『 劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜 』感想 全力で青春を駆け抜ける女の子たちの見出した頑張ることの意味

『 劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜 』感想 全力で青春を駆け抜ける女の子たちの見出した頑張ることの意味

「頑張るってなんですか?」


いやーなんでしょうね。未だに僕もわかりません。

でも頑張ることをしてこなかった人間っていないですよね。みんな大なり小なり努力をしてきたんです。


頑張ることの意味。

そんな抽象的でつかみどころがなくて、まるで雲をかきわけるような…。

その先に何があるかもわからない暗中模索のまま努力を続ける若者たち。

将来なんてわからなくて、でも今を全力で楽しむ、頑張る、一瞬の煌めき、友情、恋愛、将来への悩み、才能への嫉妬。


そんな青春が詰まりに詰まって詰まって詰まった作品「劇場版 響けユーフォニアム 誓いのフィナーレ」


久々に映画を見終わったあとに充実感と同時に喪失感を感じれる作品に出会いました。


こりゃあもうこの衝動的な気持ちをどこかにぶつけなければと、自爆前のセル並にパンパンの気持ちを全力でタイピングしているわけでございます。


田中あすかをはじめとした精神的支柱であった3年生が抜けた新生・北宇治高校吹奏楽部。

TV版でもまあそれはそれはさまざまな人間関係から生まれる物語がたくさんありました。


別れがあれば出会いもある。北宇治高校にも春がやってきて、新たな力、新たな仲間、そして新たな波乱もやってくる…。

そんな新たな1年の濃いいいい物語を…ネタバレあり、いやむしろネタバレ全開!! つかネタバレ抜きにこの作品の魅力を語れるか!!!


ネタバレありで語っていきたいと思います。


このページの目次

1 新生・北宇治波乱の1年生たち2 頑張ることと、居場所3 「リズと青い鳥」と演奏シーン4 100分という短さ
■新生・北宇治波乱の1年生たち

画像引用元:©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会


デカリボン先輩…もとい吉川新部長のはじまった北宇治の1年。

3年生の抜けた穴は大きく、オーケストラも組めないほどの人数になってしまう。


しかし、まあそこは全国出場校ということもあり、予想を上回る新入生たちが入ってくる。

が……久美子たち“低音パート”組は悲しいかな…いつものごとく集まりは悪く、”パート漏れ”を待っていると、なんと4人のパート希望者が現れる。


チューバ経験者の鈴木美玲、通称みっちゃん。みっちゃんと幼なじみの鈴木さつき、通称さっちゃん。龍聖学園出身の自分の苗字にコンプレックスをもつ月永求。そして、ユーフォ希望者の久石奏。


人懐っこそうなさつきと、少し引っ込み思案そうな美玲、親し気な性格ながらどこか心の底がみえない奏、端正な顔立ちの求とOBたちとはまた一味も二味も違う個性派な新入生たちが入ってくるのです。




正直、大半の1年生はミーハーで、本気で吹奏楽をやるやつらではないのでは?という懸念の声が僕の中ではあったりしました。


それは作中で、携帯のカメラで撮った風の自己紹介や意気込みをまとめた映像演出が出てくるのですが1年生の大半は、「憧れの滝先生だ」やどこかやる気の感じられない「頑張ります」という言葉に覇気のないキャラが多かったからです。


それでも、1年生は皆、あの滝先生の笑顔で毒を吐く圧力に耐え強豪・北宇治の掲げる「全国優勝」という言葉に本気で取り組むと手を挙げました。


こうして、本格的な北宇治高校吹奏楽の活動は幕を開けました。


かくして1年生担当係となった黄前久美子の苦労はここからはじまったのです…。



予告でも出てた久美子の「めんどくさいなぁ~1年生!」というセリフがあるようにまあまあ癖の強い1年生がそろったものです。


■頑張ることと、居場所

春を終え、最初の目標はフェスでのマーチング演奏。

各自が居残り練習をして頑張る中で、一人輪に馴染めず、すぐに帰る部員が一人。


それは、みっちゃんこと鈴木美玲でした。

みっちゃんは決して練習が嫌いだから、苦手だから、そうではありません。

むしろ逆。優秀な新入生なんです。だから練習は時間内にきっちりする。素晴らしいことです。

それ故に、周りからは浮いてしまうんです。決して周りも彼女を認めてないわけでなく、嫌いなわけでももちろんありません。

逆に彼女の幼馴染のさっちゃんは演奏が初心者でまだうまいわけではない、でも残って練習を一生懸命頑張るのです。するとどうでしょうか…さっちゃんはもちまえの明るさもありますが、どんどんと周りと輪をつくっていくのです。

それを恨めしく思いながら見るみっちゃん。


鈴木美玲にとって部活内に「居場所」がありませんでした。


そんな中で、最初の事件はサンフェス当日に起きます。

サンライズフェスで溜まっていた鬱憤が爆発したみっちゃんは、本番当日に逃げ出してしまうのです。


自分はこんなに技術があるのに、自分はこんなに頑張ってるのに、自分はいつだって真剣に練習してもそれが認められない。

自分より下手で、真剣さが感じられないさつきのほうが評価されている。さつきの方に輪が集まっていく。それがたまらなく気持ち悪い。


でも、さつきも頑張っているのを知っているから、友人への嫉妬心だから、自己嫌悪だから、醜い心だということが誰よりもわかってるから、ぶつけるべきところが見つからず、壁をつくり爆発してしまう。


「頑張っているのに認められない」


そんな風に思うみっちゃんに久美子は、「頑張りは誰もが認めてる。でも自分で歩みよらないとはじまらないよ」と、久美子なりに後輩を気遣います。

そして、ついにみっちゃんはあれだけ嫌がっていた自分の名前を呼ばせて、心のバリアを破ることに成功しました。


そんな光景をおもしろくなさそうに見ている少女が一人。

久美子と同じユーフォ担当の1年生である奏です。


奏はいつでも本心が…というか心の底を見せずに表面上はよい子のよいに振舞ういわば世渡り上手な女の子。悪く言えば八方美人な女の子。


一見、部活内のどこにでも居場所がある女の子。でも本当の居場所がない女の子。


それは、彼女が過去に経験したことが原因で真に人を信じることができなくなってしまっているからでした。

そんな彼女の性格を端的に表現したシーンが、久美子が輪になじめずに孤立するみっちゃんを助けてほしいと懇願したときに、奏ではこう言い放ちます。


「いいですよ。友達になればいいんですか?」


う~ん、そういうことだけど…そういうことじゃない…。表面上だけ仲良く見繕っても根本的な解決にはならないのに、いかに奏が部活内の人間関係が表面上の付き合いでしか行っていないのがわかるシーンだなと思いましたね。


季節はめぐりコンクール前の梅雨の季節。

コンクールに出場するパートの代表を決める、オーディションの季節がやってきます。

ユーフォの久美子、奏、そして副部長の中川夏紀の3人ももちろんオーディションをするのですが、そこで再び事件が起こるのです。


それぞれがオーディションを行う中で、一人奏だけは手を抜いてオーディションをわざと負けようとします。

もちろんそれを見抜かれた奏は、夏記からひどく糾弾されます「手を抜かれて出たコンクールなんて意味があると思うの?どれだけあんたのやったことが失礼なのことなのか」と。


それを一種の自己防衛なんですと言うと、雨の中を走っていく奏。それを追いかける久美子。


「頑張るってなんですか? 無駄なことじゃないですか? 頑張った先になにがあるんですか?」


奏はどうしても頑張ることへの意味が見出せませんでした。それは中学時代同じようにオーディションを受け先輩のかわりに大会に参加することが決定し、みんなの期待に応えようと必死になって奏は練習します。


しかし、結果が伴わず、影でこういわれるのです。

「あの子のかわりに、先輩がでればよかったんだ」と。


「頑張りを裏切られた人」 それが奏。


それでも、久美子は「私は上手くなりたい」頑張った先になにかあるかなんてわからないそれでも、「頑張ったことは無駄じゃない!!」と答えるのです。


現部長、誰よりも香織先輩のソロを望んでいた吉川優子でさえ「コンクールのためなら高坂(麗奈)が吹くべき」とあったことを踏まえ、北宇治にはそんなことをいう人間はいない。奏の努力も実力も誰も認めてることなんだと。


雨の中、体も髪もびしょびしょになりながら久美子の声は奏での心にどこまで響いたのか。結果としてユーフォはなんと3人全員が受かることで丸くおさまったのでした。


そして、もう一人、久美子とおなじく下級生と全体を見ていた加部友恵。

もともと裏方回る描写がおおかった彼女ですが、コンクールを前に顎関節症であると診断され、これまで続けてきたトランペット担当としての演奏を辞めること、そして今後はマネージャーとしてサポートにあたることを宣言します。

3年感の最後がそういう終わり方だったことに対して、悔しいよ!と久美子には吐露するのですが。


まさしく彼女は「頑張っているのに報われない人」部活の中の居場所が閉ざされてしまった人。それが加部ちゃん先輩。


「頑張ってるのに認めてもらえない人」

「頑張っているのに裏切られた人」

「頑張っているのに報われない人」


それぞれの「頑張ることの意味」「頑張った結果」その過程と結果がでてきます。

それらを通じて、冒頭の「頑張るってなんですか?」という抽象的な質問の答えがこの作品にはつまっています。


「頑張るってなんですか?」その答えを見つけるための物語がこの映画なんです。吹奏楽の映画であり青春映画でもあると。

はじめの一歩の鴨川会長の名言

「努力した者が皆、報われるとは限らん。でも、成功したものは皆、すべからく努力をしておる」というセリフを思い出しましたね。


奏ちゃんが死ぬほど悔しがるシーンとセリフ。もう最高だったね。


■「リズと青い鳥」と演奏シーン

ラストの演奏シーン。

これに関しては、映画を見た人はもう涙腺に来るものがあったのではないかと思う。

奏が「ハッピーアイスクリーム!!」と言い放ったことも含めて、かなりリズ鳥ファンにも「あぁ……」と心を浄化させるシーンが満載だった。このあたりはにくい…。360度グルグルシーンとかもね。


みぞれとのぞみという二人の視点じゃないリズと青い鳥も新鮮味があった。「剣崎梨々花」ちゃんが微妙に登場しているので探してみるとけっこうおもしろいかも。


演奏シーンはもう圧巻よね。TV版から力は入っていたけど劇場版はすごかったなんてものじゃなかったなぁ…。

セリフが一切入らないのもそうだけどカメラワークもこだわってて、思わず演奏終わった時に拍手しそうnになったよ


■100分という短さ

唯一の不満と言ってもいいのはこれでしょう。


やはり短いうえに1年間をギュッとまとめているわけですから、話のスピードがとにかく駆け足であり、拾えなかったエピソードもたくさんあると監督は語っています。


正直、夢ちゃんと加部ちゃん先輩、麗奈たちトランぺッターパートとか龍星高校の話とか、かなりカットされている部分が多いので、原作読めってことですか!?


「そして、次の曲が始まるのです」


もはや代名詞ともなったこのセリフが、今回は一切として、出てこないんです…。

もうこれで終わりということを示唆している結果なのでしょうか。できれば続編もみてみたいなぁ…。





 


響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~ は未見でも問題ないけどあえて抑えるならこの事前知識





(あにぶ編集部/Uemt)
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