「男だけどかわいいものが好き…これってヘンなの?」“男の娘”描く作者の思い

「男だけどかわいいものが好き…これってヘンなの?」“男の娘”描く作者の思い

 ロングヘアのウィッグをかぶり、女子生徒用のセーラー服を着て学校生活を送る男子高校生・まこと。そして、まことを女子だと思い込み、「好きです!付き合ってください」と告白をする後輩女子・蒼井。そんなふたりの青春物語を描いた漫画『先輩はおとこのこ』が話題を集めている。まことが女装男子だとわかった後も、諦めない後輩女子の姿に、「男でも女でもいいですね」「男の娘の何がいけないのか俺にはわからない」などと、多くの反響が寄せられている。この漫画を描こうと思ったきっかけや、セクシュアリティに関する考えなど、作者のぽむ先生に話を聞いた。



【漫画】セーラー服のおなかをちらっ “男の娘”が「どうしても伝えたかったこと」



■「普通の男の子・女の子はこう」という考えはどうしてもある 作者の葛藤



――『先輩はおとこのこ』のストーリー着想のきっかけをお聞かせください。



【ぽむさん】今まで女の子しか描いていなかったので、なるべく男性キャラを描かなくていい、女の子同士のお話にしようと最初は考えていました。でも、プロットを考えているときに、社内の方に「女装男子にしちゃえば?」と言われて、見た目が女の子っぽい男の子なら描けそうだと思い、男の娘を描くことにしました。



――ウィッグをかぶり、女子用のセーラー服を着て過ごす男子高校生が主人公の漫画ですが、このような設定にした理由は?



【ぽむさん】「1話目の最後に女装だということをバラす!」ということだけ決めて描き始めたので、まずそのコマをどんな絵にするべきかを考えました。女の子らしいロングヘアが偽物で、その下が男の子っぽい髪形なら、1コマで実は男性だということが伝わると思いました。制服をブレザーにすることも考えたのですが、それだと男女で差が少ないので、より男女で制服の形に差があるセーラー服・学ランを選びました。



――「男の子だけどかわいいものが好き」な人は10代20代には浸透しつつも、作中では主人公の母が反対しています。「男の子だけど」といった見方について、先生はどのように感じていますか?



【ぽむさん】私自身、「普通の男の子・女の子はこう」みたいな考えはどうしてもあるのですが、そういう偏見なしに物事を見られたらいいなと思っています。主人公にここまでさせちゃうと読者に受け入れられないかな…?でもかわいいかな…?みたいなラインを考えながら描いていますね。



■思い悩む主人公との対比を作りたい “後輩女子”や“親友男子”との青春



――作中で「(スカートの)セーラー服を男子が着ることを認めている」のは、モデルとしている学校があるのですか?



【ぽむさん】モデルはないのですが、描くにあたってインターネットで調べてみて、そういった学校が思っていたよりも多く存在することを知り、驚きました。



――まことが女子だと思い告白してくる後輩女子は、女装男子であることをカミングアウトされても受け止める姿が印象的です。キャラクターの性格への工夫を教えてください。



【ぽむさん】主人公を色々なことで思い悩むキャラにしたかったので、その対比で「そんなのどっちでもいいんだよーーー!」って全力で言ってくれるキャラを作りました。主人公は動きが少ないので、後輩女子は常に止まっていないというか、どこかが動いている子にしました。動きは声優の金田朋子さんを参考にしています。



――親友男子のりゅーじが抱く、「友情か恋心かわからない」というもどかしさを表現する際のこだわりはありますか?



【ぽむさん】私自身が、りゅーじのまことへの気持ちを、「恋心」という枠に入れてしまわないようにしています。



■「暗くすると疲れちゃうので」「好きなものは好き」という気持ちで描いてます ――セクシュアリティに関する葛藤は“重い”テーマですが、青春ものらしい“明るさ”が支持されています。読者が読みやすいように、気をつけている点はありますか?



【ぽむさん】文字をなるべく少なくすることと、物語全体が暗くなりすぎないようにすることです。文字が多いと読むのが大変なので、なるべく行動や絵で意図を伝えるよう心がけています。また、暗いシーンが続きすぎると疲れちゃうので、意図的に明るいシーンを入れています。あと、私がストーリーを決めてしまわないようにしています。それぞれのキャラの行動を尊重して追いかけていこう、という気持ちで描いています。



――作品全体を通して、性別に関わらず「好きなものは好き」と思う気持ちと多様性を尊重する大事さを感じたのですが、そのあたりも作品のテーマなのですか?



【ぽむさん】初めはあまり考えて描いていなかったのですが、まことの問題を掘り下げていくうちに、私も大事にしたいと思えてきました。



――最後に、先生がこの作品を通じて伝えたいことは?



【ぽむさん】自分自身を大事にすることです。自分の好きなことや好きな人、選択を大事にするということを描いていけたらいいな、と思っています。
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