Xジェンダードキュメンタリーで当事者が思い「何かを感じてくれたら」 自分らしさを問う

Xジェンダードキュメンタリーで当事者が思い「何かを感じてくれたら」 自分らしさを問う

 詩人、アクセサリー作家、声優として活動する小林空雅/このみ、NPO法人などで働く中島潤が25日、東京・アップリンク渋谷で行われたドキュメンタリー映画『ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき 空と木の実の9年間』(公開中)のトークイベントに参加した。



【写真】思いの丈を語った小林空雅/このみ



 小林は中学2年の時に制服をセーラー服から学ランに変更。高校も男子生徒として通い、在学中からホルモン注射など体の治療も開始した。卒業後はアルバイト生活の後、20歳になるとすぐに性別適合手術を受け、戸籍の性別を男性に変更した。その後、自身の性別が女性でも男性でもないことに気がつき、性別によって振り分けられる社会を離脱。本作は、小林が15歳から9年間にわたって取材した記録で、小林はナレーションも務める。



 同作で小林を大きく変える存在だった中島。劇中となる5年前は会社でカミングアウトをし、働きつつ性の多様性についての発信をしていた中島だが、大学院で学び直して今は転職したそう。大学院では、男女のどちらにも分けきれないXジェンダーについての研究をし「大学生のころの自分と同い年の子なんだ、と思った。昔の自分に『悩んでいいんだよ』ということを伝えたくてお話をしていた気がする。そんな印象だったな」と初邂逅を口にした。



 この5年について小林は「性別やセクシュアリティの話題については、だいぶ進化した。学校の制服が男の子、女の子に関係なく、ズボンやスカートを選べるようになったり、誰でも使用できるトイレが増えてきた」とポジティブな変容を語りつつも、「これは、いいこととは思いきれないけど、LGBTQの言葉の普及はスゴいなと思います。ハードルが低くなった。嫌悪感を明らかにする人は5年前、10年前はいた。サラッとした人が増えたかな」と話した。



 最近は映画やドラマなどでLGBTQとされる人物も増えてきた。中島は「今、過渡期なんじゃないかなと思います。もう、あと2~3歩進んだら『近所にいるのを知ってる』『学校で会ったことある』になる。そこから、また100歩進んで『昔はLGBTQって言われてたんだね』っていう時代が来たらいいな」と願いを込める。小林も「『LGBTQ』という言葉も1つの枠。カテゴリーはある意味、便利なもの。ネットショッピングもカテゴリー検索をします。人間で言えばカテゴリーに入ることで安心する人もいる。『自分は、このカテゴリーです』と言う分にはいいと思う。ただ、人を『あなたは、このカテゴリー』と決めつけたり、強制したりするのは嫌。切に、その時代が来ると願っています」と同調していた。



 最後に小林は「観ていただいて、何かを感じてくれたらうれしい。性別のことをテーマで使っているけど、考えてほしいのは『自分を生きる』『自分らしさ』ということ」とメッセージ。中島は「人と自分が違う不安を感じた時に、それを無理にみんなの側に合わせなくてもいいのかもしれないというのを感じられるきっかけになれば。それはセクシュアリティとかジェンダーに限らない。自分と隣の人は、これまで生きてきた経験も、考えていることも違う。そうやって違っている私たちだけど、たまたま今は同じ時代を生きている。共に生きているんだとしたら、互いに敬意を持って対話ができたら幸せ。そうやって安心して生活できる環境が増えたらいいなと感じています」と思いの丈を語った。
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