中条あやみ×本郷奏多の心をつかんだ「野菜くずスープ」

中条あやみ×本郷奏多の心をつかんだ「野菜くずスープ」

■特集ドラマ『56年目の失恋』インタビュー



 NHK・BSプレミアムで11日に放送される特集ドラマ『56年目の失恋』に出演する中条あやみと本郷奏多にインタビュー。1964年と2020年の東京を舞台に、昭和と令和、ふたつの時代を生きる男女が、56年という時空を超えて出会うラブストーリーを演じて、2人が思うこととは?



【写真】中条あやみと本郷奏多の撮り下ろしカット



 2020年、東京。フランス料理のコンテストで優勝経験もある中川沙織(21歳/中条)は、一流レストランに入ったものの、自身の料理が評価されず皿洗いばかりの日々に自信と情熱を失いつつあった。そんな時、突如1964年の東京にタイムスリップしてしまう。そこで西洋料理のコック・菊池隆一(26歳/本郷奏多)と出会い、その下で修業することになる。



 食材も限られ、十分な調理器具もない時代に、ひたむきに料理に挑んでいく隆一。その姿を間近に見ながら、沙織はしだいに、料理にとって本当に大切なものは何か、そして料理人として自分には何が足りないかに気づいていく。いつしか沙織は料理人としての尊敬を越えて、隆一に恋心を抱く。しかし、ある事件がきっかけで、突然沙織は再び2020年に戻ってしまう。すべては夢だったのか? そして、再びの東京オリンピックを翌年に控えた56年後の世界で、沙織の恋は突然、終わりを迎えることになる。



 このドラマの演出も手掛ける戸田幸宏(NHK エンタープライズ)が脚本を書き上げた時、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが延期になるとは、想像もしていなかった。3月上旬に撮影していた時でさえ、疑うこともなかったという。物語の設定が覆ってしまったわけだが、メインキャストの2人はいたって前向きだった。



【中条あやみ】「このドラマは、2020年のオリンピックのために新しいメニューを考案するぞ、というところから始まっていて、撮影している時は、オリンピックが延期になるなんて予想もしていませんでした。その部分の設定は変更になってしまったんですが、現代の東京でオリンピックが開催されたらこうだったのかな?と想像して、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。



【本郷奏多】オリンピック・パラリンピックが延期になって残念だな、と思うところもあるんですが、そもそもこのドラマはフィクションですし、56年前にタイムスリップするという物語でもあるので、ドラマとして楽しんでいただけたら、と思います。コロナ禍で「会いたくても会えない」ことが今まで以上に多くなっていると思うんですよね。大切に思うからこそ会わないようにしよう、という選択をすることもありますよね。それとは違うかもしれないけれど、沙織さんがもとの時代に戻ってしまったら、2人一緒にいられなくなる。タイムスリップものならではの切なさをもともとはらんでいるドラマ。「誰かを好きになる、好きだからこそ会いたい、その手にふれたい、しかし、それすらかなわない」というメッセージはより共感していただけるのかもしれないな、と思います。



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 本作で、料理人を演じた2人。特に中条は、調理シーンが多く、火傷や切り傷をつくりながら訓練を積んで、代役なしで演じきった。



【中条】ジャガイモの皮を、ピーラーではなく、包丁でむく練習をかなりしました。指導してくださる方からお肉の焼き方や、料理の盛り付けもいろいろ教えていただきました。



【本郷】中条さんは、撮影スケジュールの中に料理練習が組み込まれていて、すごく努力されている姿を僕は見ていました。フランベも上手で、本当に頑張っていらっしゃいました。僕は、意外と料理するシーンが少なかったです(笑)。



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 家に帰ってからも、ひたすらジャガイモの皮むきの練習をしていたという中条。表にはあまり出ないけれど、実は“負けず嫌い”。本作の主人公・沙織と通じるものもあるようだ。



【中条】沙織は、チャレンジ精神旺盛で向上心が高く、料理に対する情熱をうちに秘めた女性。私も負けず嫌いなところがあるので、共感できる部分が多かったです。



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 一方、突然出現した沙織を家出してきたと思って面倒をみる隆一を演じた本郷は?



【本郷】隆一は一見、言葉数が少なく、無愛想でぶっきらぼうなんですが、心はやさしくて家族思いで、コックという仕事も好きだし、プライドも持っている。男らしくて、かっこいい、尊敬できるキャラクターだったので、まさに僕と一緒だなと思いました(笑)。



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 本郷はふざけて「僕と一緒」と言ったつもりが、中条に「同意見です」と言われ、先の発言がブーメランのように自分に帰ってきてめちゃくちゃ照れる、というオチに。



 高級フレンチレストランや西洋料理店が舞台になっていることもあり、おいしそうな料理で目でも楽しめそうだが、2人から名前が挙がった印象に残ったメニューは、「野菜くずのスープ」。物語の上でもかなり重要な役割を果たしているらしい。



【中条】沙織が「生ゴミ」だと思っていた「野菜くず」で隆一さんがスープを作って、ご近所の皆さんに振る舞うシーンがあるんです。みんなで支え合って暮らしている様子や妹の夢をかなえるために仕事を頑張っている隆一さんの姿に、男気や包容力を感じて、私も演じながらすごく素敵だなと思っていました。



【本郷】台本にも「野菜くずのスープ」と書かれていて、その文字面から、捨てられがちな野菜の切れ端、皮、根っこなどが入ったスープをイメージしていたんです。現場で実物を見たら、水で煮て、野菜くずを取り除いた後のスープだけで。これ、おいしいのかな?と思って飲んでみたら、とても味わい深くておいしくて、すごく驚きました。劇中でも野菜くずスープを飲んで、沙織さんが感動するシーンがあるんですけど、まさに同じ体験を僕もしていました。食材を生かし切るってことを考えさせられた素敵なメニューでした。
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