樹木希林さんのいないお正月 定番CM「お正月を写そう」は今後どうなる?

樹木希林さんのいないお正月 定番CM「お正月を写そう」は今後どうなる?

 長らく正月の定番としてお茶の間を賑わせてきた富士フイルムのCM。「お正月を写そう」という親しみやすいフレーズと、本シリーズに多数出演してきた故・樹木希林さんのコミカルなキャラクターが大きなインパクトとなり、記憶に残るCMとして多くの人に愛されてきた。だが2018年9月、惜しまれながら樹木さんが他界。同年末には過去のCMを改めて放送し、故人を偲んだ。時代が令和にかわり初めて迎える正月、この定番CMはどうなっていくのか?富士フイルム宣伝部の原雄二郎氏に話を聞いた。



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◆「1年で1番華やかな日に写真を撮ろう」が当初のコンセプト



 富士フイルムが「お正月を写そう」のCMをスタートしたのは、1966年。当時、高度経済成長期まっただ中の日本は、カメラの世帯普及率がグングン上がっていた。

「『お正月を写そう』は、50年以上続く年始恒例のテレビCMシリーズです。始まった当時は一年中でお正月が一番晴れやかで、特に女性はみな晴れ着を着ていました。その一番の晴れの日を写真に残そうという提案として『お正月を写そう』のCMが始まりました。当社に残っている一番古いCM映像としては、1969年のフジカラー『お正月もち』篇。当時から“お正月を写そう”というフレーズが使用されています」(原氏)



◆イナバウアーにパンダメイク…チャレンジングな『綾小路さゆり』役で40年



 そんな「お正月を写そう」のCMが視聴者の記憶に残るものになっていったのは、1978年に「富士フイルム」のTVCMに初登場した樹木希林さんの存在が大きいだろう。樹木さんの起用については、他に候補もいるなかから選ばれたという。

「フジカラーのお店に来る常連『綾小路さゆり』というキャラクターが決まり、何人か候補がいたなかで『とぼけた雰囲気のなかに、見る人をホッとさせるウィットに富んだ演技ができる』という理由で、樹木さんに決まったそうです」(原氏)



 樹木さん演じる「綾小路さゆり」のその後の活躍は言うまでもない。フジカラーのイメージキャラクターとして「お正月を写そう」シリーズに限らず、「フジカラープリント」や「写ルンです」など同社のさまざまなCMに出演(実際「お正月を写そう」シリーズに出ない年もあった)。店員役の岸本加世子との軽妙なやり取りで「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに」というセリフでインパクトを残したものから、多摩川のアザラシ・タマちゃん、トリノ五輪フィギュアスケート女子シングル金メダリスト・荒川静香氏のイナバウアー、上野動物園のパンダ・シャンシャンなど、旬とユーモアを取り入れた内容で大きなインパクト残し、同一キャラクターとしては異例の40年にわたってCM出演を果たした。

「樹木さんご本人は『綾小路さゆり』役としてTVCMにご出演されることを楽しみにしてくださいました。現場では共演者やスタッフの皆さんを和ませ、時にはCMの演出にもアドバイスを頂きました。そのような樹木さんの人柄やキャラクターがにじみ出たCMだったからこそ、長い間視聴者の皆様に楽しんでいただき、強く記憶に残っているのだと思います」(原氏)



 2018年末には、これまでの樹木さんが出演シーンをまとめたCMを放送。「樹木さんのいない お正月が、もうすぐ やってきます。」「樹木希林さん、40年間ありがとうございました。」というメッセージが表示され、多くの人が涙した。また、富士フイルムのHPには、過去のアーカイブが見られる特設ページを制作。多くの人が訪れ、懐かしんだという。

「当社SNSの公式アカウントに、『大好きな樹木希林さんを目にすることができて本当に胸が熱くなります。ありがとうございます』『懐かしいCMばかりですね。粋な計らい、ありがとうございます』など樹木さんへの哀悼のコメントや当社への感謝の声を多数いただきました。改めて、樹木さんの存在の大きさを感じました」(原氏)



◆時代の流れを捉え、今回は『ラグビー七福神』が登場



 アーカイブで樹木さんを感じることができた2018-19年のCMから1年。本当の意味で「樹木さんのいないお正月」となる2019-20年「富士フイルム」のCMはいったいどうなるのだろうか?

 12月28日から放送されている「お正月を写そう2020」のCMでは、2015年から同社のCMに出演し、現在イメージキャラクターを務める広瀬すずを中心に、“2019年の旬な人たち”である松島幸太朗選手ら6人の2019年ラグビーW杯日本代表が登場。『七福神』に変装し、ラグビーボールの代わりにラインアウトで鯛を捕まえたり、鏡餅の上にみかんを持ってトライ。さらに「ラグビー七福神」の『音チェキプリント』を手に、みんなで“福”を配りに出かけたお正月の商店街で、具智元選手がとあるハプニングに遭遇し…というダイナミックかつ、ユーモアあふれるコミカルな内容になっている。ツイッターなどSNSの反応をみると「おぉ〜今年の顔!」「最強の七福神じゃないですか」「ほっこりするなぁ~。選手達も楽しそう」「毎年恒例のお正月を写そう 末永く続きますように」などの意見が上がり、好評のようだ。



 また、公開されているCMのメイキングムービーでも、和気あいあいと楽しい雰囲気で撮影されている様子がわかる。ユーモアや遊び心、現場を楽しくする雰囲気といった樹木さんの残したDNAはしっかりと継承されているようだ。

「時代が変わり、お正月の過ごし方も変わっていくなかでも、『楽しく過ごすお正月』という設定は変えずにこれからもCMづくりをしていくつもりです。広瀬さんを中心に、世の中の流れやその時代の流行を捉えた出演者やテーマを決めていきたいと思っています。もちろん『お正月を写そう♪』というフレーズはこれからも活かしていくつもりです」(原氏)
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