田中みな実&加弥乃、コロナ禍の人々を楽しませた音楽業界ドラマの女性秘書たち

田中みな実&加弥乃、コロナ禍の人々を楽しませた音楽業界ドラマの女性秘書たち

 新型コロナ禍の影響でドラマの放送予定が狂いまくりの4月クール。その中で話題を集めたのが、2つの音楽業界ドラマだった。90年代を舞台に平成の歌姫が誕生秘話を描くテレビ朝日・ABEMA共同制作のドラマ『M 愛すべき人がいて』(13日より第4話から放送再開)。そして、NHKの連続テレビ小説『エール』(29日以降放送一時休止)は、昭和初期に多くの流行歌を生み出したレコード会社の専属作曲家が主人公だ。



【写真】『M 愛すべき人がいて』第4話の新場面写真



 さらに、『M』ではカリスマプロデューサー・マサ(三浦翔平)の秘書・姫野礼香役で出演する田中みな実の怪演が話題となり、なんと『エール』にも“秘書”が登場。コロンブスレコードのディレクター・廿日市(古田新太)とのクールなやり取りが印象に残る、メガネ姿の秘書・杉山あかね役の加弥乃が注目を浴びている。



■姫野礼香はあのドラマのオマージュ



 『M』の礼香は、原作小説には登場しない、ドラマオリジナルキャラクター。服部宣之プロデューサー(テレビ朝日)に聞くと、「最初はあえて語らないようにしていたんですけど、視聴者の方が感じているとおり、『スチュワーデス物語』のオマージュです、と尊敬の念を持ってお伝えしたいです」と、キャラクター造形の経緯について、話してくれた。



 「小松成美さんの原作小説をドラマ化する上で、音楽業界ドラマの要素のほかに、連続ドラマならではのフィクションの要素を足そうと思いました。原作は、アユとマサの純愛をラブストーリーとして描いているのですが、僕らはアユとマサの師弟関係に注目しました。地方から上京した女の子が、敏腕プロデューサーの指導で、一流の歌手になっていく。脚本を担当する鈴木おさむさんと僕らが思ったのは、これって形を変えた『スチュワーデス物語』だよね」(服部P)



 『スチュワーデス物語』は1983年、TBS系で放送された連続ドラマ。「ドジでノロマな亀」と自称するほど落ちこぼれの訓練生・松本千秋(堀ちえみ)が、厳しい訓練を受ける中で、担当教官・村沢浩(風間杜夫)に恋をして、数々の嫌がらせなどを乗り越え、一人前のスチュワーデス(キャビンアテンダント)になるまでを描いた。片平が演じたのは、浩の元婚約者・真理子。将来有望なピアニストだったが、スキー場で浩と衝突した事故で両手を失い、夢をあきらめることに。以来、浩に生涯の責任を強迫したり、千秋への嫉妬に狂って嫌がらせをしたりする、千秋の“宿敵”として存在した。



 「片平なぎささん(が演じた真理子)に相当する存在がいなければ、このドラマは面白くならない、という方向で話は進み、アユの宿敵としての礼香が生まれることになりました。礼香にも彼女なりのマサへの愛、正義があって、アユのマサへの気持ち、マサのアユへの気持ちにも気づいて、三角関係になっていきます」(服部P)



 礼香に眼帯をつけさせたのは、「片平さんが口を使って手袋を外して義手を見せるシーンって、象徴的だったじゃないですか。『僕らが言わずともそういうものを感じていただけるようなものは何かないかな』と考えた中で、眼帯のアイデアが出てきました」。13日より放送再開となる第4話以降、最終回に向かって、「礼香の秘密が明かされていきます。実は、ドラマ『M』は、礼香の人生を描くドラマでもあるし、礼香の再生の物語でもあるんです」と、服部プロデューサーは期待をもたせた。



 田中のキャスティングもハマった。TBSのアナウンサーからフリーに転身して5年半。バラエティーに引っ張りだこ、モデル、女優と、年々活動の幅を広げている。服部プロデューサーは「女優さんとしての印象が強く、芝居巧者な方が礼香を演じたら、礼香の狂気がお芝居としての凶器になってしまう気がしました。礼香は、ただただマサが好きで、まっすぐぶつかっていく不器用な女性。その姿が、傍から見ていると狂気じみてみえる。田中さんはまだ女優としての経験は浅く、鈴木おさむさんが以前、手掛けたABEMAの『奪い愛、夏』に出演されているのを見て、礼香にハマる気がしました。オファーをした時は、ちょうど写真集が大ヒットしていた時なので、(イメージと違うこの役は)断られるかもしれないと思ったのですが、快諾していただいて。こちらの期待を上回る熱演に心から感謝しています」。



■昭和初期の女性らしさとクールキャラを好演する加弥乃



 一方、『エール』の秘書・加弥乃は、AKB48の1期生として、前田敦子、高橋みなみ、小嶋陽菜らとともに東京・秋葉原にあるAKB48劇場の舞台に立ち、アイドル活動をしていただけでなく、2歳の頃から芸能活動をしてきた経歴を持つ。



 NHKの『いないいないばあっ!』に、体操やなりきり遊びのコーナーなどに子役の赤ちゃんとして出演しており、小学生の時に、ミュージカル『アニー』に出演し、キユーピーの「キユーピー あえるパスタソース たらこ」のCMソングを歌っていたことも。小6でAKB48(2005年)に入り、中2で卒業(07年)。卒業後は、主に女優としてさまざま作品に出演してきた。



 『エール』で加弥乃が演じる杉山は、昭和初期の女性らしく上司である廿日市の一歩後ろに立ちながらも、自分の意見を求められれば、ズバッと言うときもある。楽譜を見るだけで曲の良し悪しを判断できるほど、音楽についての高い見識を備えていて、廿日市も彼女を信頼しているよう。杉山の「いいと思います」の一言で、主人公・裕一(窪田正孝)が作曲した曲の初レコード化が決定するなど、要所々々で存在感を見せている。



 実際、昭和初期にヒット曲を量産するレコード会社に、杉山のような秘書がいたのか、ドラマに登場するレコード会社のモデルとなっている日本コロムビアのプロデューサー衛藤邦夫氏に聞くと、「日本のレコード会社としてはうちが一番古いんですが、そもそもレコードは外来のものですので、いわゆる外資系の会社だったんです(1910年=明治43年に「日本蓄音器商会」という名称で設立)。昭和2(1927)年に英国と米国のコロムビア社と提携しました。昭和10年頃まで、社長は外国人だったんです。当時の資料を調べると、秘書やタイピストとして女性が働いていたようです。音楽についてアドバイスできる秘書がいたかどうかはわからないですが、レコード会社で働くということは、英語ができたり、タイピングができたり、職業婦人の中でも稀有な存在だったと思います」。



■2つの音楽業界ドラマ Side『M』

http://www.oricon.co.jp/news/2164399/



■2つの音楽業界ドラマ Side『エール』

http://www.oricon.co.jp/news/2164404/



■放送情報



土曜ナイトドラマ『M 愛すべき人がいて』

テレビ朝日系 毎週土曜 後11:15~深0:05

※6月13日より第4話から放送再開

ABEMA 毎週土曜 深0:05~最新話を配信、全話独占配信



連続テレビ小説『エール』

NHK総合 月~土 前8:00~/BSプレミアム 月~土 前7:30

※毎日再放送あり、土曜は1週間の振り返り、6月29日以降放送一時休止
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