“人は外見で判断できない”海外旅でのほっこり話を投稿する漫画家「国ではなく“人”のエピソードを描きたい」

“人は外見で判断できない”海外旅でのほっこり話を投稿する漫画家「国ではなく“人”のエピソードを描きたい」

 海外を旅するなかで出会ったあたたかい人間同士のふれあいエピソードを漫画にして投稿する、五箇野人(ごか・やじん @gokayajin)さんのアカウントが話題だ。海外ひとり旅といえばなんとなく危険なイメージも連想してしまうが、「なかなか止まってくれないバスを停車させてくれる紳士」「ひどい腹痛で飛び込んだトイレで出会った天使のような少女」など、投稿されるエピソードの中には優しい現地人が多数登場する。少年誌で旅漫画の連載も持つ五箇さんが、あえてほっこりエピソードだけにフォーカスをあてたSNS漫画を描き続けているワケとは? 話を聞いた。



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■SNS漫画は“体験の橋渡し”をしている感覚



ーー海外での旅経験を漫画にしようと思ったきっかけについてお聞かせください。



【五箇】元々、海外旅の実録漫画を雑誌に連載させていただいていているのですが、そこには入らないちょっとした出来事とか心に残った出来事がめちゃくちゃあったので、1〜2ページの短い漫画にしてお届けしたいと思ったのがキッカケです。



ーー五箇さんのアカウントで発信される、海外の方たちの優しさあふれるエピソードに「人は外見で判断できない」「国や人種の垣根を超えた人の素晴らしさ感じた」「こういう人に私もなりたい」など反響が寄せられています。それらのコメントを受け、何を思いましたか?



【五箇】毎回、「こんな良いことされたので人に優しくしましょう!」という思いで描いているわけではなくて、単純に現地の人に良くして頂いた経験を追体験して頂きたくて描いているんです。読んだ後にさまざまな捉え方や考え方をして頂けるのは、ありがたいですし、自分としても逆に勉強になるというか、読んで頂いたみなさんも凄いなぁと感心します。あと現地で良くして頂いた皆さんと、日本の皆さんが繋がっていく感覚を得られるのは純粋に嬉しいですね。なので、自分は“体験の橋渡し”をしている感覚なんです。



ーーその一方で、文化や話す言葉も違う旅先。恐らく幾つかイヤな思いも経験されていると思います。そんな中でも徹底的にほっこりする思い出にフォーカスするのは何故でしょう?



【五箇】もちろんイヤな思いをしたこともありますよ(笑)。ただ、自分が海外に行く時に現地の事を調べると、大抵どこの国でも「危険」「詐欺」「強盗」「日本ほど安全じゃない」などのマイナスな言葉がすぐ出てきます。プラスな情報と言えばガイドブックに載るような「観光地」と「美味しい料理」がメイン。

でも実際、現地に足を運んでみると、めちゃくちゃプラスな「人」との出来事が沢山おきます。もちろん危機管理や警戒は重要です。ただ、それらの情報は海外に行く前に嫌でも沢山目にすることになるので、そこの注意喚起は十分だから、自分はプラスな情報を発信したいと思いました。それが大きな理由です。



■「国」ではなく「人」のエピソードとして読んで欲しい



ーーこれまで描かれた漫画エピソードのなかで、実体験としてもっともジーンときたエピソードは何ですか?



【五箇】今の状況もあって強く印象に残っているのかも知れませんが、やはりコロナが絡んだエピソードについての回です。2月にセネガルに行った時、当時はまだ「コロナ=アジア圏の病気」という印象で、行く前はアジア人に対する風当たりが大きな不安要素でした。実際、辛辣な言葉が飛んで来る場面もありましたが、その中でも「アジア人=コロナじゃない」と堂々と自分に対して接して頂いた体験は、不安を抱えていた自分にとって救われる思いでしたね。



ーー五箇さんの言葉を借りますが、まさに「めちゃくちゃプラスな“人”との出来事」ですよね。



【五箇】仰る通りです。SNS漫画にはできてませんが、これに加え、食事をご馳走してくれたり、宿泊させてくれたご家族もいました。もちろん予防や対策は必要ですが、先入観から人を判断しない姿勢を見て、自分もこうありたいと感じました。



ーー素敵な話ですね。とはいえ、今はコロナの影響で海外旅行をしたくてもできない状況です。これについて、素直な気持ちをお聞かせください。



【五箇】割とシンプルな意見になりますが、自分も含め、いろんな国の皆さんが早く海外に行き来できるようになることを願うだけです。個人的には、海外に行けない事はマイナスですが、ありがたい事に思い通りにいかないことが何か別のプラスを生むという経験は旅の中で山ほどさせてもらっています。今もその感覚を持っていますし、個人的な活動に限っていえば悲観はしていません。



ーーでは、もし海外旅をできるようになったら、どこのエリアを旅したいですか? そして今後SNSでどのようなことを発信していきたいですか?



【五箇】次は、まだ行ったことのない南米に行ってみたいと思っています。そして今後も引き続き、体験した事をSNS漫画にしてお届けしていきたいですね。毎回、基本的に漫画にはどこの国の出来事かは書いていないので、たまに質問を頂く事があります。その際は国名をお答えするようにしているのですが、なぜ記載していないかというと、国名を書いて「この国は良かった!」という発信をしていると思って頂きたくない為なんです。



ーーなるほど。



【五箇】どの国も良くて、どの国でも起こりうるエピソードなんだと思って発信しています。つまり、「国」ではなく「人」のエピソードとして読んで欲しいという思いがあります。これは今後もこのままでいこうかなと思っていますし、やっぱり「人」についてのエピソードを発信していきたいですね。それとブログでは、SNSに載せている漫画と共に、その内容に関連した写真も載せています。ぜひ、そちらも併せて楽しんで頂けたら嬉しいです。



(文:中山洋平)
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