ソニー『SSFF & ASIA』のパートナーシップに「新しい才能と出会いたい」

ソニー『SSFF & ASIA』のパートナーシップに「新しい才能と出会いたい」

 今年で22年目を迎える米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』(通称SSFF & ASIA)に、“クリエイティブエンタテインメントカンパニー”のソニーがパートナーシップ企業として参加。優秀賞受賞作品がアカデミー賞ノミネート候補となる「オフィシャルコンペティション」の支援、映像制作の新たな可能性を一流のアーティストたちと模索していたくイベント「Creators’ Junction partnered with XperiaTM」の開催、さらに2021年度に向けて新たな「スマートフォン映画作品部門 supported by Sony」の創設という三本の柱で、次世代を担うクリエイターの育成を推進することとなる。新しい映像文化を担うクリエイターの登竜門である同映画祭。米国アカデミー賞へのパスポートとなるこの部門を、企業が支援するのは史上初の事となる。



【写真】冨田みどり氏と別所哲也の対談模様



 進化するテクノロジーでクリエイターの創造性を広げ、映画だけでなく、ゲームや音楽、アニメなど、領域を超えて、さまざまな感動体験を生み出してきた“クリエイティブエンタテインメントカンパニー”であるソニーと、SSFF & ASIAとのコラボレーションでもたらされるものは何なのか。ソニー ブランドデザインプラットフォーム VPの冨田みどり氏と、SSFF & ASIAの別所哲也代表が今回のコラボレーションに至った経緯、そしてこのコラボレーションがもたらす未来予想図まで語り合った。



――そもそものコラボレーションのきっかけは?



冨田:去年の夏ぐらいに、初めて別所さんに「Sony Square」というソニーのショールームにいらしていただきました。ソニーは、会社の存在意義を「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」ことだと定義しているのですが、その流れでいくと、世の中により多くのクリエイターが生まれることが、より多くの感動を生み出すことにつながると考えています。われわれはもともと昨年から「Sony Creators Gate」という、いろいろな年齢層のクリエイターを育むための活動を始めていたのですが、去年の時点ではそれが国内を中心としたものだったので、われわれの活動の幅を広げるという意味でも、世界を対象に活動されている別所さんとぜひご一緒させていただきたいということが、最初のきっかけでした。



別所:僕は「Sony Square」に来て、圧倒されたんですよね。思い起こせば僕も俳優としては、『クライシス2050』でハリウッドデビューをして。その時に現地でさまざまなテクノロジーとクリエイティブの融合を肌で感じて。そのダイナミズムの中で日本に戻ってきたわけですけど。その時のワクワク感というか、感動みたいなものが、このショールームでふたたび出会えた気がして。若手映像クリエイターたちがはじめの一歩を刻むショートフィルムの世界に、まさにソニーの皆さんが光を当ててくださる。そして僕たち自身も、映画祭という枠組みの中で価値付けをして、そしてアカデミー賞公認映画祭として、アカデミーへの道を作っていく。それを「ゲートウェイ・フェスティバル」というんですけど、まさにこの映画祭が扉となって、日本だけでなく、世界中のクリエイターが、ここから飛び立っていってほしいなと思っているので。まさに僕たちの見ている未来は同じなんだと思いました。



冨田:特にショートフィルムということで、私が申し上げるのもせんえつですが、長編に比べると初めての方が入りやすいものなのかなと思っています。その一方で、アカデミー賞につながるという、出口はすごく本格的なものが用意されているので。私たちはここでは、プロの皆さんというよりは、新しい才能と出会いたいという思いがあります。特に最近ではスマートフォンで映画を撮られる方もいらっしゃって。若いかたもごく自然に動画作りをやられていると思います。わたしたちも来年2021年には「スマートフォン映画作品部門 supported by Sony」として新部門をサポートする予定となっております。そこからたくさんのクリエイターが生まれることにつながればいいな、というのがわたしたちの思いです。確か20年ほど前に、映画監督のジェイソン・ライトマンがSSFF & ASIAで観客賞をとったんですよね。



別所:そうです。



冨田:実はその方が、来年ソニー・ピクチャーズで公開予定の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』という映画の監督を担当しているんです。まさにこの映画祭から巣立った方が、ハリウッドのスタジオで映画を監督するという。そういう流れが目の前にあるので。そういったことがこの先どんどん起こっていくといいなと思っています。



――今年は「オフィシャルコンペティション supported by Sony」と、「Creators’ Junction partnered with XperiaTM」というイベントの開催、そして来年は「スマートフォン映画作品部門 supported by Sony」として映画祭を通じた若手クリエイターのサポートを行うことになると発表されました。





別所:「Creators’ Junction partnered with XperiaTMでは、スマートフォンで映像を作り出していくことなど、映像クリエイティブの最前線を映し出していければなと。河瀬直美監督とアーティスト/ミュージシャンの常田大希さん(King Gnu/ millennium parade)をお呼びして、クリエイターのための未来地図をどう思い描くべきなのか、デバイスが変わることで映画の撮り方がどうなるのか、そんな話をしたいなと思っています。



冨田:別所さんの活動は、もちろん作品を公募して、そこから賞を選ぶという、クリエイターにとってのアウトプットを作り出す機会でもあるんですが、「Creators’ Junction partnered with XperiaTM」だけでなく、他にもいろんなシンポジウムやワークショップなど、クリエイターにとってのインプットとなる学びの機会がたくさん用意されているんですね。ですからクリエイターにとってみると、インプットとアウトプットの場が両方用意されている。素晴らしい活動だと思っております。



――別所さんとしては、主にテクノロジーの面で、ソニーさんとのコラボで期待するところはどこですか?



別所:またハリウッドに行った時の話になってしまうんですが、僕がショートフィルムを初めて見たのはソニーのスタジオなんです。



冨田:(カリフォルニア州)カルバーシティのですか?



別所:そうです。そこで10本のショートフィルムを見たのが1997年。ショートフィルムってすごいなと衝撃を受けました。若いクリエイターとテクノロジーをマッチアップさせて、そこでクリエイターたちが才能を磨いていく。その装置としてのショートフィルムであったり、映画祭というものがあった。映画産業が、こういうふうにして次世代を作っていくんだというのを見たことが僕の原点にあるんです。それと僕はやはりアメリカで体験したことが原風景として残っていて。こういう画が撮りたいけど、それに合ったレンズがないとなったときに、彼らはそれに合うレンズを作ろうじゃないか、というんですよ。そういうクリエイティブな発想があるというか。必要だったらそういうエンジニアを見つけてきて一緒に作ればいいんだと。ソニーさんとご一緒することで、そうしたクリエイターとテクノロジーの距離をもっと縮めることができたら。そうした関係性がこのパートナーシップの中で生まれていったら最高だなと思います。

 

冨田:今までは技術開発のキーワードとして「リアリティ、リアルタイム」ということを言っていたんですが、今年は「リモート」が加わって「リアリティ、リアルタイム、リモート」と言っています。実際、今はリモート環境で新しい制作にチャレンジされている方も多いので。うちのエンジニアたちも、そういったところでアクセスして、一体どうやって皆さんは作品を作っているんだろうというところに非常に興味を持ち。なるべく一緒にその現場に寄り添って。自分たちのこれからの開発に生かしていけたらと思っています。



――今のお話を聞くと、今回のコラボは運命だったのかなと思いますが。



別所:僕は確信的でしたけどね(笑)。SSFF & ASIAも日本で生まれたんですけど、ソニーさんのように、日本から世界に発信したり、世界につながろうとしている。グローバルな発想で、僕たちも世界とつながりたいなと思っています。



――そこから第二、第三のジェイソン・ライトマンが。



冨田:そうですね。そういう監督が登場したらうれしいですね(笑)。



――コロナ禍において、映画祭も規模を縮小するべきか、オンラインでやるべきか、中止するべきかなど、さまざまな決断を迫られています。SSFF & ASIAも、当初予定していた6月の開催を延期することとなりましたが、9月16日から、オンラインイベントも織り交ぜながらではありますが、基本的にはリアルイベントとして開催することになりました。その点について別所さんのお考えをお聞かせください。



別所:僕たちはもともと昨年からオンラインイベントを本格的に始めていました。ショートショートのオンラインシアターというのも、実は数年前から始めていたんです。ですから21世紀型の映画祭という形を模索できたらと思っているんです。今年の映画祭は、オンラインとリアルの両方で、今年は一緒に探しながらやっていこうと思っています。ショートフィルムって、とても燃費がいいというか、小回りがきくというか、フットワークの軽いものだなと思うんです。クリエイターも柔軟な頭を持っている人が多くて。ゲームの制作者だったり、YouTuberだったり、そこはボーダーレスというか。今までの、20世紀にあった形を変えてしまうことを、あまり恐れない人たちが多いので。僕たち映画祭もそうしたチャレンジをしていこうと思っています。そこはソニーさんと一緒に。テクノロジーの新しい最前線を試しながら、ネクストを作っていくということはしたいなと思います。



――現時点でのコラボレーションの手応えはいかがですか?



別所:それはもう、クリエイターからの期待を僕らもビンビンに感じています。「オフィシャルコンペティション」をソニーさんがサポートしてくださると情報発信をしたときから、皆さんの問い合わせやモチベーションも上がっています。それから「スマートフォン 映画作品部門 supported by Sony」も8月から公募を始めたんですけど、もうすでにたくさんの応募をいただき始めています。やはりこれだけ世界中から注目が集まって、多くの人が自分たちの表現の場を求めていたんだと。その場を一緒に作って行くことできっと、1+1ではなくて、もっともっとすごい可能性を生み出すんじゃないかなと思っています。



冨田:SSFF & ASIAさんは、いろいろな興味深いプログラムが次々と出てくるので、本当にご一緒させていただいてよかったなと思っています。



別所:まだまだ出てきますよ(笑)。



――それではこれから映画祭を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。



別所:僕は、人間には祭りが必要だと思っていますし、感動のある人生をみんな求めているんだと思うんです。そこにベター・ライフ、アナザー・ライフという。より良い人生であったり、それから自分にはできないけど、こんな素敵な人生があるんだ、というようなものを映し出して、勇気を与えてくれるものがエンターテインメントだと思っています。その原点にあるのが、ショートフィルムメイキングだと思うので。このショートフィルムメイキングの未来を、ソニーさんと一緒に探していきたいと思っております。ぜひ国内外の、いろいろなクリエイターの方に、参加していただきたいなと思っております。



冨田:コロナ禍で家にいることが多くなると、あらためてエンターテインメントのありがたみを感じるようになりました。エンターテイメントというのは、人々を楽しませてくれるだけではなく、落ち込んだりした時に、そこから立ち上がるお手伝いをしてくれるということもあるなと思ったんです。そういう中で、そういう力のあるエンターテイメントを生み出せるクリエイターの方に寄り添って、彼らが作品を生み出していくお手伝いができることをうれしく思っています。これからもますますクリエイターの皆さんに寄り添って、世界の感動を生み出していけたらと思っています。





当初6月開催を予定していたSSFF & ASIA 2020だったが、コロナの影響を鑑み開催延期を決定。

新しい時代の「(ニュー)ボーダレス」な表現の形を模索してきた。『変化を力に変えていこう』をテーマに、16日開催を迎えた。

開催期間:9月16日(水)~9月27日(日)

開催概要:https://www.shortshorts.org/2020/

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