若手芸人・森川やるしかねぇ、年間テレビ出演は1本でもSNSフォロワー60万「テレビに出なくてもいい」

若手芸人・森川やるしかねぇ、年間テレビ出演は1本でもSNSフォロワー60万「テレビに出なくてもいい」

 お笑い芸人を夢見て18歳で吉本興業の養成所NSCに入学し、ゆりやんレトリィバァと並んで見事首席で卒業した森川やるしかねぇ(26)。去年1年間で出演したテレビ番組はわずか1本だが、息子のゆうしくん(5)との日常を更新しているSNSの総フォロワー数は、この半年で倍以上に増え、現在60万を超える。子どもの頃に思い描いていた芸人の姿とは全く異なるが、愛する息子と過ごす日々を通して、人を笑わせて幸せにする方法は漫才だけではないと気づいたという。お笑い大国・吉本の養成所を首席で卒業した森川が今考える“芸人の生き方”を聞いた。



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■「想像していた世界とは全然違った」数十回心折れたNSCを首席卒業するも、コンビ解散



――芸人を目指したきっかけを教えてください。



【森川やるしかねぇ】小学生の頃から人を笑わせるのが好きだったので、芸人になるのがずっと夢でした。でもあまり芸能界のことは知らなくて、なんとなく聞いたことがあったNSCに入ったんです。それでいざ入ってみたら、軍隊みたいにめちゃくちゃ厳しくて。遅刻したら一発でクビですし、身なりから芸までとにかくしごかれました。僕が想像してた華々しいお笑いの世界とは全然違いましたね(笑)。



――それほど厳しくても芸人を続けたいっていう気持ちがあったんですね。



【森川やるしかねぇ】いやー、NSC時代はめちゃくちゃ挫けてましたし、数十回は心折れたんじゃないですかね。でも、ずっと芸人になることを夢見て来てやっと東京に出てきて、すぐにやめるわけにはいかないなっていうプライドがありました。



――その後、NSCを見事首席で卒業されたんですよね。



【森川やるしかねぇ】当時は18期の顔として卒業できたのでめちゃくちゃ嬉しかったです。ただ、首席で卒業したコンビは、特典としてデビュー後の1ヵ月間スケジュールをパンパンに入れられるんですよ。卒業した途端からもう大忙しで、首席で卒業したコンビはすぐ解散していくというジンクスの意味がすごく良くわかりました。



――というと?



【森川やるしかねぇ】NSCの中では面白いってちやほやされてきたので、デビューしたらすぐ売れるんだろうなって思ってたんですよね。でも、いざプロの世界に出てみたら先輩方はめちゃくちゃ面白くて、実力の差を痛感しました。僕らがネタを披露する時に、先輩方がこいつらどんなもんなんだって見に来るんですけど、レベルが全然違うのでこんなもんかってなってくる。その空気に耐えられなかったです。でも仕事はいっぱいいっぱいだから休めないし、お互いどんどん余裕がなくなっていって、僕らも喧嘩ばかりしていて、3年くらいで解散してしまいました。



■「すぐ売れると思っていた」芸歴2年目で結婚・出産、バイト漬けから育児中心の生活に



――そんな大忙しの中、芸歴2年目でご結婚、その後ゆうしくんが生まれたんですよね。



【森川やるしかねぇ】当時はすぐ売れてやると思っていたので(笑)、迷うことなく結婚しました。朝からバイトしまくってライブ行って寝る為だけに家に帰るみたいな生活をしていた時期があったんですけど、あんまり楽しくなかったんですよね。このやり方は俺に向いてないなって思って、段々家での時間を増やして育児もやろうって考え方が変わっていきました。



――バイトを減らしてでも育児の時間を増やしていったのですね。



【森川やるしかねぇ】増やしたかったし、増やしてよかったなって思ってます。もちろんその分お金は無くなりますけど、家族といた方が楽しいですし、子どもの成長を近くで見ていると僕も負けじと成長しようって思うようになりました。バイトばかりやっていた時よりも、家事ばかりやっている方が仕事へのモチベーションもグッと上がってきましたね。



――SNS上でゆうしくんの無邪気な姿がかわいいと話題ですが、最初にゆうしくんの様子を発信しようと思ったきっかけは?



【森川やるしかねぇ】最初は、Twitterにゆうしが初めて「パパ」って言った動画をあげたんです。その動画も元々は嫁に見せる為だけに撮ってたんですけど、それを見た嫁が腹を抱えて笑ってくれて。これ面白いからTwitterに載せた方がいいって言ってくれたので何も考えずに載せてみたんです。そしたらその動画に予想以上に反響があって、そこから月に1回くらい動画を載せるようになりました。



――今ではインスタグラムフォロワー数が20万人を突破されましたが、実感はありましたか?



【森川やるしかねぇ】去年の9月くらいからゆうしを驚かす「息子に突然シリーズ」っていう動画を上げ始めてフォロワーが増えました。元々、ゆうしの面白いリアクションが見たくて家でずっと色んなドッキリをやってたんですけど、段々と僕の感覚がマヒしてきちゃって、突然僕がバケツの水かぶったらどうするのかなって思いついて(笑)。でもバケツの水をかぶったらせっかくのゆうしの表情が見れないことに気づいて、外に携帯を置いて撮影したら、思いの外ゆうしのリアクションが大きくてめちゃくちゃ面白くて。せっかくだからこれもインスタに載せてみたというのがきっかけでした。



■漫才は思いつかなくても息子を喜ばせるネタはいくらでも思いつく「育児と仕事の区別がない」



――普段の生活でも動画のネタを常に考えていたりするのでしょうか。



【森川やるしかねぇ】そうでもないですね。というのも、僕は元から漫才のネタを書くのがすごく遅くて月に2本くらいしか書けないんですけど、ゆうしを喜ばせるネタに関してはすぐ思いつくんですよ。ゆうしが喜ぶ姿を想像するのが楽しいので、漫才と違って考えるのが難しいとかネタが尽きるとかないんですよね(笑)。



――フォロワー数が増えるに連れて様々な意見が寄せられ、SNS上でお子さんの姿を公開することには賛否があるかと思います。ユーザーの意見はどの程度まで受け止めていらっしゃいますか。



【森川やるしかねぇ】コメントは全部見るんですけど、本当に批判が来たことなくて、嬉しいコメントばかり来るんですよ。例えば「仕事でめちゃくちゃ疲れてて落ち込んでたんですけど元気になりました」とか「私も育児でどうしたら良いか分からず迷っていたんですけど、これを参考にします」とか。今までの芸人さんって、ネタで人を笑わせて幸せにするのが主流だったと思うんですけど、今はこういう方法で人を喜ばせる方法もあるんだなって気づきました。みんなで楽しくなりましょうっていう感覚ですね。本当にフォロワーさんがいい方ばかりなのでありがたいですね。



――芸人として売れたいというお気持ちと、ゆうしくんのそばにいたいというお気持ちがあるかと思いますが、仕事と育児のバランスはどのように考えていらっしゃいますか。



【森川やるしかねぇ】これは育児、これは仕事っていう区別があまりなくて、人生楽しかったらそれで良いってだけです。育児に集中したいから漫才を疎かにするというわけでもなくて、頂いたお仕事も基本全て受けますし。全てを一個として考えているというか、インスタライブでゆうしと喋ってる姿がそのまま家での姿ですし、私生活を見せているって感じです。昔よりはテレビを見る人も減ったり、てコロナの影響でエンタメの世界に変化があったりする中で、柔軟にいろんなことをやる芸人でいたいなって思っています。



――当初思い描いていた芸人像と現在の状況にギャップはありますか?



【森川やるしかねぇ】めちゃめちゃ、ギャップしかないです。当時はネタやって、面白いって言われてネタ番組出まくってレギュラーとってとか。当時はテレビスターしかなかったじゃないですか。スマートフォンが出てきたくらいから時代が変わってきて。こんな時代じゃなかったら僕もYouTubeとかインスタを多分やってないでしょうし。テレビへの憧れはもちろんありますけど、昔思い描いていたようなテレビに出てMCやりたい、という思いに固執はしてなくて、どんな舞台や方法だとしても誰かを笑わせられたらいいなという思いですね。



■「息子の考えを全尊重」“親子”ではなく“親友”として一緒に成長していきたい



――森川さんは、ゆうしくんとの関係について“親子”ではなく“親友”になりたいという考えを掲示されていますよね。



【森川やるしかねぇ】僕自身が何も成し遂げていないので、父親としてつべこべ言える人間じゃないと思っていて。親友として一緒に笑ったり、悩んだりしながら一番近い関係で成長していきたいという考えがあります。これは奥さんもですが、叱ったりすることはほぼないんです。大人になって分かったこととか、経験上こうだと思うことはありますけど、全部伝えたりしないです。



――それでも親子とはいえ、考えが全く違う時もあるのでは?



【森川やるしかねぇ】もちろん人に迷惑になるようなことは注意しますけど、基本的にはゆうしの考えを「全尊重」ですね。僕が右だと思ってもゆうしが左だと思ったのであれば、それは左に行ってもらいます。遠回りしたとしても、その途中で僕が知らなかったことを発見するかもしれませんし、その先で辿り着けば良いだけの話ですし、後々本人が近道に気づく事もあると思います。僕だけの狭い経験や考えにとらわれずに、自分の感覚で生きていって欲しいと思っています。



――その自由な家風がゆうしくんがいつも笑顔でいられる理由なのかもしれないですね。



【森川やるしかねぇ】ゆうしが機嫌悪いことって全然ないんですよね。ドッキリやインスタライブ等も、もちろん本人が乗り気じゃなければ辞めようと思いますが、今日はしたくないっていう日もこれまで一度もないです。家でもずっと明るくてニコニコはしゃいでいます。好きな事に対する熱中さや集中力もすごいですし、逆に興味のない事は全くやらないタイプですね(笑)。



――今後、どのような父・芸人を目指したいですか?



【森川やるしかねぇ】今後もお父さんっていう感覚ではなく、親友として一緒に成長していきたいですね。芸人としてはもちろんちゃんとネタでも評価されたいっていうのもありますし、結果を出してお世話になっている先輩方にも恩返しがしたいです。時代の変化に柔軟に対応しながら、とにかくこのまま死ぬまで、家族みんなで仲良く楽しく生活できたら良いなと思っています。





(文=鈴木ゆかり)
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