金子大地&甲斐翔真&小室ぺい、共演で得た互いへのリスペクト “世界のはじまり”を語る

金子大地&甲斐翔真&小室ぺい、共演で得た互いへのリスペクト “世界のはじまり”を語る

 小説家と映画監督の二足のわらじを履くふくだももこ監督の最新作映画『君が世界のはじまり』が31日に公開を迎える。本作で、松本穂香演じる“縁(えん/ゆかり)”を取り巻く男子高校生を演じた金子大地、甲斐翔真、小室ぺい。三者三様のキャラクターを演じた彼らが、自身の役柄や共演した印象などのトークを繰り広げた。(取材・文:磯部正和)



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■ふくだ監督の撮影手法に驚き 小室の初演技を金子&甲斐が絶賛



 ふくだももこ監督の小説『えん』(すばる文学賞佳作受賞)と、『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』の2作品を、脚本家・向井康介が紡いだ本作。金子は、父親の再婚相手の暮らす大阪に東京から引っ越してきた伊尾を、甲斐は女子生徒から絶大な人気を誇るサッカー部の主将で、えんとは気心が知れたクラスメイト岡田を、小室はえんの親友・琴子(中田青渚)が一目ぼれしてしまう高校生・業平を演じている。



 ふくだ監督と言えば、舞台あいさつなどでは非常に明るく、ファンキーな面ものぞかせるパワフルな印象があるが、金子は「イメージしていた通りでした。とにかく映画が好きでお芝居が好きな方。段取りやリハーサルで回数を重ねるのは感情を何度も動かすのでとても集中力が必要なのですが、ふくだ監督はとにかくたくさんリハーサルをする。今回初めての経験でしたが、たくさんリハーサルをすることで見えてくる感情や、新しい発見がありました」と新鮮な現場だったという。甲斐も「現場で発見していくタイプの方でした。テストを重ねることで、キャラクターのさまざまな感情を模索して導き出される監督なんだなと思いました」と特徴を述べる。



 一方で、普段はロックバンド・NITRODAYのボーカル・ギターを担当するミュージシャンの小室は、ふくだ監督の熱列なオファーによって、俳優デビューを果たした。「一昨年ぐらいに執筆した文章をふくだ監督が読まれたようで、そこからライブに何度も来ていただきました。最初映画の話を聞いたときは、びっくりしたのですが、断る理由がみつからなかったし、すごくいい機会をいただいたなと思って『頑張ります』と言いました」。



 そんな小室に対して、俳優の先輩である金子や甲斐は、演じた業平との親和性に驚いたという。「初めて台本を読んだときの業平のイメージを持ったまま、リハーサルにいったら、そこにぺい君がいたのですが『業平だ』と思ったぐらいイメージが合致していました」と甲斐が証言。すると、金子も「ぺい君はいつも『なにを考えているんだろう?』と思うぐらい本当に不思議。でも、ショッピングモールで歌うシーンとかは、とにかく格好良くて、歌の最後に『頑張れ!』っていうシーンは、絶対僕には言えない『頑張れ』だなって」と称賛していた。



 さらに金子は「お芝居を何度か経験している人が、初めてお芝居をする人にまったく敵わないことがあると思うのですが、まさに今回のぺい君がそうです。僕は一つの作品が終わると、その役のくせがついてしまったりすることがあるのですが、原点に戻るというか、型にはまらないようにしないと…と改めて感じました。そういった意味でぺい君にはすごくジェラシーを感じました」と胸の内を明かす。



 二人の称賛に小室は「僕はお二人を見てすごいなって思っていました。右も左もわからない中、金子君と甲斐君が芝居を通じて作品を作っていく感覚についていった感じです」と謙遜する。



■“世界のはじまり”を語る「こんな時代だからこそ『人にやさしく』」



 一方、所属事務所が同じ金子と甲斐は、本作が初共演。金子は「翔真と芝居をするのは初めてでした。勝手にかっこよくて男らしいイメージを持っていたのですが、岡田を観たとき、もともと翔真って岡田みたいな面があるのかなと思うぐらい、岡田のキャラクターに感情移入できました」と芝居を褒めると、甲斐は「本当に芝居が好き、映画が好きというのが伝わってきました。新しい一面が見えた気がします」と金子への印象を述べる。



 新型コロナウイルス感染拡大により、エンターテイメント業界は未曽有(みぞう)の打撃を受けている中、映画が公開を迎える。作品名にちなんで「世界がはじまると感じる出来事や出会い」を問うと、甲斐は「ある意味で今この情勢」と回答する。その理由について甲斐は「今までの形が一気に崩れて、新しいことが生まれる可能性があるのかなと思うんです。エンターテイメントのあり方も変わってきた。いろいろと考える時間がはじまったのかなと思います」と苦境も前向きにとらえる。すると金子は「こんな時代だからこそ『人にやさしく』と言いたいですね」と追随する。



 小室は「これまで好きなミュージシャンや芸人さんなど、いろいろな方との出会いはありました。そういう人たちによって、世界の始まりだと感じられることは、とても素晴らしいことだと思うのですが、もしその人がいなくなってしまったらと考えると悲しくなってしまう。僕はなるべく自分で自分の世界を始めていければいいなと思っています」と自身の考えてを述べてくれた。



作品情報

映画『君が世界のはじまり』

ふくだももこ氏の原作を脚本家・向井康介氏が再編。ふくだ氏は、デビュー小説『えん』が、すばる文学賞佳作を受賞し、映画監督としての顔も持つ。主演の松本穂香とは『おいしい家族』(19年)でタッグを組んだ。その『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』の2作品を向井氏がひとつの青春物語に完成させた。大阪のすみっこの町で退屈な日々を過ごす高校2年生の少女・えん(松本)。変わらない町でくすぶる高校生たちの、危うくも儚い青春ストーリーが描かれる。7月31日より、テアトル新宿ほかで公開。
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