月9『ラジエーションハウス』リアルな放射線科はどう作られた?

月9『ラジエーションハウス』リアルな放射線科はどう作られた?

月9を支える「美術」の舞台裏


フジテレビ月曜9時から放送中のドラマ『ラジエーションハウス』。窪田正孝演じる天才放射線技師が、レントゲンやCTなどの検査で得られた検査画像から隠れた病気やケガの根源を見つけ出す新感覚医療ドラマも、いよいよ後半戦に突入。医療ドラマで、ふだんあまり焦点の当たらない放射線科が舞台ということで、視聴者を置いていかないようにドラマのリアリティを支えているのが美術セット。今回は、これらの美術セットのこだわりポイントや、美術スタッフの裏話をお届けする。


医療ドラマならではのリアリティにこだわり





今回、放射線科が舞台ということで他の医療ドラマと何が違うかというと、手術ではなく検査と撮影のシーンがメイン。というわけで、主役は大型検査機器!ずらりと並ぶ検査部屋のすべてに、MRIやCT、マンモグラフィなどが。





これらの機器はほとんどが工業製品を製品化する段階で試作される原寸大模型。放射線や磁気は出ないものの、操作手順は本物と同じ。役者にも、機器メーカーのスタッフがきっちり使い方を教えているそう。





ドラマでも印象的なのが、技師たちが作業するこの長い廊下スペース。実際の病院の配置を参考にしてデザインされた。ストレッチャーが入る大型エレベーターから廊下を進むワンカットでの撮影方法は、この空間ならでは。





テレビ的な工夫も。実際にはないガラス窓を作ったり、検査部屋のドアが開いたときに映る光景を計算したりと、見せ方には細部までこだわっている。





舞台である甘春総合病院には新館と旧館があり、ロビーのある新館は近代的ながら、放射線科のある旧館はちょっとレトロな雰囲気。





この階段を境目にして、手前が旧館で奥が新館。患者との面談室や院長室は新館に。





旧館の奥の奥にあるのが、放射線科のスタッフ控室。横一列に並ぶデスクがドラマでもたびたび映し出され、それぞれの個性が際立つ。





遠藤憲一演じる技師長のデスクには競馬新聞、席の後ろには馬の人形。これは装飾スタッフによる“飾り”で、キャラの持ち物から個性がにじみ出る演出。





こちらは、放射線科医が画像診断する「読影室」。今回のドラマの主役は“診断画像”ということで、画像加工作業を担当するCG部門が超重要! もちろん専門家の監修がしっかり入っている。


実際の病院を参考に放射線検査室をデザイン


番組の美術を手掛けたデザイナーの棈木陽次(フジテレビ美術制作センター)に話を聞いた(棈=正しくは木偏に青)。

――セットデザイン制作には、どのように取り掛かりましたか?





「まず、病院の放射線科に取材に行きました。5つの病院を見て、そのうちの4つに共通していたのが、ワンフロアにCTやマンモグラフィなど各種の放射線検査室がまとめられていて、それぞれの部屋の前に画像診断ができるデスクが置いてある構造でした。検査室の間の距離も近くて、オープンスペースの廊下で技師たちが画像を見ながら会話をして連携をとっていました。そのリアルな構造をそのまま取り入れたんです」

――技師控室デスクの横一列の配置が印象的ですよね。





「実際の病院では、技師達のデスクは向き合った配置です。セットではスペースの事情から、6人のデスクをどう入れるかで悩みまして。監督との雑談で『いっそ横一列にしてみるか』という話が出て、試しに図面に描き入れてみたら意外と面白いデザインになったんです。横並びだと、カメラで左から右へ撮っていったときに、一人一人が全然違うことをしている様子がわかりやすいので、個性を表現しやすい。逆に引いた所から6人を撮ると、全員が同じ方向を向いている一体感、チーム感を出せます」

――他の医療ドラマにはないデザインはありますか?





「このドラマは、エリートであるドクターと、表舞台には出ずに陰で支える技師、という対照的な構図がモチーフなので、ドクターがいる建物は新館、技師がいる建物は旧館、という設定にしています。本館の壁は白と薄茶色の木目で手すも白、部屋のドアには絵画も掛けてあって、清潔感と上品さを出しています。そして旧館に入った途端、壁は雑なコンクリートと昔ながらのタイル仕上げになり、手すりも灰色がかった水色、とレトロ感を漂わせています」

――実際の病院ではあり得ない、演出上のデザインは?





「実際の病院では、読影室はX 線検査室から離れた所にありますが、セットでは『撮影する技師』と『診断する医師』の両者の世界を交わらせたくて、あえてすぐ近くに置いています。あとは窓。実際の病院では、PCで画像を見る場所に外光が入ると画面が見にくくなるので、窓は一切ありません。ドラマでは、窓は朝昼晩を表現する重要なアイテムなので、技師控室の奥に細い窓を作っています。そこにわざわざ遮光カーテンを付けて、カーテンの隙間から漏れる光で『朝』を見せる。“演出で作り出すリアル”を感じてもらえると嬉しいですね」

このように、フジテレビのドラマの裏には、視聴者がドラマの世界観に浸れるよう、リアリティを追求すべく日夜奮闘している美術スタッフの姿があった。「フジテレビジュツのヒミツ」では、他にもドラマやバラエティなど、さまざまな番組の裏側を公開中。ぜひ一度、チェックしてみて。

文=小林麻美


番組情報


『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』


<放送>


毎週月曜21時~放送中!


<出演>


窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、浜野謙太、丸山智己、矢野聖人、山口紗弥加、遠藤憲一、鈴木伸之、浅野和之、和久井映見

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