広島RCC“天才”横山雄二アナ、映画プロデュース挑戦 ラジオが結んだ爆笑問題との奇縁

広島RCC“天才”横山雄二アナ、映画プロデュース挑戦 ラジオが結んだ爆笑問題との奇縁

 広島でカリスマ的な人気を誇る中国放送(RCC)の“天才”横山雄二アナ(53)が、企画・出演を果たした映画『彼女は夢で踊る』。広島に実在するストリップ劇場を舞台に、加藤雅也、犬飼貴丈、ヒロインのストリッパー・岡村いずみといったキャスト陣がムードあふれる劇場とダンサーたちが美しく幻想的に描かれているが、同作は現役の局アナが映画のプロデュースを手がけるという異例の試みにもなっている。



【写真】映画『彼女は夢で踊る』場面カット



 横山アナは、RCCラジオ『平成ラヂオバラエティごぜん様さま』(月~金 前9:00)などの功績を讃えられ、2015年に「ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティー賞」を獲得し、映画監督、俳優、歌手といった幅広い分野でも活躍。太田光が、全国各地のラジオを聞いていく中、横山アナの『ごぜん様さま』にたどり着き、以降は自身の番組などで魅力を紹介。番組内で「横山コノヤロー!」と愛ある怒鳴りを行いながら、ラジオを通じて交流を深め、横山アナが上京した際には、爆笑問題のラジオに出演するという流れが恒例化している。



 そんな横山アナに、今作の制作秘話から、ラジオを通じて親交を深めている爆笑問題との関係などを聞いた。



■主演映画が結んだ縁 監督・キャスト陣の魅力を力説



――今回の映画をプロデュースすることになった経緯について



2015年に全国公開された僕の主演映画『ラジオの恋』は、僕にとっても初めての主演映画ですが、時川英之監督にとっても「初監督作品」でした。その『ラジオの恋』を偶然、横浜の映画館で観てくださったのが俳優の加藤雅也さんでした。加藤さんはご自身もFM横浜でラジオ番組をされていますが、その時「ラジオ局が舞台の映画なら観てみよう」と思われたらしいのです。で、観てみたら「面白かった」。この映画を作った時川監督と主演の横山さんに会ってみたいと連絡が来ました。



「じゃあ!」と広島で会うことになり、加藤さんから「広島で一緒に映画を作ろう」と提案がありました。ならば、監督は脚本や演出の準備がある。だったら、僕がプロデューサーとして製作資金を集めたり、脚本の直しを手伝ったり。簡単に言うと「大いなる雑用をやりましょう!」ってことで、僕が必然的にプロデューサーになりました。そもそも、『ラジオの恋』以来、僕と時川監督は、広島で二人三脚のように2人で映画を作り続けていたので「時川監督が演出をするのなら、僕がプロデュースをするのが自然な流れでもあった感じです。



――ストリップを舞台にしようと思った理由



僕が、以前監督をした映画『浮気なストリッパー』で、もうすでに舞台としてストリップ劇場を使っていました。その佇まいに加藤雅也って俳優を放り込んだら絶対に「いい画」が撮れると思いました。あとは、ストリップ劇場って実際に足を踏み入れると「これ以上ない映画空間」なんです。もう、どんなセットも敵わない。圧倒的な存在感と歴史が刻まれています。そこに踊り子さんやヒモがいて、昭和の匂いがする。きっと、無味無臭な映画ばかりを観て来た人たちにエッジの効いた世界観を提供できると確信していました。



――実際にプロデュース業をやってみて感じた手応え、難しさについて



まずはストリップ劇場が舞台の映画ではお金を集め難い。資金繰りが大変でした。そして、ヒロイン役はストリッパー。脱がなければならないし、踊れなければならない。おまけに最近はCM契約の問題でヌードになれる女優さんが極めて少ない。で、キャスティングも大変。作ったら作ったで、大手が公開する大作のように宣伝費がない。どうやって、お客さんにこの映画を知って貰えるのか、監督と頭を抱え続けました。



ただ、公開される前にスペインのマドリード国際映画祭で審査員賞を受賞した。そして、観てくださったお客さんのSNSでの評判が極めて良かった。口コミで若い女性を中心に、いろんな劇場が満員になり、おかげさまで新宿武蔵野館などは再々々々延長、作った僕たちも「まさか!」の展開で制作時の苦労がちょっと報われている気がします。初めてのプロデュース作品が大ヒット! もうプロデューサー冥利に尽きます。



――プロデューサーの立場から見た、監督・キャスト陣の魅力



加藤雅也さんはハリウッドでも活躍された国際派スター。現場でもいろんなアイデアを出しながら現場にエネルギーを放出し続けて下さいました。今回は閉館詐欺と言われた実在のストリップ劇場の館長役。ご本人を徹底的に調べ上げ、もう加藤雅也と分からないほどの役作りでした。僕が知る限り、加藤雅也さんの一番のはまり役だったと思います。



岡村いずみさんは、ブルーリボン賞の新人賞を受賞された実力派。過去と現在のストリッパーでひとり2役の難しい役どころでしたが、チャーミングで愛らしい女性の魅力をいかんなく魅せ付けてくれました。もちろん、ストリップのシーンでも圧倒的なステージングで、脱ぎっぷりも良く、撮影に参加したエキストラの皆さんが、本物のストリッパーとずっと勘違いしていたっていうほどの熱演でした。この作品は岡村さんがいなければ成立しなかっただろうなぁと思います。



犬飼貴丈さんは、ストリッパーに恋するピュアで真っ直ぐな青年を、淡々と混じりっ気ない演技で表現してくださり、脚本に書かれた青年を生き生きと血の通うものにしてくれました。この作品は『仮面ライダービルド』や『ぐらんぶる』の前に撮影されたものなので、本人も「もう、今の僕には、この純粋な演技はできない」と笑っていました。これから、日本映画界を背負っていくであろう逸材でした。



そして、浅草ロック座の現役ストリッパーの矢沢ようこさんは、岡村さんのステージの振り付けを演出してくれたり、本人のホワッとした独特のムードで撮影現場をほのぼのとしたムードにして下さいました。もちろん、自分の出演シーンでは、まるでベテラン女優のような妖艶で凛とした雰囲気を醸し出してくれました。作品後半の矢沢さんのステージで、ほとんどの女性が「号泣」されます。きっと、これから日本映画界になくてはならない存在の女優さんになられるんだろうなぁと思っています。



時川監督は、これが4本目の監督作品。間違いなく自己ベスト更新!の代表作になりました。もともと、ヨーロッパ映画のような温かみのある画を撮る監督なので、信頼していましたが、ストリップシーンの美しさは「時川マジック」と言っていいほど、息をのむ美しさです。脚本作りから編集に至るまで、二人三脚でやってきましたが、こんな素敵な作品に参加させて貰ってありがとう!と言いたいです。なにより、出演者のみんなが「こんなにいい作品になるなんて現場では思っていなかった!」って(笑)。もう、これは監督の手腕以外の何物でもありません。



■ラジオならではの広がりに感謝 “太田光被害者の会”での交流続く



――『ごぜん様さま』では、リスナーのみなさんから感想メールが多く届いておりますが、ラジオという媒体ならではの結びつきを感じますか?



大阪の舞台あいさつ。京都の舞台あいさつ。そして、東京での舞台あいさつ。どこに行っても「radikoでごぜん様さまを聞いています」ってラジオファンの方が来られて、その多さにビックリしています。『彼女は夢で踊る』はラジオファンが支えてくれて大ヒットした映画と言っても過言ではないです。広島の番組なのに、ホントに全国の人たちが『ごぜん様さま』を聞いてくれてるんだ。ラジオの世界は、もはやどこでしゃべっていようが全国区になりうるって実感しています。ファンの皆さんも、ちゃんと遊び心があって「広島まで『横山詣』に行けないので…」といろんなお土産物を手渡してくださったり「『ヨコヤマ☆ナイト』に」と義援金を渡してくださったりします。番組を愛してくださっているんだなぁと全国各地で熱い気持ちにさせていただいています。



そして、全国のパーソナリティーたちがこぞって応援してくれて「ウチの地域で公開されるのなら宣伝しますよ」とか「宣伝しておきました」とラジオ界の横のつながりにも助けられました。ラジオは温かい! そして、素晴らしい! 応援も協力もしてくれないのは我がRCCくらいです(笑)。



――横山さんといえば“太田光被害者の会”の筆頭としても知られていますが、今回の映画化にあたって、爆笑問題のお2人から言葉や感想などはいただきましたか?



太田さんも田中さんも恐縮するほど「すごい面白かった!」ってべた褒めしてくださいました。そして、僕はプロデューサーでもありますが、今回はストリッパーのヒモの役で出演もしているので「もう、自然な演技すぎてアナウンサーとは思えん!」と演技面でも評価して頂きました。照れ臭かったけど、うれしかったです。



そして、公開劇場の新宿武蔵野館は、映画ファンにとって聖地。ここで上映される作品には品質保証マークがついているって気がします。そこに、自分がプロデュースした作品のポスターが張られる興奮と、そのすぐとなりにラジオで縁のできた爆笑問題さんの会社タイタンの八木監督が作った映画『実りゆく』のポスターが張られていたことは偶然を通り越して、なんだか「出会いは必然だった」って気持ちにすらなりました。実際、爆笑問題の太田さんが新宿武蔵野館で『実りゆく』を観に行ったとき『彼女は夢で踊る』のポスターを見て「こんな奇遇なことがあるのかと感慨にふけった」とおっしゃっていて、その思いは僕も一緒でした。



――太田さんとのやり取り、radikoのエリアフリー普及などによって、全国のパーソナリティー陣およびリスナーのみなさんとの交流も生まれてきたと思いますが、今回の映画のPRなどで、交流されたエピソードなどございますでしょうか?



基本的に『太田光被害者の会』って、もうゴチャゴチャしててわかりにくくなっていますが、根本は僕と和歌山の『全開金曜日』の桂枝曾丸さんと沖縄の『南国の夜』與古田忠さんの3人なんですが、枝曾丸さんはわざわざ和歌山から大阪の舞台あいさつを観に来てくれて、『全開金曜日』で頼みもしないのに「これでもか!」と宣伝活動をしてくれました。上映終了後には一緒に十三の商店街で串カツを食べに行ったり、もう旧友って感じでした。

そして、沖縄の公開は、これから。12月5日なんですが、沖縄の與古田君に連絡したら「アニキ! 連絡待ってました!」って沖縄の広島県人会に声を掛けてくれたり、ポスターを自分で街中に貼ってくれてたり、SNSでつぶやきまくってくれてたりと、『被害者の会』の結束はハンパないなぁと、うれしかったです。もちろん、沖縄の舞台あいさつにも行くので「一緒に飲もう!」と約束しています。



――コロナ禍で映画をはじめ、エンタメ業界が大打撃を受けました。ラジオやイベントなどを通して、リスナー・ファンに寄り添ってきた横山さんは、どういったことを感じながら、日々の放送などを行ってきましたか?



個人的には、今年、予定していたアナウンサー生活30周年のアニバーサリー企画『ヨコヤマ万博』が中止になったのは、ホントに残念でした。山下久美子さんや平松愛理さんなど出演者のみなさんにも申し訳なかったし、なによりチケットが完売していたので、イベントを楽しみにしてくださっていたファンの皆さんに「また、今度! 絶対に!」と言う気持ちです。この前、イベンターの方と話をしていたら、コロナの影響で、広島だけで2000近くのイベントがなくなったそうです。仕方ないと思いながらも、くやしいなぁと。このマグマのように溜まったエネルギーは、来年、絶対に爆発させたいなぁと思っています。もちろん、自分が発信した以外のイベントにも協力していこうと思っています。



日々の放送は「どのテレビを観ても気が滅入る」ってリスナーさんからの声を真摯に受け止め、ひたすらバカ話に終始していました。外出はできない。誰とも話せない。何かをしながら楽しめるラジオを生活のリズムの中に新しく入れてくださった方もたくさんいたので「大いなるやりがい」を感じながら放送をしていました。



ただ、実際、僕自身も「なにもやりたくない」とやる気をコロナに削がれた部分もあったので、しゃべり手としてはリスナーと「共感」をしていくって気持ちでオンエアに臨んでいました。世の中の論調が「それは違う!」とか「間違ってる!」ってことばかりだったので、基本「同調」のムード作り。「そうだよね!」とか「それわかるわ!」って話し方を心がけました。そのほうが自分自身もしっくりくる感じでした。



――今回の映画について、改めてみなさんにメッセージをお願いいたします。



おかげさまで『鬼滅の刃』にはかないませんが、大ヒットと言える動員を見せています。正直、自分たちが作った映画なのに「化けた」ことを他人事のように感じます。それだけ作品が、皆さんに手によって成長させてもらったってことだと思います。僕らが産み落とした子どもが、しばらく見ないうちに驚くようなスピードで大きくなった。製作者としてホントにうれしいことです。



映画『彼女は夢で踊る』はストリップ劇場を舞台にした大人の青春映画です。昭和の懐かしい香りのする美しいラブストーリーでもあります。映画館の方から「女性の号泣率100%です」とお墨付きもいただきました。まだ、ご覧になっていない方、ぜひ、劇場に足をお運びください。そして、コロナで溜まったモヤモヤを涙と一緒に流してください。自信作です。『エロスの刃』こと『彼女は夢で踊る』多分、日本映画界で初めて、局アナがプロデュースした映画です。せっかく観たのにツマらなかったって方がいたら、直接RCCラジオ『ごぜん様さま』にメールをください。オンエアで反論する覚悟です(笑)。



【横山雄二】1967年3月29日生まれ。宮崎県宮崎市出身。1989年、中国放送にアナウンサーとして入社。ラジオやテレビのバラエティ番組出演から、映画監督・俳優・歌手活動・作詞家・小説家・俳人・レーサー・コラムやエッセイの執筆など、多彩なジャンルで活躍。2011年4月から毎月、東日本大震災復興支援ライブ『ヨコヤマ☆ナイト』を開催。現在までに宮城県石巻市に2200万円を越える義援金を贈る。15年には、放送文化の向上に貢献した団体や個人を表彰する放送界のアカデミー賞とも言われる『第52回ギャラクシー賞』を受賞した。主演映画『ラジオの恋』はアメリカのシネマベルデ映画祭で観客賞に輝き、監督作品『浮気なストリッパー』では、ミニシアターの観客動員記録を塗り替えるヒットを飛ばす。
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