清廉性求めるテレビで“未経験”芸人の需要拡大、渡部の不倫で加速する禁忌

清廉性求めるテレビで“未経験”芸人の需要拡大、渡部の不倫で加速する禁忌

 アンジャッシュ・渡部建の不倫報道が、大きな波紋を呼んだ芸能界。芸人の異性スキャンダルは、“芸の肥やし”と受け取られていた時代もあったが、現在ではそうもいかず、渡部のように番組やCMなどへ多大な損害を与えることも多い。そこで注目されるのが、異性スキャンダルの心配の少なく、清廉なイメージを持つ“未経験”芸人の存在だ。



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■“飲む、打つ、買う”が成功者のステータスだった時代も今は昔



 アンジャッシュ・渡部の不貞行為が初めて報道されたのが、6月11日。報じた『週刊文春』は彼の「芸能界のグルメ王」の二つ名にかけて「テイクアウト不倫」と揶揄し、多くの反響を得た。その後もこの騒動にまつわるニュースは続き、ワイドショーなどでは本人が会見を行うべきという意見、妻である佐々木希への心配の声などが様々に取り沙汰され、いまだ収まる気配はない。



 14日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、東野幸治がこの話題に言及。渡部も出演していた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)の今後について不安を漏らし、芸人仲間に対しても、「ホンマに『不倫してます』なんて言われたら、受け止めて、テレビでしゃべらない自信がない。知らないほうがしゃべりやすいし、聞けなくなった」と発言。芸人自身も、今回の件を受けてナーバスになっていることが伺えるコメントだった。



 かつて芸人といえば、火遊びから不倫まで、女性関係が派手な人も多かった。いわゆる桂春団治の世界だが、横山やすしやビートたけし、故・志村けんさんなど、いわゆるレジェンド級の芸人にこうした話は付きもの。飲む、打つ、買うが成功者のステータスのように語られていた時代もあり、視聴者側も「あの人なら仕方ない」といった受け止め方がされていた。



 「ですが、近年では不倫報道による謝罪会見が増加。のちに復活を果たしたとしても、過去の“汚点”として、視聴者やスポンサーの記憶に残り続ける時代になってきました」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「不倫に厳しい風潮は年々高まっています。渡部さんを見てもわかる通り、その傷はもはや致命的。トップクラスの芸能人と言えど、無傷では済まされません」(同氏)



 一方で、芸人の世界では、もうひとつの異なる風潮が見られる。それは、今のお笑い界を席巻する第7世代にも多いように、“童貞”“未経験”を売りにする芸人が増えたことだ。もちろん、若さのせいもあるだろうが、霜降り明星の粗品、宮下草薙の草薙航基、四千頭身の石橋遼大、女性でもガンバレルーヤがこれに該当する。現在進行形の事実なのか、単なるネタなのかは不明だが、彼らは番組などで異性との経験がないことを告白。2019年には『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で、「夢見るチェリー芸人」なる企画も放送された。



 「とんねるずなどが躍進した80年代後半。世間では“ヤラハタ”(未経験のまま二十歳を迎えること)という新語が流行るなど、未経験であることは、隠したい、恥ずかしいこととされていました。ですが、いわゆるチェリー芸人たちは、未経験でピュアであることをネタにし、笑いを取り、さらには視聴者から好意的に受け入れられています。2002年にアンガールズがデビューしたあたりから、この傾向は見られていましたが、チェリー芸人が一勢力として見られる現象は最近のことです」(衣輪氏)



 経験不足は「暗い」「社会性欠如」などと見られていたが、今ではあっけらかんとオープンにする人も多い。芸人ではないが、ラジオ『オールナイトニッポン』で人気のCreey NutsのDJ松永など、もはや“選択童貞”と言えるような人も存在する。



 「相模ゴム工業の調査によれば、日本の20代男性の童貞率は34.1%。20代女性の処女率は20.9%(最新の2018年版より)。決して“稀少”ではなくなったことも影響しているでしょう。また、インターネット掲示板でも、2002年に『30歳まで童貞で過ごすと魔法が使えるようになる!』というスレッドが話題に。それを引用した豊田悠氏のコミック『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のテレビドラマ化が、先月発表されました。もはや“未経験”“童貞”など性の経験値が少ない状況が、現在のエンタメ界では良質なコンテンツの一つになっているとも言えます」(同氏)



 アンジャッシュ渡部に話を戻すが、不貞騒動が起こって以来、渡部は多数のレギュラー番組の出演を自粛。『王様のブランチ』(TBS系)、『Love music』(フジテレビ系)、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)、『相葉マナブ』(テレビ朝日系)、『白黒アンジャッシュ』(千葉テレビ)など、売れていただけに数が多く、各局がその対応に追われている。さらに夫婦で出演していたCM動画が商品サイトから取り下げられたことも報道され、事実上の降板となっている。



 このように、番組側・スポンサー側にも多大な影響を及ぼす芸人の異性問題。それだけに、スキャンダルを起こしにくい“未経験”芸人は使いやすい存在と言えるかも知れない。



 先日、霜降り明星のせいやによる、既婚女性に対する“ZOOMセクハラ”も話題となった。同情票はあるものの、これにより番組・スポンサーの“安全面”での評価が、相方のチェリー芸人・粗品へと傾くことも予想される。独身者や、普段から“やりそう”と思われている芸人もまた、ダメージは少ないだろう。だが、旧態依然の芸人気質の人を使うよりも未経験芸人を使ったほうが、彼らもイメージを大切にしている分、安全である確率は高いと言える。



 「とは言え、ピュアで売っていた芸人が強烈なスキャンダルを起こせば、即死級の致命傷となります。これはグルメ、博識、清潔感、清廉潔白で売っていた渡部さんの現在を見れば火を見るより明らか。以前、俳優らの薬物問題が続いた際にも、“身体検査”(タレントの身辺に問題がないかの調査)の必要性が語られましたが、芸人の異性関係でも同じことが言われるようになるかもしれません。いつまでも童貞でいろと言うわけではありませんし、それだけで勝負できるわけではない。ですが、“未経験”は一つのストロングポイントになり得る時代となったとは思います」(衣輪氏)



 “傷つけない笑い”が人気を得て、ある意味で“トゲがない”ことがもてはやされる昨今。渡部らのスキャンダルにより、芸人自身の異性関係にもそれは波及し、より一層“未経験”芸人が重宝される時代も来るかも知れない。だが、様々な面で“牙”を抜かれていく芸人たちはどうなっていくのだろうか──? 今後を注視したい。



(文:西島亨)
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