アリシア・ヴィキャンデル、日本語で熱演 オスカー女優の飽くなき挑戦

アリシア・ヴィキャンデル、日本語で熱演 オスカー女優の飽くなき挑戦

 映画『リリーのすべて』(2015年)で性同一性障害に悩み次第に女性となってゆく夫リリーの妻ゲルダを演じ、『第88回アカデミー賞』助演女優賞を受賞した、アリシア・ヴィキャンデル。その時、「その調子で、もっとチャレンジしなさい、もっといい作品を作っていきなさい、そして自分を高めていきなさい、と大きな激励をもらったと思ったわ」。



【写真】映画の中で1980年代の日本を再現



 そして、彼女は本当にチャレンジした。Netflixで今月15日から世界配信が開始された映画『アースクエイクバード』では、日本に住み、日本人男性と恋愛関係になる外国人女性の役をほとんど日本語で演じた。



 『アースクエイクバード』は、日本在住経験のある英作家スザンヌ・ジョーンズによる同名ミステリー小説を、ウォッシュ・ウェストモアランド監督が映画化。1980年代の東京を舞台に、外国人女性リリーの殺人容疑をかけられた、女性ルーシーの揺れ動く心理を繊細な描写で描く。



 主人公のルーシーをアリシア、リリーを『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』(15年)などのライリー・キーオ、ルーシーとリリーを翻弄する日本人カメラマン・禎司(テイジ)を小林直己(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)が演じる。



 日本語のせりふが多い役どころについて、「私も契約したときはこれほど多いとは思いませんでした(笑)」と、冗談めかしながら、「日本、そして東京を舞台にした作品ですので、監督とは『全員が英語を話すことは不自然』だと話していました。さらにルーシーは、日本の男性と付き合うなら、もっと日本語が話せるんじゃないか、と自分から言ってしまったの(笑)。それで、どんどん日本語のせりふが増えていきました」。



 アリシアはスウェーデン出身で、母国語はスウェーデン語だが、英語圏の作品に出演して国際的に注目されるようになる過程で、日常で使用する言語を英語に変えた経験を持つ。



 「時々、スウェーデン語が混ざってしまうことがあるんですけどね(笑)。いくつかの外国語を話せるけど、言語を学ぶということは、その言語が使われている国や地域の文化を知ることにもつながって楽しいのよ」。



 その経験を、逆に英語のせりふに挑戦する小林にも伝えたという。「ダンスから演技に転向したと聞いていましたし、英語で演じるという大きな役割がありましたから。でも、リハーサルでお会いして、すぐに彼がものすごく準備をしてきたことがわかりました。役についても深く掘り下げていて感心しました。今回、お互いに助け合い、高め合うことができたと思っています」。



 同作の撮影では、3ヶ月ほど日本に滞在。「子どものころから日本に行ってみたいと思っていました。できれば長く滞在したい、それを実現するには仕事を兼ねるのが一番だと願っていたら、このお話が舞い込んできたの。スウェーデンと日本の文化は全く異なるものだと思っていたけど、実際に来てみると、美意識が似ていると感じました。建物に木材やガラスを使う、行列好き、家では靴を脱いで過ごす、漬物・生魚を食べる点でもスウェーデンと日本は似ている部分が多いと思いました」。



 映画製作会社を立ち上げるなど、女優として出演するだけでなく、監督・プロデュース業にも意欲をみせる。



 「今回、脚本づくりの段階から私も参加させてもらいました。女優が関われるのは撮影の時だけ。できるならプロジェクトのはじまりから終わりまで関わっていきたい。Netflixであらゆる国や地域の作品を世界中で共有するようになって、世界が狭くなっています。今回のような、さまざまな文化が混ざり合った作品は、今後もっと多く生まれていくと思っています。そして、私もすばらしいアーティストたちと仕事をして、いろんなことを学び、吸収して、いつか自分がカメラの後ろに立つ日を夢見ています」。



 最後にアリシアは、流暢な日本語で「キョウハ、ホントウニ、アリガトウゴザイマス」と、別れのあいさつしてくれた。
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