『控えめに言って最高』日本初の国家公務員YouTuber話題「公務員らしくない表現をしたい」

『控えめに言って最高』日本初の国家公務員YouTuber話題「公務員らしくない表現をしたい」

 日本初の国家公務員YouTuberとして今年デビューした『BUZZ MAFF(ばずまふ)』。全国の農林水産省の職員から選抜された14チームが各地の農産物の魅力などを発信しており、じわじわと人気を伸ばしている。中でも、九州農政局の白石くんとノダさんの『タガヤセキュウシュウ』の動画は、見るからに真面目な2人が頑張ってふざけるシュールな姿に、「控えめに言って最高」「賢さと育ちの良さが隠し切れてないの笑う」「本気とユーモアのバランスが最高」などと反響を呼んでいる。自ら構成・編集も手掛けているという2人に、“真面目にふざける”難しさを聞いた。



【動画】「めちゃくちゃ笑ったwww」懸命にふざける白石くんとノダさんカット集



■“上司は内容に一切口を出さない”ルール 寛容すぎる大臣に「日本の未来は明るい」



 『BUZZMAFF』は、江藤拓農水相の呼びかけのもと、1月からスタートした農水省SNS発信プロジェクト。江藤氏は「上司は内容に一切口を出さない。評価はネットを見た方に委ねる」と断言しており、『大臣にアフレコしてみた』という大臣をいじる動画まで公開されている。



 これには「毎度ネタが秀逸すぎて本当に公的機関とは思えない」「これを決裁回してるのが1番おもしろい」「これこそ役所の進む道」「日本トップクラスの優秀な人材がこんなことしてくれていると思うと、日本の未来は明るい」などと、江藤大臣の寛容さや公務員らしからぬユーモアに称賛の声が寄せられている。



――YouTubeを始めようと思ったきっかけは?



【白石】去年『BUZZMAFF』の立ち上げに当たり、省内で全職員に公募があった際に、私からノダを誘いました。ノダは元々カメラマン志望だったんですけど、やっている内になかなかキャラが良いなと思いまして、結構がっつり出てもらうようになったという感じです。元々、所属の課は違いましたが懇親会などを通じて交流があり、いまでは先輩後輩というより友達のような感じでもあります。(私が後輩ですが…笑)。



――最近では河野太郎防衛大臣のTwitterも度々話題になっていますが、“国家公務員はお堅い”というイメージを変えたいといった思いもあったのでしょうか。



【白石】それは強く思っていましたね。普段、農家の方々との意見交換や情報収集を行う仕事をしているので、その経験を生かして、農家さんの生の声を発信したいという思いもずっとありました。なので、“国家公務員らしくない発信をしていこう”という『BUZZMAFF』の趣旨に強く共感し、応募しました。



――実際にYouTubeを始めてからの反響はいかがでしたか。



【ノダ】予想以上の反響で驚きました。YouTubeをやっていることを友人にもあまり明かしていなかったので、動画が話題になったときに、「なにやってんの」とイジられるような連絡が来ました(笑)。



【白石】実際に動画内で紹介した農家さんから感謝のご連絡をいただきましたし、他の行政機関から参考にさせてほしいという問い合わせを多くいただいています。そういった意味では、行政機関の情報発信としては画期的なのかなと思っています。



――ノダさんの「大臣からの呼び出し」動画には大きな反響がありましたが、大臣との関係性は?



【ノダ】呼び出されたときは怒られるんじゃないかと覚悟していったんですけど、「すごい頑張ってるね」って声をかけていただいて安心しました。大臣は『BUZZMAFF』の動画は、全て飛ばさずにチェックしているそうです。



■行政機関が自由に情報発信をする難しさ「コメントはすべて読んで批判も受け止めている」



――動画の内容はどのように考えられていますか。



【白石】ノダと週1で話し合い、ネタの研究も自分たちで行なっていました。本当に自由な発想でやらせてもらっていますが、当初のルール通り、今まで上司からストップや指示が入ったことはないですね。



――“国家公務員らしくない発信”をするために心がけていたことはありますか?



【ノダ】かたくなりすぎず、素でやるということは心がけていました。



【白石】自分の言葉で伝えることですかね。自分は鹿児島出身で、気を抜けば方言がばりばり出ちゃうんですけど、自分の故郷の言葉を大事にしているというのがあります。テロップに関しても、若者言葉とかも使ったりして視聴者の目線に合わせることで、行政機関が一方的に発信していくのではなく、視聴者の方が楽しめるような動画作りを心がけています。



――「NGあえて直さないの最高で一生笑ってる」などというコメントもありましたが。



【白石】最初は上手くいくまで撮り直してたんですけど、編集していく中でノダが噛んでいる所は面白いなと。最近芸能人の方々もYouTubeに参入してきていますが、私たちは伝え方のプロじゃないので、狙って面白いことをやろうとしても絶対敵わないんですよね。なので、噛んだなら噛んだでそのまま使って、ハプニングもそのまま使って、真面目に伝えるべき部分は真面目に。それも含めて、素の自分たちらしさになってるかなと。



――撮影時の印象に残っているエピソードがあれば教えてください。



【白石】ノダが噛み噛みの動画を初めて出したとき、面白いって評判が良かったんです。そしたら、次の撮影で味を占めたノダが噛もう噛もうとしているのが一目瞭然で。やっぱり狙って噛み出すと極めて興ざめというか(笑)。なんて面白く無いんだろうと思いました。その時は「わざと噛んでますよね。普段通りやってください」って伝えたらすらっと読めたので、そこはそのまま動画に使いました(笑)。



【ノダ】これでいいのかなって感じでやりにいったというのはありましたね。すみません。



――確認ですけど、ノダさんが先輩ですよね(笑)。本当にお2人は相性が良いように感じますが、制作においてお役所ならではの難しさなど感じることはありますか。



【白石】めちゃくちゃありますね。行政からの情報発信なので、誤った情報や政策にそぐわない内容をお伝えしてしまうことのないよう、正確性のチェックは担当課にも協力してもらいながら厳重に行なっています。また、ふざけすぎてもダメな反面、最後まで動画を見ていただかないと本末転倒なので、そのためのポップな演出も必要だと思っていて、“真面目にふざける”バランスはすごく難しいですね。



――「公的なYouTubeでコメント欄が解禁されてるのって珍しいと思う」という意見も寄せられていました。



【白石】いただいたコメントは隅から隅まで全部読んでいます。やはりYouTubeというのは視聴者ありきのものですが、コメントを見ていると、自分たちの意図とは違う見方に驚かされることがよくあるんですよね。何気なく入れていたテロップが「ここ面白い」とウケたり、反応を予想できないのは結構苦労する部分で、すごく考えますね。もちろん批判を受けることもありますが、全てのコメントを見て勉強させていただいております。



■ノダさんが4月に東京異動に悲嘆の声も コンビ解散後も「毎日電話してます(笑)」



――ノダさんが4月に東京へ異動となり、視聴者からも悲嘆の声が挙がっていましたね。



【白石】私もやはり悲しかったですね。今でも週に2回ほど他の職員も誘ってオンライン飲みをしたり、電話はほぼ毎日したりしてます(笑)。自分が出した動画の感想を聞いたり、面白かったネット動画の話などをしています。



――今後、どのような動画を発信していきたいですか。



【白石】最近はコロナ禍で熊本県から出られていないので、九州の他の県に出向いて農家さんの声を聞いて九州全体を盛り上げていきたいですね。チャンネルとしては、農水省、農林水産業というものに関心がない層にも見ていただけるようなチャンネルにしていけたらいいなと思っています。





(取材・文=鈴木ゆかり)
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