『はじこい』人気を支える、ファンタジーと生身の魅力が共存する横浜流星、永山絢斗、中村倫也

『はじこい』人気を支える、ファンタジーと生身の魅力が共存する横浜流星、永山絢斗、中村倫也

 鈍感アラサー女子を巡って、3人のイケメンが恋のバトルを繰り広げるラブコメディ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)が好調だ。オリコンの満足度調査「ドラマバリュー」では、今期最高ポイントを記録。イケメン3人の胸キュンシーンが毎回盛り込まれるため、放送後のSNSの人気ワードには、“ユリユリ”“山下くん”“雅志”というキャラクターの名前が浮上する。女性視聴者が主人公・順子(深田恭子)に自身を投影して、ユリユリ派、山下派、雅志派と盛り上がれることが高い満足度につながっているようだ。



【写真】順子に2ショットで迫る雅志?3月12日の第9話シーン写真



■ドラマ制作陣の気合いがうかがえる男性3人のキャスティング



 3人のイケメンを演じているのは、横浜流星、永山絢斗、中村倫也。男性キャラクターの魅力が、ドラマそのものの魅力と直結するのは、漫画原作のラブストーリーの定石ともいえるが、ともすればキュンとさせるための不自然さが際立つケースも多々ある。しかし本作は、ファンタジーのような胸キュン設定と、男性陣の生身の人間としての魅力がうまく共存し、視聴者をしらけさせることがない。



 それは原作・脚本の力ももちろんあるが、キャスト陣の演技力によるものも大きい。そもそも、この3人をキャスティングした時点で、“薄っぺらい胸キュンストーリーにはしない”という制作陣の気合が感じられるのだ。



 15歳年上の塾講師・順子に恋する高校生・ユリユリこと由利匡平役の横浜は、漫画的な胸キュンシーンやキラーワードをもっとも多く担う存在として抜擢された。第4話で「ご褒美ください」と順子に甘えたと思えば、第7話では順子の手をつかんで男らしくハグするギャップがたまらないと、回を追うごとに女性ファンが急増。一方で、せつない片思いに激しくアップダウンする感情、東大受験に挑む真っ直ぐさ、強権的な父親を持つ葛藤などを、目線や表情の動きで表現する演技力も称賛されている。



 今まで『全員、片想い』『兄友』『虹色デイズ』など数多くの青春ものやラブストーリーに出演してきた横浜だが、本人はインタビューで「監督に『もっと格好良く』と言われる」と、意外にも苦労を打ち明けている。また、今年公開された『愛唄-約束のナクヒト-』では、余命わずかな青年を体重を減らして演じ、苦悩のなかに純粋さが光る好演を見せた。生まれ持った華や器用さだけでキラキラするのではなく、真摯な姿勢で光と影の“影”もしっかり表現できる。そんな彼が演じるからこそ、匡平が嘘のないキャラクターになっているのかもしれない。



■オリジナルストーリーが続く終盤は、3人のキャラクターの正念場



 順子のいとこで、20年に渡る片思い継続中の雅志を演じる永山は、ラブストーリーに登板すること自体が非常に珍しい。プロデューサーの有賀聡氏によれば、起用の理由は「コメディセンスがある」こと。東大卒の商社マンという超エリートながら、順子に思いが届かず右往左往する雅志の報われなさを、愛嬌たっぷりに演じてコメディパートを支えている。東大卒の能力を発揮するシーンや、恋のライバルである匡平にも優しく接する人間的魅力も、カッコつけずさりげなく演じることでリアルな胸キュンを生み出している。



 安定感のある芝居はもちろんだが、永山の真骨頂は、ほんのささやかな一瞬にこそ現れているようにも見える。酔っ払うシーンや体調を崩すシーン、聞こえなかった言葉を聞き返すシーン、テレビを観て驚く表情など、本当に日常の一部のような圧倒的“普通感”。永山の作り出す自然体の空気が、本作のリアリティに大きく貢献しているのは間違いない。



 順子の高校時代の同級生で、バツイチの高校教師・山下を演じている中村も、ラブストーリーより個性的な役を多く演じてきた演技派。本作へのオファーは、大ブレイクのきっかけとなった『半分、青い。』の放送前だったそうで、かなり意外性のあるキャスティングに見える。



 元ヤンキーの山下は、順子に対して最も強引なアプローチを仕掛けるポジション。“頭ポンポン”“両足で順子の足をはさむ”“バイクの後ろに乗せる”などオラオラな胸キュン仕草を連発し、男らしい色気でさらに人気を加速させている。元ヤンキーという設定は嘘っぽくなってしまう危険性もあるが、中村の絶妙なさじ加減が効いていて違和感がない。



 第5話でライバルの雅志と対峙するシーンでは、静かなテンションながら、不敵な態度で雅志を挑発。激昂して殴りかかる永山との演技合戦は、ラブコメのワンシーンとは思えない迫力だった。また第8話では、ケンカする生徒を「やめろオラ!」とドスの効いた声で一喝。一瞬にしてキャラクターに奥行きを生まれさせたのは、中村ならではの力技だろう。



 先週の第8話では、山下が順子のために身を引いて再婚し、雅志にもロシア転勤の辞令が下るという驚きの展開を見せた。原作にはないオリジナルストーリーが続く終盤は、3人のキャラクターの成長と、順子への想いの本質が見えてくる正念場。胸キュンシーンだけでなく、キャラクターの人間的な魅力でどれだけ視聴者を惹きつけられるのか、役者陣の手腕に期待したい。
カテゴリ