サトシ役・松本梨香、22年間役作りなし“永遠の10歳”貫く 目指すは「演じない演技」

サトシ役・松本梨香、22年間役作りなし“永遠の10歳”貫く 目指すは「演じない演技」

 テレビ東京系列で放送中の人気アニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の「誕生!アローラの覇者!!」(毎週日曜 後6:00)が15日に放送され、主人公・サトシが、1997年に始まったシリーズを通して22年越しでポケモンリーグ初優勝を飾った。そこでORICON NEWSは、放送前にサトシ役の声優・松本梨香にインタビューを実施。「サトシの役作りをしたことはない」「“永遠の10歳”として私自身も変わらない」「私の目指すものは“演じない演技”。サトシは私が理想とする立ち位置のキャラクター」など、22年演じてきた“分身”サトシへの想いを語ってもらった。



【画像】相棒・ピカチュウと旅を続けてきたサトシ



 アニメ『ポケットモンスター』が始まったのは1997年。マサラタウンで育った主人公・サトシは、相棒のピカチュウとともに“ポケモンマスター”を目指し旅に出る。そして、各地方で行われているポケモンバトルの大会“ポケモンリーグ”に挑戦してきたが、最高順位は『ポケットモンスター XY&Z』カロスリーグ・ミアレ大会の準優勝だった。



 前作ではサトシの心とシンクロすることにより圧倒的な力を得る「サトシゲッコウガ」が登場し、ファンの間では「ついに優勝か!?」と期待の声があがっていたが優勝できずにいた。



 22年間一度も優勝できなかったこともあり「サトシは一生勝てないのでは?と思ったりしました…」と笑いながら、収録の3週間前に初優勝することを知らされた際は「聞かされた時は嬉しさより、『あっ、勝つんだ』と驚きが大きかったです。アニメ内でのサトシも優勝が決定した瞬間、『俺、勝ったのか…?』と呆然と優勝を実感していない様子でした。私も彼と同じ気持ちで、すべてがあの一言に尽きると思います」と言葉で表現し難い感情だったと明かす。



 昨年末に行われた、テレビ東京系のアニメ作品が集合するイベント『アニメJAM 2018』へ出演した際、「私はサトシと同じ永遠の10歳だから。『ポケモンマスターになるんだ!』といって21年になるよ! 人生はそんなにあまくないぞ!」と笑わせながら、シリーズ最初のオープニングでポケモンの名曲となった「めざせポケモンマスター」を披露していた。



 一見、会場を盛り上げるために言ったサービストークのようだが、深い意味があると言う。「シリーズが始まった時に小学生だった子は今、大人となり家庭も持っている年代になった。色んなつらいことや嫌なことがある中で、テレビを点けたら今でも放送されている『ポケモン』を観て、『お、まだポケモン放送しているんだ』『えっ?サトシ、まだポケモンマスター目指しているんだ!』『俺も夢を追いかけるか』と、サトシを通じて一緒になって前進してもらえると嬉しい」。



 続けて「もちろん再放送ではないため、当時観ていたシリーズと違い新シリーズとして内容は変わってはいるのですが、サトシ自身の人間性などの根本は変わっていない。“永遠の10歳”として私自身も変わらないよう、いつでも安心して戻って来られる場所として続けています」と力を込める。



 「今回の初優勝はとても意味があることだと思います。今まで仲間たちとともに努力していたのに優勝ができず、『努力しても報われない』といった部分もあったと思います。20年以上優勝できずにいたこともあり、『今回も優勝しないよね~』と勝手に最初から予想した方も居たはず。その中で優勝したことは、努力は報われることが証明できたので良かった」と笑顔を見せた。



 結果として20年以上続くことになったアニメ『ポケモン』シリーズ。新シリーズになる度に、今まで育てたポケモンと別れ、新たなポケモンとともに心機一転で旅に出るサトシだが、演者側としてはポケモンとの関係など長年培ってきたものをやり直すため役作りは苦労しているように思える。 「サトシを演じてきて難しいと感じたことはないです。それは、自分自身を表現しているからだと思います」と説明し「シリーズの初期からサトシの行動や考え方は、私と近いものを感じていて、変に飾らず自然体で演じてきたことが、こうして長く続けて来られたと思います。それが20年の証ですね」と振り返る。



 自身そのままでサトシ役を務めているが、得るものはあるそうで「この20年で得たことは責任感。ありがたいことに“『ポケモン』の主人公・サトシの人”と認知されているため、素の松本梨香であっても、言葉使いやSNSでの発言は、演じてきたキャラクターのイメージを壊さない、迷惑をかけない意識が強くなりました。自然とサトシから成長させてもらっているので、彼の悪口を言われると『ん!?』と私が言われているように感じてしまいます(笑)ここまで愛情を注げるキャラクターに出会えたことは声優冥利に尽きます」と感謝していた。



 数々のポケモンバトルで名勝負を繰り広げてきたサトシ。一番のお気に入りは『ダイヤモンド・パール』のライバル・シンジとのゴウカザルVSエレキブル戦だという。これは、サトシが使うゴウカザルはヒコザル→モウカザルの進化系で元々、シンジのポケモンであったが弱いという理由でヒコザル時代に捨てられた過去がある。サトシがヒコザルを拾い育ててゴウカザルまで進化させて、ポケモンリーグ「シンオウリーグ準々決勝」の舞台でシンジと対決して勝利するというファンの間で屈指の人気シーンだ。



 「一度捨てられたポケモンが相手を見返す。こういうドラマは好きですね。私自身、強者が弱者をいじめる姿は許せない。小さいころからイジメられている子を見つけたら助けに向かったり、親分みたいでした(笑)。困っている人を放っておけないところは、サトシと同じですし、今振り返ると私も小学校のころからサトシになっていたのかも知れませんね。なので、物語でもサトシの気持ちが手に取るようわかります。『その行動、だよな~』と納得できますし、自然体で22年続けてこられた」とうれしそうに振り返る。



 初優勝したサトシだが、目指すポケモンマスターへの道は終わらない。20年以上サトシ役を続けてきた松本自身が目指すものを聞くと、「演じない演技」と即答。「わかりやすく言うと“ウソをつかない”ことです。演技というのはひとつのウソですが、ウソをつかないというのは視聴者へリアリティーと共感を生むと思っている。他人に対してはウソをついて騙すことはできますが、ウソをついた自分自身を騙すことはできないため、すでに心苦しい感情が生まれる。そこをなくすことが一番役者としてやりやすいことだと思うので、私の目指すべき究極の場所」と役者論を展開。



 そして「サトシはそういう意味で私が理想とする立ち位置にいるキャラクターで、私生活で普通に過ごしていても『サトシだ!』と言われてしまう。20年以上前から私の目指す姿に出会わせてくれた彼に感謝しています」と照れながら語り、モンスターボール柄のスマートフォンのカバーを筆者に見せてくれるなど『ポケモン』の出会いに感謝していた。
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