SNSの一言に反応する“危うさ” 小栗旬×星野源が『罪の声』で伝えたいこと

SNSの一言に反応する“危うさ” 小栗旬×星野源が『罪の声』で伝えたいこと

 俳優の小栗旬(37)と星野源(39)が映画初共演する『罪の声』が、30日に公開を迎える。日本中を震撼させた未解決事件をモチーフに塩田武士氏が描いた原作を映像化した作品から、なにを伝えたいのか――。メガホンをとった土井裕泰監督、脚本を担当した野木亜紀子氏を交えて語ってもらった。



【撮り下ろしフォト】背中合わせの小栗旬&星野源 迫真の場面カットも



■「見たことあるようだけどない」小栗旬と星野源の映画初共演



 『罪の声』はフィクションでありながら、塩田氏の綿密な取材と着想が織り混ぜられ、事件の真相と犯人像が“本当にそうだったのではないか”と思わせるリアリティーにあふれた物語で話題に。小栗が昭和の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、残された証拠を基に取材を重ねる大日新聞の新聞記者・阿久津英士を、星野が京都で亡くなった父から受け継いだテーラーを営み、物語の発端となる子どもの声の脅迫テープが自分の声だと気がつく曽根俊也を演じている。



 数々の映画やドラマに出演している小栗と星野だが、今回が映画初共演となる。土井監督も「2人の組み合わせは見たことあるようだけどない。新鮮な感じがあるかな」と実力派俳優の組み合わせを喜ぶ。



 小栗は「自分が見ていた星野さんは飲みの席で会っているだけだったので、現場で星野さんを見るだけでも新しい発見でした」と撮影現場にたたずむ星野の姿を確認しただけでも、新鮮な気持ちを抱いたよう。対する星野も「飲んでいる小栗くんしか知らなかったので」と笑い「休憩時間にもずっと話していましたけど、思ったよりフラットな方でした。現場にそっといるし、役の臨み方、向き合い方も自然で」と明かす。



 土井監督は「ピッタリのキャスティングでした」と胸を張り、「星野さんは東京ドームでライブもする紛れもないポップスターではありますが、作る歌やお芝居、文章には常にリアルな生活者としての視点があり、俊也という役と合致しました。小栗さんも、エッジを効かせられない難しい役を繊細に丁寧に演じてくださった」と2人の自然体な演技が、新聞記者とテーラーの役柄にマッチしたという。



■事件を多面的に受け取ることが大切「奥にいろいろな思いや人物がいる」



 “日本中を震撼させた、昭和の未解決事件をモチーフ”としている本作。平成、令和と時代が移り、今後は事件のことを知らない世代も増えていくが、『罪の声』を通して、どのようなメッセージを受け手に感じ取ってもらいたいのか。



 野木氏は「昭和の話ではありますが、いまも変わらないことは起きている。見た方に、他人ごとではないというか、私たちはこれからどうしていくのか、そういうことを考えていただければ。事件の裏側に本当の被害者がいることを感じてほしいですね」と話す。土井監督は「電話しかなかった時代に手の込んだ脅迫状を用意してテープで声を吹き込む。アナログなことをやっていますが、SNSにより簡単に匿名で発信できる現代において、ファクトを確かめるでもなく踊らされることは、いまのほうがひどい状態かもしれません。単なる過去のアナログな事件では済まされないものがある」と昭和の事件だからといって、過去の歴史の1ページにするのではなく、現代につながる側面もあるという。



 星野は「犯罪のニュースを見たとき、加害者と被害者に注目がいきますが、その周りには家族だったり、知り合いだったり、たくさんの人がいますよね。その奥にいろいろな思いや人物がいること。劇場型犯罪や愉快犯って言葉はあるけど、愉快な犯罪なんてない。完成した映画を見て、そんな風に思いました」と言葉を振り絞る。俊也がテープで自分の声を使用されたことを重ね「子どもたちだったり、未来になにを残して残さないようにするのか。強烈な悪意に対し自分が動くことで、後世になにも悪くないのに罪をかぶることになる人がいるかもしれない。そういうことも考えるきっかけになるかもしれませんね」。

 

 続けて土井監督も「犯罪には加害者、被害者だけでなく、周辺の多くの人たちも当事者として巻き込まれてしまう不条理があって、そこに罪のない子どもという存在を絡めてはいけない」と熱を込めて語ってくれた。



 最後に小栗は「ぼくらが受け取る真実や事実には、多面的にいろんなことが起きていて、ひとつの真実で踊らされてはいけないんだなと感じてもらえたら。(自分は)SNSは少し遠く感じる世代ですが、ど真ん中の世代からすると、SNSを見て誰かが言った一言にものすごく反応して、その言葉だけを受け取ることがもったいないことかもしれない。それがこの作品を通して考えるきっかけになれば」と語った。



◆小栗旬(おぐり・しゅん)1982年12月26日生まれ 東京都出身

子役として活躍後、ドラマを中心に話題作に出演し本格派俳優に。蜷川幸雄さんの『ハムレット』『お気に召すまま』『カリギュラ』など舞台にも多数出演。『花より男子』『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』『銀魂』シリーズなど多くの人気ドラマや映画に出演している。公開待機作に『新解釈・三國志』『ゴジラVSコング(仮題)』がある。

スタイリスト:臼井崇(THYMON Inc.) ヘアメイク:CHIKA KIMURA(tsujimanagement)



◆星野源(ほしの・げん)1981年1月28日生まれ 埼玉県出身

俳優、音楽家、文筆家として活躍。2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演し、主題歌「恋」にあわせて踊る“恋ダンス”が大ブームに。『逃げ恥』は、来年正月にスペシャルドラマで放送されることも発表された。デビュー10周年を記念したシングルBOX「Gen Hoshino Singles Box “GRATITUDE”」が10月21日発売。

スタイリスト:TEPPEI ヘアメイク:高草木剛(VANITES)
カテゴリ