「カトルの平和への想い」「三日月の勝利への渇望」ガンダムパイロットの“生き様”を具現化

「カトルの平和への想い」「三日月の勝利への渇望」ガンダムパイロットの“生き様”を具現化

 昨年40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』は、宇宙世紀シリーズをはじめアナザーガンダムを含めて数多くの作品がある。ここでは、多様性に富む世界観を広げ、自身の“ガンダム愛”を作品に落とし込むジオラマの達人たちにフォーカス。『新機動戦記ガンダムW』にインスパイアされたという「フラミンゴジオラマ」を制作したZi-Zi-pacifico氏と、『鉄血のオルフェンズ』の名シーンを再現したZAKI氏にインタビューを行い、2人が表現しようとした“ガンダムパイロットの心情”について聞いた。



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■「地球はこんなに美しいのに…」カトルのセリフを咀嚼してジオラマ化(Zi-Zi-)



 作品名は『flamingo』。制作者であるZi-Zi-氏は「フラミンゴの群れを軸に、シンプルさを重視した作品にしました。テーマは“束の間の休息”になります」と説明してくれた。



 本作品は模型雑誌のコンテスト用として制作したもので、使用キットはBANDAI 1/100マスターグレード ガンダムサンドロックEW版。ただし、MSを主役にはせず“舞台装置”とした点がポイントだ。



 「このジオラマには元ネタがあります。TVアニメ『新機動戦記ガンダムW』の第2話で実際にこの様なシーンが出てきます。主役キャラの1人でこのガンダムのパイロットであるカトルが地球降下後の初陣を終え、仲間と合流した後のシーンです」と解説するZi-Zi-氏。続けて、「10秒にも満たない場面ですが、とても印象深く感じました。自分は平成ガンダム世代なのでフラミンゴといえば真っ先にこのシーンを思い浮かべます。劇場版『機動戦士ガンダムII 哀戦士編』に出てくるフラミンゴの飛翔シーンも有名ですが、私にとってのフラミンゴは『ガンダムW』ですね」と感慨深げに振り返った。



 そんな、氏の“ガンダム愛”が詰まった本作についてこだわりを聞くと、「フラミンゴ」と即答。「キットの出来が素晴らしかったので、しっかりと脇を固めてやろうと思いました。ヤシの木は勿論、フラミンゴに至っては動物園に直接リサーチに出向きました。勿論、家族サービスの体で(笑)」と、“モデラーあるある”を笑顔で披露した。



 ただ、「1/100スケールのフラミンゴなんて何処にも売ってないですから…地道に自作しました」と当時の苦闘を語るZi-Zi-氏。最初はエポキシパテ(エポキシ樹脂を主成分とするパテ)で作ってみたが上手くいかず、ならばと薄手のプラ板をフラミンゴのシルエットで切り出し、エポキシパテを使って肉厚感を出していく手法に切り替えたという。「足は極細のステンレス線で表現、羽を広げた個体は紙を使って再現してみました。色々なマテリアルを使う事で表現の幅が出せたと思います」と、モデラー“匠の技術”を教えてくれた。



 こだわり抜いたフラミンゴも素晴らしい出来栄えだが、このジオラマを通じて一番表現したかったものが別にもあるという。それは、ガンダムサンドロックのパイロット・カトルの心情だ。

 

「カトルは超裕福な家庭に生まれながらも過酷な運命を背負っている」と説明する同氏。そして、「彼が地球にやって来た目的は旅行でも勉学の為でもなく破壊工作(テロ)なんです。そんな彼が初めて見た地球の素晴らしさに感動しつつも表情を曇らせて言うんです。『地球はこんなに美しいのに…』って。このセリフを自分なりに咀嚼してジオラマに仕立てたものがこの作品です」と、ジオラマに込めた想いを語った。



■『鉄血のオルフェンズ』のキットに見出した“謎の使命感”(ZAKI)



 初めて制作したプラモデルは、父親に勧められて購入したHGUC 1/144 RX-78-2ガンダムだったと語るZAKI氏。ニッパーと鉄ヤスリ、ピンセットが入ったツールセットも一緒に購入し、意気込んでいたことを今でも覚えているのだそう。



 そんなガンプラ原体験を経て、いよいよ“ガンプラ沼”にのめり込んだキッカケは『鉄血のオルフェンズ(以下、鉄血)』のキットを初めて組んだ瞬間だったという。



 「鉄血を観る前もプラモ自体はよく組んでいましたが、部分塗装、墨入れ、少しの汚しでフィニッシュすることが当たり前でした。そんな中、『鉄血』シリーズのプラモは私の常識を打ち砕きました」と興奮ぎみに語るZAKI氏。その“常識を打ち破った”部分について詳しく聞くと、「ストレートに組むだけでも物凄く完成度が高いのですが、『鉄血』プラモは絶妙に何か物足りない部分もあると個人的に感じており…」と苦笑するZAKI氏。そのため、自身の理想に近付ける為には、延長作業やあらゆる改修が必要だったと振り返った。



 そういった「自分がやらなきゃいけない」という“謎の使命感”がプラモ制作の意欲を駆り立て、作業を繰り返していく内に改修の楽しさにも目覚めたのだそう。そして、作品が完成する度に「次はこういった技も取り入れてみよう」といった向上心も生まれ、その気持ちは今でも変わらないという。



 キットの魅力はもちろんのこと、アニメ『鉄血』の世界観に引き込まれた部分も大きいと強調するZAKI氏。「アニメも大好きです。この作品は今までに無い独特な世界観だと思います。ビーム兵器が殆ど登場しないガンダムシリーズというのも新鮮でした。また、三日月・オーガスをはじめ孤児たちがどん底から這い上がり自分たちの本当の居場所を探し求めるという“渇望のストーリー”は、台詞や表情の描写なども生々しく、感情移入せざるを得ません。興奮、感動、共感などあらゆる要素が詰まった傑作だと思います!」と、いまだ“鉄血愛”が冷めやらぬZAKI氏だった。



(C)創通・サンライズ
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