伝説の模型誌表紙「フルハッチオープン」を現代に復活 “ロボットに乗る”憧れをガンプラで表現したい

伝説の模型誌表紙「フルハッチオープン」を現代に復活 “ロボットに乗る”憧れをガンプラで表現したい

 自身の“妄想”したシチュエーショや、劇中の名シーンを立体化する「ジオラマ」制作に心血を注ぐ多くのモデラーたち。その、“狂気”とも言える情熱はどこから生まれてくるのか…。伝説の模型誌『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙を現代風にアレンジした山田良太氏(@puramo_ryota)に、その想いを聞いた。



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■ハッチを強制開放する音さえも参考にした? メカニックがどう整備するのか“妄想”してほしい



――この「全身ジオラマ、ガンダムフルハッチオープン」を制作された理由は?



【山田良太】『月刊モデルグラフィックス』2018年3月号の400号記念のガンダム特集の一つの作例として2ヵ月ほどかけて制作をしました。子どもの頃から模型誌ファンでしたし、まさか憧れの“フルハッチオープン”を作ることになるとは思いませんでした。



――1982年5月、ガンプラブームの真っ只中に発売された模型誌『HOW TO BUILD GUNDAM2』ですが、表紙を飾ったガンダムの“フルハッチオープン”はインパクト絶大でした。本作の制作にあたってのテーマは?



【山田良太】編集部からは「もしお台場にあった1/1ガンダムがフルハッチオープンしたら」というお題でした。そこからイメージを膨らませて、各所のハッチの開き方や、内部メカがメンテナンス時にどういう動きをして、どうやってメカニックが整備をするのか…、見る人が“妄想”して楽しめるものにしようと思いました。



――参考にした資料や作品はありますか?



【山田良太】イメージソースは前述の『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙ですが、色々と過去のイラストや雑誌掲載の作例などを見ました。本当に沢山の方が使われてるモチーフだなとあらためて思いましたね。それと、OVA『機動戦士ガンダム0083』の劇中でジムキャノンIIがハッチを強制開放するシーンがあって、その時の効果音の「ガバァ」って音が感じられそうな…音が資料というのも変な話ですが(苦笑)。あとは実際の戦闘機のメンテナンスシーンなどの画像も探して参考にしました。



――音を資料にするというのは、まさに匠の技術です。使用されたキットは?



【山田良太】バンダイの1/100スケールRX-78ガンダム ver.3です。お台場のガンダムと同じデザインですし、このキットはある意味スケールモデルと思って使いました。パネルラインがたくさんあるので、ハッチを開けるのにはとても良かったです。



――制作にあたってこだわったポイントを教えてください。



【山田良太】胸の装甲の開き方をはじめ、頭部のアンテナ折りたたんでバルカン砲付近の装甲が開く所、脚部の装甲の花びらのようにハッチが開いていたり、ふくらはぎや肩部のメカがメンテナンスのために引き出しのように出てくるなど、なるべく、過去のフルハッチオープンのイラストや作例でやってない見え方が出来ないかと考えました。



――本作の反響はいかがでしたか?



【山田良太】非常に良い反響を頂きました。普段「プラモつくろーぜ会」という自由参加型の制作会を毎週開催していますが、お子さんから大人までの多くの参加者の皆さんに「現物見たいので早く持って来て下さい」とよく言われました(笑)。他のモデラーさんとの間を繋いでくれた思い出の作品です。



■「狂気じみている」とも言われたが、自分はそれくらいガンプラを楽しんでいる



――山田さんにとって一番影響を与えたガンダムシリーズは?



【山田良太】もちろんファーストガンダムの影響は大きいのですが、世代的にも初めてリアルタイムで見たZガンダムの思い入れは一入です。Zガンダムがあまりに好き過ぎて、26歳の時から2年がかりで思い入れたっぷりに制作した1/100のゼータが、ホビージャパン主催の「第8回オラザクコンテスト」にて大賞を頂く結果になりました。僕の模型人生を変えた作品ですね。



――大賞を取るほどの腕前ですが、プラモ制作において自身の“強み”は何ですか?



【山田良太】大好きな「工作」でしょうか。90年代頃、模型雑誌を見てはガンプラの改造を真似するのですが、工作のところばかり真似をしていました(笑)。



――具体的にはどういった工作だったのでしょうか。



【山田良太】僕が中学高校の頃はまだガンプラに関節が今ほど可動しませんでした。なので、プラ板や出始めのコトブキヤのボールジョイントで関節ばかり作っていましたよ(笑)。その後、2002年頃くらいにコンテストに作品を出すようになってからは、プロポーションを変える工作をよくするようになりました。



――この作品は“全身ジオラマ”をイメージしたとのことですが、普段ジオラマは制作されますか?



【山田良太】ガンダム以外では『機動警察パトレイバー』なども制作しています。外出先の風景とイングラムを上手くマッチさせて撮るという事を遊びで良くやっています。



――プラモデルを本当に楽しんでいることが伝わってきます。



【山田良太】ガンプラは「楽しむ」ことが大切です。そして、そうした“遊び心”や作品への“想い”が作品を見る人に伝わるといいなと思っています。フルハッチオープンも、周りからは「狂気じみてる」と言われたりもしましたが、僕的にはそれくらい楽しんだと思っていて、フルハッチオープンが出来上がった時は最高のカタルシスを感じました。



――今後作ってみたい作品のキットやテーマは?



【山田良太】僕は世代的にもやっぱりロボットが好きなので、「ロボットに乗る」という気持ちをプラモデルで表現したいと思います。昨年、滋賀県にある「人機一体」という操縦型巨大人型重機を研究開発されてる会社で上半身の試作機に乗せていただき、操縦桿を握って操縦の体験をさせて頂きました。子どもの頃からの夢が叶った気持ちにもなりましたし、こんな気持ちを自分の作るプラモで具現化できたらと思います。



(C)創通・サンライズ
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