小芝風花、コメディエンヌの道で開花 若くして演技のふり幅広げる女優たち

小芝風花、コメディエンヌの道で開花 若くして演技のふり幅広げる女優たち

 新ドラマ『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)で、民放連続ドラマ初主演を務める小芝風花。NHKほか地上波ドラマでの活躍が続く小芝だが、ここ最近はコメディ色の強い役どころで爪あとを残しており、そのポジションを確立しつつあるようだ。かつての若手女優といえば、無垢な清純派イメージを重視。30代を過ぎたあたりからようやく、悪女役やコメディなどさまざまな作品に挑戦して役の幅を広げるのが一般的だったはずだ。しかし、ここ最近はその流れが早まっているようにも見受けられる。若くしてイメージ定着を恐れず、果敢にコメディエンヌの道を歩む小芝の軌跡と女優力に迫る。



【画像】くびれキュッ!ビーチでフレッシュボディを披露した小芝風花



■相次ぎ地上波ゴールデンに出演、追い風を受ける実力派女優



 小芝風花といえば、昨年1月期の『トクサツガガガ』(NHK総合)での特撮をこよなく愛する隠れオタクの主人公・仲村叶役も記憶に新しい。前向きに生きる姿や、好きなものを通して出会った人々との交流を描いたコメディドラマで愛嬌たっぷりにオタク女子の悲哀を好演。視聴者層の広いNHKでその名前と顔を売った。



 さらに、今年4月期の『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)のヒロイン役では、サスペンスに留まらずコメディ、ラブストーリー、グルメドラマなど多様なジャンルにまたがる同作において、シリアスな演技とともにコメディエンヌとしてのコミカルな姿を惜しみなく披露。その存在感を際立たせた。



 そうしたなか、今回は民放連続ドラマ初主演にしてオリジナル脚本のホラーコメディ『妖怪シェアハウス』に抜擢された。小芝は、気弱で言いたいことも口に出せず、空気ばかり読んでいる女の子・目黒澪を演じる。澪はルームシェアをしている妖怪たちに出会い、その自由で縛られない姿に感化され、やがてたくましく成長していく。



 小芝がこれまでの出演作で示してきた演技力と、コメディエンヌとしてのはじけっぷり、とぼけ役における技量から、小芝ならではのポジティブオーラを溢れさせるコミカルな澪役の好演への期待が高まる。SNSでは「笑顔に癒やされながら、笑わせてもらえそう!」「キラキラ笑顔の座長のドラマたのしみすぎる!!」など早くも盛り上がりをみせており、放送後の反響も期待できそうだ。



■平均から抜け出せない“優等生”タイプだった下積み期



 大阪出身の小芝は、中学生だった2011年、武井咲の妹キャラクターを選ぶオスカー主催の『ガールズオーディション』でグランプリを獲得。翌年に『息もできない夏』(フジテレビ系)で女優デビューし、2013年にはスタジオジブリのアニメで知られる『魔女の宅急便』の実写映画版で主人公のキキを演じた。



 メジャーシーンでの華々しいデビューだったが、映画は興収5億円に届かず、話題性のわりに不振に終わる。その後も、数多くのドラマや映画に出演するものの、優等生的なキャラクターゆえ飛び抜けた存在感は示せず、厳しい競争にさらされる若手女優のなかで、トップグループ入りにまでは至っていなかった。



 本人は、根っからの努力家のうえ、朗らかで人当たりも良く、メディアやスタッフなど関係者の好感度は高い。しかし、女優として与えられる役は真面目なキャラクターが多く、19歳の頃に生徒役ではなく先生役で起用されたこともあった。デビュー後、早くから出演作品は途切れることなく続いていたのだが、ストーリー上は目につく役柄が少なく、あまり印象に残らない結果になりがちだった。



 個性豊かな才能があふれる芸能界では、ルックスやスタイル、演技、トーク力といったスペックの平均点よりも、とびぬけたなにかが重要。平均点は高いが突出していない優等生タイプの小芝は、清楚な佇まいや愛らしいルックス、明るく元気なかわいらしさを持ち合わせながら、いまひとつブレイクへの波に乗れなかったようだ。



■『トクサツガガガ』のドタバタ劇で発揮した存在感



 そんな小芝のひとつの転機になったのが、2017年の『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京系)。初のコメディでふりきった顔芸を毎話のように見せるとともに、取材などでも関西人らしい素顔をのぞかせるようになっていく。また、昨年放送された『女子的生活』(NHK総合)では、強気で毒を吐くセレクトショップ店員役で、トランスジェンダーで女装した主人公(志尊淳)とのベッドシーンにも臨んだ。NHKドラマへの出演が多い小芝だが、真面目さをベースにしつつ、着実に役の幅を広げてきていた。そして、連ドラ初主演となった『トクサツガガガ』へとつながる。



 同作のチーフプロデューサーであるNHKの吉永証氏は「役柄には、役者さんが持っている性格や人柄、雰囲気がにじみ出てきます。そうしたことを踏まえて、素直で誰からも好かれる小芝風花さんに演じていただきたいとオファーしました。小芝さんなしではこの作品は今の形にならなかった」(ORICON NEWSインタビュー)と高く評価する。



デビュー以来、地道に積み上げてきた演技力もあり、小芝ならではの役柄にハマった芝居が、観る者に感動を与える女優として静かなブレイクを迎えたのだ。



■イメージ定着を恐れず、果敢に挑む女優道



 数多くの作品で積み重ねてきた実績に裏打ちされた演技力と、元来のコメディエンヌとしての気質がある小芝。2015年のORICON NEWSインタビューでは、「負けず嫌いです。例えるなら“内心メラメラ”タイプ(笑)。なので、観ている人に“この子、いつか何かをしでかすんじゃないか”と思わせるような演技をしたい。私はおばあちゃんになるまで女優でいたいと思っているので、まわりに流されることなく、与えられた役を一生懸命演じていきたいです」と女優業への熱い意欲を語っているが、そんなところもスターとなるべく資質のひとつなのだろう。



清楚で女子力が高く、優等生タイプがハマるイメージを持っているにも関わらず、コミカルな要素が加わった当たり役を自ら引き寄せ、そこからのギャップも魅力とし、より輝く存在となっている。作品に恵まれぬ不遇の時代を経て、自分なりのポジションを見つけたいま、その役に取り組む真摯な姿勢がようやく実を結びつつある。



 若くしてコメディエンヌという道を歩みはじめ、女優としてのイメージ定着を恐れず、ドラマシーンでそのポジションを確立しようと邁進する姿からは、溢れ出るような力強いエネルギーを感じる。



■うまくいけば親近感につながる“コメディエンヌ”というポジション



 じつはここ数年、若手女優の演技の幅が広がりを見せている。清純派イメージにこだわらず、悪役やクセのある役も恐れない。20代前半にして、インパクトの強い個性的な役柄に積極的に挑む傾向があるようだ。



 ここ最近は、映画『今日から俺は!!劇場版』の大ヒットをけん引する橋本環奈を筆頭に、『美食探偵 明智五郎』や『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』(テレビ東京系)などでブレイク中の富田望生ら、若年層のコメディエンヌの活躍が目立つ。高嶺の花的な敷居の高い印象を抱かせる美少女女優にとっても、コメディの役どころはうまく演じれば親近感を抱かせることができる有力なアプローチ手段となるのだろう。



コロナ禍を経て、ドラマシーンにも笑いや和やかな温かみのある物語が今後より求められていく。そんななかでコメディエンヌは不可欠な存在であり、これからますます需要が高まっていくことは間違いない。その若手女優の第一人者として名乗りを上げた小芝風花。その活躍の場はこれからさらに広がっていくことだろう。

(文/武井保之)
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