安室ちゃんにAYU…いま“再確認される”平成ガールズカルチャー「女子高生のエネルギーはカオスだった」

安室ちゃんにAYU…いま“再確認される”平成ガールズカルチャー「女子高生のエネルギーはカオスだった」

 安室奈美恵、浜崎あゆみを筆頭に、大きな盛り上がりを見せている平成のガールズカルチャー。90年代~00年代に女性の間で流行した品を趣味でコレクションし、SNSに投稿しているTajimaxさん(@rainbow_wool)は、平成のガールズカルチャーから「女子高生たちの“カオス”なエネルギーが感じられる」と語る。当時のJKたちの指標となったのは? 懐かしの『セシルマクビー』や『LOVE BOAT』をはじめとしたギャルブランドがもたらしたものは?平成の女子高生たちの“生き様”を聞いた。



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■有名校のスクールバックから雑誌までコレクション「日に日に物が増えてく…」



――90年代~00年代のカルチャーにまつわる文献やグッズをツイッターにアップして話題を集めていますが、反響についてはいかがですか?



【Tajimax】気がついたらフォロワーが増えていてびっくりしていますが、私が「平成ガールズカルチャー論。」のアカウントを始めたのが、ちょうど平成から令和に切り替わる時期だったんです。みんなが平成を振り返ったりしていて、非常にタイミングがよかったのだと思います。



――なぜ平成のガールズカルチャーに興味を持ったのですか?



【Tajimax】自分が過ごした青春時代で、自分を形成した時代でもあるので、もともと90年代~00年代が大好きでした。あとは私自身が中高女子校育ちで、クラスにいるギャル系から裏原系まで様々な女の子の生態を見てきました。また不況と言われていた割には、女子高生ともども非常にパワフルな時代で、色んなカルチャーがストリートで生まれていました。そんなエネルギッシュなところにも魅力を感じていたんです。



――当時の文献やグッズを集めるようになったきっかけは?



【Tajimax】そもそも物持ちがいいので取って置いたものもあれば、ある日突然思い出して、オークションとかで探して買い直したものも多々ありますね。



――どのくらいの収集数があるものなのですか?



【Tajimax】細かい物を含めると、恐らく100以上はあると思います。雑誌に関しては昔から大好きでオタクだったので、特に多いです。私自身は自分のことを特にコレクターだとは思っていないのですが、なぜか日に日に物が増えていきます…。



■“大人っぽさ”や“セクシーさ”を求め…安室奈美恵に憧れた90年代の女子高生たち



――90年代の雑誌を見ていると“大人っぽさ”や“セクシーさ”を追及していたように思いますが、それはなぜだったのでしょうか?



【Tajimax】私は学者ではないので、あくまで個人の意見ですが、93年頃からの「女子高生ブーム」からずっと注目され続けていたことが要因ではないかと思います。10代の女の子って勘がいいですし、“大人が注目する”ことの期待に応えていた部分も多少はあるのではないかと…。安室ちゃんをはじめ、アーティストの全盛期というのもあり、今の時代の“かわいい”よりも“かっこよさ”を追求した結果、“大人っぽさ”や“セクシーさ”にたどり着いたような気がします。



――『セシルマクビー』『LOVE BOAT』『アルバローザ』などのショップバッグを持つことも流行りました。当時のギャルブランドの戦略については、どう感じていますか?



【Tajimax】ショップバッグも手鏡も、当時SNSがなかったからこそ、一過性のブームではなく一つの時代を築けたのだと思います。クチコミや雑誌など今の時代と比べるととても原始的な手段ですが、本当に広がりがすごかったので。そのブランドの洋服を買えなかったとしても、ショップバックや手鏡を持っているだけで、なんか“それっぽくなることができた”んですよね。『LOVE BOAT』のミラーなんてあのシンプルなロゴだけで90年代の代表アイテムに君臨したのも、改めて考えると面白いです。



――確かに、すごい時代ですよね。



【Tajimax】雑誌が元気で、ストリートも熱を帯びていた時代だったので、ギャルブランドのアイテムも、カリスマ店員が着れば飛ぶように売れて…。世の中は不況でしたが、アパレルブランドはキラキラしていたように思います。



――当時流行っていた安室奈美恵さんは、当時の女性たちにとってどんな存在で、どんな影響をもたらしていたのでしょうか?



【Tajimax】一言で言えば「90年代を代表するカリスマ歌姫」ですが、当時は安室ちゃんの外見だけではなく、内面的な“強さ”や“かっこよさ”に憧れたのだと思います。顔はあどけなくても雰囲気がとても大人っぽい。そして、当時はモデルブームでスタイル重視だったので、8頭身のスタイルの良さも憧れの一つでした。厚底ブーツやミニスカートといったファッションも、スタイルを良く見せるために辿り着いた結果です。あと、あまり着目されていませんが、R&BやB系ブームを先導したのも安室ちゃんです。



■“かわいい”ブームが主流の00年代 浜崎あゆみやエビもえが象徴に



――00年代になり、新たにフィーチャーされたものとしては何が挙げられますか?



【Tajimax】制服に関しては、03年くらいまでは90年代の影響が少なからず残っていました。一番肌で感じたのは“かっこいい”ブームが去り、さまざまな面で“かわいい”ブームが到来したことですね。ファッションもメイクも、10年以降からそれがより加速したと思います。



――00年代で、女子高生のカルチャーとしてプリクラも確立されたのですかね?



【Tajimax】確立というより“進化”ですね。現在もさらに進化をしていると思いますが…。1995年に登場した「プリント倶楽部」から、00年代では「花鳥風月」や「雪月花」など色々な機種が登場して“盛る”という文化も強まった時代。今は今でスマホで自撮りにこだわっていますよね。「最高の瞬間を残したい!今の最高の自分を残したい!」という女子高生のマインドはいつも変わらないのだと思います。



――ファッションはギャル系からお姉系に?



【Tajimax】00年辺りから、お姉系ブームがストリートに登場しました。ただ、80年代のオーソドックスなコンサバスタイルとはちょっと違い、より“エレガントでゴージャス”といった進化したコンサバスタイルでした。00年のコンサバスタイルは、「神戸お姉系」「名古屋嬢」とさらに細分化していきました。



――そこから「エビもえブーム」にもつながるのですか?



【Tajimax】『CanCam』のエビもえブームを筆頭に、コンサバ・きれいめスタイルは加熱していきました。それまでは個性的でかっこいい女子がフィーチャーされていましたが、エビちゃんの登場により、かわいくて女の子らしいことがポジティブに受け入れられたんだと思います。エビちゃんは全面的に“かわいい”を体現した00年的なルックスだと私は思います。



――もえちゃんは?



【Tajimax】もえちゃんもストリート雑誌などで90年代からずっと見てきたファンにとっては、新たな指標になったのではないでしょうか。私はよく「90年代はどの系統に進んでも欲望の蟻地獄だった」と言っているのですが、この時代も表参道ヒルズや海外路面店が数多く出店して、高級ブランドを持つことがステータスだったので、00年代もファストブランドが乱立する08年くらいまでは、どの系統にいってもお金がかかる…欲望の蟻地獄だったと思っています(笑)。



――地獄だったんですね(笑)。



【Tajimax】今のほうが肩肘張らずに、見栄を張らずに生きていけていいなとは思います。でも、見栄を張らないことで流行が生まれなくなって、飽和化してちょっとつまらないという部分はあるかもしれません。覇気がないというか…。だから、「90年代とか00年代は面白い」と言う今の子も意外と多いです。人間が生きていく上では、多少は見栄とかプライドも必要なのかもしれないですね。



――90年代でいう安室奈美恵のように、00年代の女子高生のカリスマ的存在といえば誰になりますか?



【Tajimax】00年代のカリスマといえば、AYU一択です。安室ちゃんと唯一異なるのは「流行を生み出し提示する」点だと思います。CDをリリースする度に話題になりましたし、MVや雑誌で着用していた服のスタイルが、すぐにアパレルブランドで展開されるのも特徴的でした。ヒョウ柄、カモフラ柄、千鳥格子、金髪ショート、ネイルと、AYUが生み出した流行は幅広いです。



■「掘り下げたらまだまだ面白い」 90年代や00年代のカルチャーは再確認されていく



――90年代と00年代のガールズカルチャーには、どんな違いがあるのですか?



【Tajimax】いつの時代も女の子が持つエネルギーは計り知れないですが、そのエネルギーがマグマのように噴き出て一気に世に知らしめたのが90年代です。特に、女子高生は「女子高生ブランド」と言われる時代でしたし、あの109ですら、女子高生に特化して大成功をおさめたほどですから。90年代に女子高生に救われた企業は数多くあると思いますよ。



――00年代のガールズカルチャーは?



【Tajimax】00年代は、「女子高生ブランド」や90年代にみんなが目指した“個性的”や“かっこよさ”から少しずつ解放されて、より自由になっていったと思います。「かわいいは正義」というか、それまで敬遠されがちだった“女の子らしさ”や“かわいい”が新たな女の子の指標になりました。これは令和の現在でも続いていると思います。



――今後の90年代や00年代のカルチャーの展望については、どう感じていますか?



【Tajimax】改めて再確認するケースが増えていくと思います。なぜか今まで90年代カルチャーについては、あまり深くは触れられませんでした。これは私の考えですが、90年代のカルチャーの細分化とそれに伴う変化の量はすごいので、カルチャー全般ではなく「ギャル」とか「女子高生」というわかりやすいカテゴリーしかメディアも触れられずにいたのだと思います。90年代や00年代の雑誌も消えていったアパレルブランドも流行も、とても面白いものが多いので掘り下げれば発見があるし、クリエイターの方にもとても参考になる部分が多いと思います。そして、自分の青春時代のカルチャーが忘れ去られず、令和の時代のクリエイティブに残っていったら、こんなにうれしいことはありません。



――ご自身の今後の展望は?



【Tajimax】「平成ガールズカルチャー論。」のアカウントを、フォロワーさんたちとみんなでうまくまとめられたらなと思っています。クリエイターの方や学生の方に参考になるようなビジュアルブックや事典みたいなものを作ってみたいですね。
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