私たちがしたい、見たい、そしてシェアする喜びの気持ちがあるだけで、何か別物だと捉えているのではなく、シンプルにフラットに例えば「そこに行きたいから行く」ということです。



取材・文/斉藤貴志
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