マイケル・J・フォックスの吹替でおなじみ宮川一朗太、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』秘話

マイケル・J・フォックスの吹替でおなじみ宮川一朗太、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』秘話

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー(PART1)』が、1985年の全米公開から満35年。大ヒットしたシリーズ3作が最高の映像クオリティを誇る4K Ultra HD化され、『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー 35th アニバーサリー・エディション 4K Ultra HD + ブルーレイ』として10月21日に発売される。このBlu-rayには、多くの作品でマイケル・J・フォックスの吹き替えをしてきた、宮川一朗太(54)による新TV吹替(BSジャパン版)を追加収録。宮川が「一片の悔いもない」と言い切る、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』吹替秘話を明かした。



【動画】『バック・トゥ・ザ・フューチャー』35年愛を語る宮川一朗太



――マイケル・J・フォックスの吹替といえば宮川一朗太さん。当初から宮川さんがマーティの吹替をしていたと思っていました。



【宮川】実は、そう思っている方、わりと多くて。「見てましたよ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか」と声をかけられるたびに、「それだけやっていないんです」という会話を繰り返してきました。



 僕が初めてマイケル・J・フォックスの吹き替えをしたのは、『ファミリータイズ』という作品で、僕が20歳ぐらいの時に抜てきしていただいて、以来、マイケルが演じる役を吹き替えてきたんですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だけは縁がなくて。あちこちで「一度マーティの吹き替えをやらせてほしい」「マーティを演らなければ死ぬに死ねない」と言い続けてきました。でも、なかなか実現されなくて。このまま夢は夢のまま終わっちゃうんだろうなと思っていたら、なんと!BSジャパン(当時、現在はBSテレ東)から声がかかりまして。



 それもね、うれしいことに『ファミリータイズ』をはじめマイケル作品を僕の吹き替えでずっと見てきた方が、BSジャパンにお勤めで、「いつか僕の声で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を作りたい(放送したい)」とずっと思い続けてくださっていた。その思いが通じてついに、2014年に実現したんです。



 お話をいただいた時は、震えましたし、夢がかなって僕もうれしかったですが、同じような思いをずっと秘めて働いてこられたBSジャパンの方もうれしかったんだと思います。収録終わりで皆と行った飲み会はものすごく盛り上がりました(笑)。



 PART1の後、すぐにPART2、PART3もできるのかな、と思いきや、だいぶ時間があいたんですね。いろんな事情があって、PART2、PART3はできないんじゃないか、という時期もあったんですが、これもBSジャパンの方々のご尽力で、2018年に実現したんです。



 しかも、PART1の吹き替えで、ちょっと心残りがあって、PART2、PART3を録った時に、「PART1のあの部分を録り直したいです」とお願いしてみたんです。そうしたら、快く応じてくださって。それも簡単にできる作業じゃないんです。本国に録り直したい部分があると交渉しなければならない。それをやってくださって、許可をもらって、録り直した。だらからもう、一片の悔いも残らない作品になりました。



『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が愛される理由



――そのBSジャパン版の吹き替えが、35周年記念で発売されるBlu-ray BOXに初めて収録されるんですね!



【宮川】僕にとっての集大成というんですかね、30年ちかくマイケルの吹き替えをやらせてもらった集大成がこのBOXに収録されています。



――宮川さんのマーティのほかに日本テレビ 金曜ロードSHOW!版の山寺宏一さん、テレビ朝日 日曜洋画劇場版の三ツ矢雄二のマーティも楽しめます。



【宮川】それぞれに良さがあると思うのですが、正直僕は三ツ矢さん、山寺さんに比べたら下手っぴなんですよ。これは揺るぎない事実なんですけれど、下手くそゆえのマーティのヘタレさ、情けなさ、軽さが非常にあっている。上手じゃない分のリアリティ、身近にいるような男が僕のマーティです。



――6月の「金曜ロードSHOW!」での3週連続放送はたいへん盛り上がりましたし、35 周年の節目に、公開当時を知らない若い世代にもウケています。時代を超えて愛される要因は何だと思いますか?



【宮川】やぁ、なかなかひと言では言い表せないですよね。僕は名作中の名作だと思っています。まず、脚本がすばらしい。いろんなジャンルが入っていますよね。SFでもあり、冒険活劇でもあり、ラブストーリーでもあり、コメディでもあり、ヒューマンドラマでもあり。宝石箱のような作品になっています。



 いろんなことを含めて、特に日本人が魅了されるのは、さまざまな伏線がはられていて、一気に回収してくる。つじつまが合わなくて「ん?」となるところを全部、「あぁ、そうだったのか」ということで最後にまとめてくれてハッピーエンド。爽快感っていうんですかね。散りばめられた伏線が倍返しされるような(笑)。ラストでスキッとするじゃないですか。某ドラマのような爽快感が、日本人にウケる要因の一つだと思います。落語のように最後にきっちりオチがある。計算され尽くした脚本がすばらしいですね。



――『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー 35th アニバーサリー・エディション 4K Ultra HD + ブルーレイ』を購入した人、購入したいと思っている人にメッセージをお願いします。



【宮川】3人のバージョンがありますが、全部それぞれ違うので、それぞれ楽しんでいただきたいですね。三ツ矢さんは軽やかできれいなマーティ、山寺さんはかっこいいマーティ、僕はヘタレで情けないマーティですけれども(笑)、お好きなマーティを見つけてください。



 僕は収録の際、マーティの息遣いを意識して演じました。小さな息遣いから荒い息遣いまで、楽しんでいただくために、ぜひ僕のバージョンをご覧の際は、ヘッドホンをして、ボリュームを上げてみてください。マーティがそばにいるように感じていただけるはず。あなたの横にマーティがいます。



――『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー 35th アニバーサリー・エディション 4K Ultra HD+ブルーレイ』は、10月21日(水)発売。1万5800円(税別)。発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

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