山田裕貴「自分とのシンクロ率が異常なほど高い」と語る、『なつぞら』雪次郎への想い

山田裕貴「自分とのシンクロ率が異常なほど高い」と語る、『なつぞら』雪次郎への想い

 瀬戸康史、志尊淳らが所属するワタナベエンターテインメントが、10~22歳までの男性を対象とした『BOYSオーディション2019』を開催中。『デビュー』では、現在放送中の連続テレビ小説『なつぞら』で小畑雪次郎をはじめ、数多くの作品で活躍中の俳優・山田裕貴にインタビュー。「自分とのシンクロ率が異常なほど高い」と言う雪次郎に対しての想いやどんな風にキャラクターを作っていったか、さらには自身が『役者になりたい』という夢を明かしたときの家族の反応や上京する際のエピソードなどを聞いた。



【写真】笑顔を見せる山田裕貴



■「実際はどこまで影響を与えられているかわからないけど、僕の中では手応えは

あった」



――終盤にさしかかってきた『なつぞら』。先日の雪次郎がプロポーズした回、とても感動的でしたね。



【山田裕貴】「本当ですか!? 良かった~。やっぱり直接声を聞かないとわからないものですね。もちろん、これまでも応援してくださっている方々からの声はSNSとかを通して届いていますし、『なつぞら』ファンの方も盛り上がってくださっているのかなというのは感じているんですが、反響みたいなものに関しては、あまり実感がなくて」



――よく朝ドラに出ると、声をかけられる年齢層が幅広くなるって言いますが。



【山田裕貴】「1回だけ、電車の中で1列ズラっと並んで座っているおばさまたちに気づいていただいたときがあって。それがちょうど“雪次郎の乱”(第13週)という、雪次郎がロールケーキを作って父親に認めてもらう週の頃で、電車の中でちょっとしたファンミーティングみたいな感じになったことはありましたけど(笑)。でも、周りの空気に飲まれてしまってはダメだと思ったし、集中切らさないように日々臨んでいました。もちろん、僕が一番頑張らなきゃいけないのはお芝居で、誠心誠意、全身全霊でやったつもりだし、実際はどこまで影響を与えられているかわからないけど、僕の中では手応えはありました」



――ここ最近では、単独でバラエティ番組に出演する機会も増えましたよね?



【山田裕貴】「そうですね。朝ドラ効果もあると思うんですが、きっと僕の今のマネージャーさんがもともとバラエティに強い方だからっていうのもあるのかなと。もちろん、いろいろなバラエティ番組に出演させていただけることはありがたいです。僕自身は、これまでやってきたことと変わらないし、同じ足並みでやってきているので、周りの声でのぼせ上っていることもないし、周囲が『大丈夫だよ』って安心しきっているからこそ、すごく冷静になっている自分がいますね。もしかしたら、自分で喜ぶストッパーみたいなものをかけているのか、はたまた本当に感じられていないのか……。前に主演を務めた映画『あの頃、君を追いかけた』じゃないけど、“少しでも世界を変えられるような人間に”っていう部分でいうと、僕は何かを変えられたのかな?っていう感覚が強いです」



――朝ドラの現場って特殊だっていうじゃないですか。今回、取り組み方や役づくりにおいて、自分の中で変化みたいなものってあったりしたんですか?



【山田裕貴】「まったく僕の中では変わってないです。というか、変えないで勝負しようみたいな意地があって……。でも、今回は途中で迷ったんです。インパクトを残すようなわかりやすいお芝居に変えたほうがいいのか、それとも僕が追い求めているナチュラルで自然体な感じで、いつもやってきた自分のスタイルをそのまま貫いたほうがいいのか、撮り始めてちょっとくらいしたときに悩んで。でも、今までやってきた積み重ねで勝負しないと僕らしさがなくなると思って、自分のスタイルを貫くほうに決めてやりました」



――雪次郎のキャラクターを作っていく上で、何か意識したことは?



【山田裕貴】「『なつぞら』に出てくる俳優さん、女優さんってみなさん美男美女じゃないですか。でもこの作品は、普通に一生懸命生きてきた人たちの物語だから、一人くらい腑抜けっぽいようなキャラクターがいてもいいんじゃないかなと思って。北海道の大地がのびのびと育てた、愛されキャラみたいな、一番モテなさそうなイジられキャラにしようって思いました。人生いろいろとあるから、きっとカッコ良くなる瞬間もあるだろうし、そのふり幅を大きくするために、ハードルを下げておくみたいな感じで」



――雪次郎って、どこか抜けていて憎めない存在ですよね。



【山田裕貴】「そういうのは最初から仕込んでいたというか、誰に言われたわけでもなく、自分でいろいろと考えて雪次郎のキャラクターを作っていきました。共演者の中には、同世代でいうと、吉沢亮くんや岡田将生さん、清原翔くんとかカッコイイ俳優さんが周りにいっぱいいる中で、その分野では自分は勝てないし、あと戦えるのはお芝居で頑張ることと、役のキャラクター性だなと思って、みんなとは違う方向のキャラにしようと思って演じました」



■「「周りからもよく、『あれ、裕貴じゃん』って言われます(笑)」



――いろいろと模索した上で作っていかれたんですね。



【山田裕貴】「雪次郎って、高校卒業して川村屋で菓子職人になるために修行していたのに、役者をやりたいと言い出して、役者でうまく行き始めたと思ったら蘭子さんに恋をして、さらには芝居がしたいのか、蘭子さんと一緒にいたいのかわからなくなって、最終的には北海道に戻ってきて、菓子屋を継ぐっていう。もし、カッコイイ感じのキャラクターでやっていたとしたら、“こいつ何なの?”みたいな感じになってしまうんじゃないかなと。でも、“まあ、雪次郎だからね”っていうような愛されキャラクターじゃないと、ドラマを見ている人は雪次郎のことを許せなくなってしまうだろうなって思ったんです。

最初の頃に、『雪次郎はなっちゃん(主人公・奥原なつ)との対比でもある』と言われて。戦争孤児として家族がバラバラの中、開拓者精神で開拓していって幸せになっていくなっちゃんと、家族と一緒に育って、一人っ子でぬくぬくと育てられた雪次郎という、開拓していく女の子と、開拓できない男の子という部分に関しては、対比のキャラクターであるっていうのを聞いたときに、なるほどなと思いましたし、それは頭に入れておいたほうがいいなと。あとはもらった台本をもとに、本当に自分とのシンクロ率が高い役でもあったので自然と演じていました」



――確かに、雪次郎を見ているハズなのに、“あれ?山田くんの半生を見ているのか?”と思うくらいリンクしている部分が多いなって感じたこともありました(笑)。



【山田裕貴】「周りからもよく、『あれ、裕貴じゃん』って言われます(笑)」



――雪次郎が役者を目指して東京で一人暮らしをしていた部屋に貼ってあった『魂』とか『全身芝居』とかっていう言葉もまさにだなと。



【山田裕貴】「あれ全部、恐ろしいくらいにシンクロしてるなって思いました。あの張り紙も含めて、スタッフさんと事前に打ち合わせしたわけでもぜんぜんなくて。いろいろと引き引き寄せてもらったのか、引き寄せたのか、どっちの引力もピッタリ合ったのかなと」



――自分とリンクする役って演じやすかったり、演じにくかったりするタイプの方がいますが、山田くんはどうでした?



【山田裕貴】「俳優を目指して頑張っている役っていうのはすごく気持ちがわかるなって思いました。17週で蘭子さんにフラれて風車で飲み倒したあと、朝起きてなっちゃんに語っているところとかもそうですが、『本当は仲間たちと一緒に演劇がやりたかった。こいつらが好きだったし』っていうのと、『役者を志したきっかけでもある憧れのトップの女優さんと共演したい』という思いもあるっていう、それってどっちもとれないし、だからこそ雪次郎は迷ったままだった。そこに加えて蘭子さんへの恋愛感情があったりしていたから、よりわからなくなっていて、それを蘭子さんが断ち切ってくれて良かったなって思いました。それはすごくわかる瞬間だったんです。野球をやらなきゃいけないっていう思いに駆られていた僕の少年時代にリンクしていたというか」



――山田くんのお父さんはプロ野球選手でしたしね。



【山田裕貴】「そうなんです。そういうところで、自分の家が菓子屋だから、将来は自分も菓子職人になって後を継ぐんだろうなと思った雪次郎の想いに本当に重なるなって思ったし、こんな偶然あるのかなって。やっぱり雪次郎という役は、そういう意味でも自分にとって特別だなと思うし、シンクロ率でいうと異常なほどですよね。あと、母ちゃん(仙道敦子演じる妙子)の言葉とかもすごく思い出します」



――“雪次郎の乱”で、母が雪次郎のためにカレーライスを作ってあげて背中を押す、あのシーンもすごく印象に残っています。



【山田裕貴】「あのシーンが放送された後、母親から連絡がきて、母ちゃんの『雪次郎がやりたいことを応援したいだけだわ』っていうセリフに対して、『それが私の全部思っていることだよ』って。それを読んで、“え? そっちまでシンクロする!?”みたいな(笑)。怖いくらいにシンクロしていて、ちょっと不思議な力を感じています」



――役者になりたいという夢を打ち明けたとき、山田くんのご家族はどのような反応だったんですか?



【山田裕貴】「父親からは『俺は野球をやれとは一言も言っていないが、自分からやるって言って、途中で辞めたよな。だから、次にやるって決めたことは、最後まで死ぬまでやれ』って言われて。僕もそう言われなくてもその覚悟だったし、もちろんそうするつもりでしたけど。そういう会話があったあとは、わりと普通でした。ただ、めちゃめちゃ覚えているのは、上京する日、すごく寂しそうな顔をしている妹とおかんが家の前で見送ってくれて。『頑張ってね』って言っているんだけど、なんか伝わってくるものがあって。それで、最後に車で名古屋駅まで送ってくれオヤジが、めったに言わないけど、『頑張れよ』って送り出してくれたんです。それで新幹線に乗ったあと、そこからヤバかった。隣にお母さんと赤ちゃんがいたんですけど、僕、涙が止まらなくて、ずっと窓際を見ながら泣いていました」



――離れてみて気づいた家族の温かさみたいなものを実感したんですかね。



【山田裕貴】「そこから27歳くらいになって、実家に寄ったときにデジャブを感じたことがあって。同じように妹とおかんが見送りに家の前まで出てきて、オヤジが名古屋駅まで車で送ってくれて。でも、そのときのみんなの顔が、僕が上京したときの顔とはまったく違っていて。なんか、ルフィを見る仲間の目みたいな感じだったんです! “もうこいつなら大丈夫だな”っていう感じ。そういうのを感じて、ちょっとは成長したのかなって思いました」



――役者になりたいという想いはどんな風に伝えたんですか?



【山田裕貴】「特に何も考えなかったんですよね。普通にテレビを見ながら、『東京に行って、俳優になりたいんだけど』って話をしました。よくある長年のカップルが何気ないときに『で、結婚する?』みたいな、ああいう感じで(笑)。たぶん、オヤジもおかんからなんとなく聞いていたんだと思うけど、さっきの『次やると決めたことは最後までやれ』っていう約束以外は、『なんでだ?』とかも言われなかったし、『成功するまでは帰ってくるなよ』っていう感じでしたね」



■「最近、地元の友達から『めっちゃ出てるじゃん』って言われるようになった」



――上京する際、地元の友達にも成功するまで帰らないというような約束をしたっていうことも以前おっしゃっていましたよね。



【山田裕貴】「そうなんです。だから、『コレに出るから観て』とか友達に言ったことがほとんどない。自然とみんなが観たくなるような役者にならなきゃダメだなと、地元を出た10年前から思っていたし、地元の友達が自慢できるくらい、僕が役者として知られていないとカッコ悪いなって思っていたので。本当に最近なんですよね、地元の友達から『めっちゃ出てるじゃん』って言われるようになったの。地元の友達に『観て!』って宣伝したのは、『あの頃、君を追いかけた』くらい。あれは自分の高校生活を思い出して作った感覚があったので、地元の高校の友達が観たら絶対に大笑いするだろうなって思ったから連絡したんです。そしたら案の定、『山ちゃん、変わってないな』っていう声多かった(笑)」



――『なつぞら』のほか、10月4日には映画『HiGH&LOW THE WORST』が公開されます。4年前からずっと演じてきている鬼邪高校の村山良樹という役も思い入れが強いのでは?



【山田裕貴】「そうですね。雪次郎と同じように、村山も自分のパーソナルな部分が入った役でもあるので。あと、今回はあの人気漫画『クローズ』『WORST』とのコラボということで、“あ、ここの世界軸って一緒だったんだ”っていうことにとても感動しました。しかも、原作者の髙橋ヒロシ先生が脚本にも加わってくださって、すごく嬉しかったですね。鬼邪高でスピンオフ作品をやるっいうのは、僕を含め、古屋役の鈴木(貴之)くんと関役の一ノ瀬(ワタル)くん、鬼邪高定時制チームの念願だったし、何百回も妄想してきたストーリーだったので。最初はSWORD地区で唯一負けるチームだったけど、よくここまでこられたなという感じです」



――鬼邪高はチームのカラーもそうですが、雑草魂で這い上がってきた感がありますよね。



【山田裕貴】「ただ正直な話をすると、鬼邪高のスピンオフがやれるって聞いたときに、本当に良かったなって思ったし、鬼邪高の頭として仲間たちに恩返しができるなって思ったんです。鈴木くんと一ノ瀬くんは、各段にセリフの量も少なかったから、もっとしゃべらせてほしいなっていう思いもあって。僕ら鬼邪高がフィーチャーされれば、僕以外の鬼邪高の人たちがいっぱい出られるなって思っていたんです。でも、定時制が主軸の物語ではないという話を最初に聞いて。悔しい想いもしましたが、『HiGH&LOW THE WORST』はいろんなコラボがありますし、ハイローシリーズならではの世界観ももちろんあって、映画としては最強に面白いし、ぜひ楽しみにしてもらえたらって思います」



――そして10月29日からは、久しぶりの舞台となる『終わりのない』も控えています。こちらは、イキウメの主宰・前川知大さんの作品ですね。



【山田裕貴】「出演が決まったときはめちゃくちゃ嬉しかったです。前川さんの作品は僕が好きなジャンルでもあるし、劇団の舞台の中で一番観に行っているのが、たぶんイキウメだと思います。前川さんの作品はSFと日常をテーマにした作品で、僕も好きなその世界観に関われるっていうのが本当に嬉しい。どんな稽古になるのか今から楽しみですし、前川さんはじめ、イキウメの劇団員のみなさんとご一緒させていただけるということで、いろんなことを勉強して吸収できたらと思っています。ちょっと怖さもありつつもワクワクした気持ちでいっぱいです。来年、30歳になりますし、シンプルな言葉を選ぶとしたら、ちゃんと良い俳優になれるよう、深みまでどっぷりと入りたいなと思います」



――では最後に、オーディションを受けようと思っている読者に向けて、山田さん自身の経験を元にアドバイスをいただけますか。



【山田裕貴】「これまでのオーディションを振り返って思うのは、緊張は無駄だなって思います。『デビュー』さんの取材で、けっこう読者のみなさんに『緊張しないで自分らしく挑戦してみてください』って、これまでも言ってきたと思うんですが、緊張しすぎて本来の自分を見せずに終わるオーディションって、本当にもったいないなって思うんです。『僕なんて……』『私なんかが……』っていうような憶する気持ちでいるのはもったいない。僕自身も3年目くらいまであったし、緊張って誰しもすることだとは思うんですが、大きく考えたらみんなヒト科の動物だし、いきなり50歳になっている人もいないですから」



――誰しもみんな最初は“新人”ですしね。



【山田裕貴】「みんなその気持ちがわかるし、わかっている人たちだから、安心してオーディションに臨めばいいんだって、僕も途中から考えるようになりました。きっとちゃんと見てくれようとしているとか、信じられないから緊張するのかなと。やっぱりあるじゃないですか、入ってきた瞬間に目を惹く子って。それが具体的に何なのかって言われたらわからないんだけど、そういうのってあるんですよね。だから、僕もオーラを纏おうと思ったり、それを目に宿そうとか、今の言葉にのっけようとか、そういうことを考えるようになったかも。それって根拠のない自信で良いと思うんです。自分を良く見せようとする過信はダメだけど、謙遜しつつも自分を信じて自信を持つことも大切なのかなって思います」



 山田裕貴が所属するワタナベエンターテインメントによる「BOYSオーディション2019」は、好評につき、8月25日(日)に都内にて行われるオーディション最終日の応募締切の延長が決定。前日の8月24日(土)18:00までエントリーを受け付けている。応募詳細は、公式サイト及び、オーディションサイト『デビュー』にて掲載中。
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