『M-1』王者マヂラブ、光る決断力 3年前の最下位からの大逆転で“お笑い王”へ前進

『M-1』王者マヂラブ、光る決断力 3年前の最下位からの大逆転で“お笑い王”へ前進

 「最下位取っても、優勝することあるんで、あきらめないでください、みなさん」。優勝が決まった瞬間、野田クリスタル(34)は目に涙を浮かべて呼びかけた。漫才日本一を決める『M-1グランプリ2020』(ABC・テレビ朝日系)で、16代目王者に輝いた野田と村上(36)による、お笑いコンビ・マヂカルラブリー。3年ぶりとなる『M-1』決勝の舞台で、史上最多となる5081組の頂点に立ち、賞金1000万円を獲得したが、自分たちのネタについて「漫才」か「コント」なのか、悩みを抱えながらも信じた道を突き進んで“漫才”王者になった。



【写真】マヂカルラブリー、オズワルド、ニューヨークらが登場した白熱の準決勝の模様



 マヂラブと『M-1』をめぐっては、3年前の決勝で苦い経験がある。審査員の上沼恵美子から愛のムチを受け、次こそはとの思いを持ち続けた。野田が今年“ひとり芸”の日本一を決める『R-1ぐらんぷり』(※当時の表記ママ)を制した際には「えみちゃん、やったよ!」と呼びかけ、この日の『M-1』決勝のつかみでも、野田が「どうしても笑わせたい人がいる男です」と自己紹介し、会場がどっと沸き、上沼が笑顔を浮かべるアップの映像も映し出された。



 フレンチのネタで、いつも通り、野田が動き回って大暴れする中、上沼は手を叩いて笑った。そして迎えた採点では、648点を獲得し、上沼は94点という高評価をしていることを知った野田はガッツポーズし、村上も「うれーしーい」と声を弾ませた。野田が「3年前、放送事故みたいになって、あの時は本当にすみませんでした。早く、あの人の声が聞きたいです」と切望する“あの人”は開口一番「待って、3年前?何にも覚えてない(笑)」。続けて「アホやろー(笑)。バカバカしいやろ。でも、そのバカバカしいを突き抜けるのは芸術や。いやーよかった。本当によかったと思う」と最高級の賛辞を送った。



 ファーストラウンドでは、おいでやすこがが658点を獲得してトップ通過。続いて、マヂラブが649点、見取り図が648点を獲得し、3組がファイナルラウンドに進出。準決勝で披露し、野田が「どうしても決勝でやりたかった」という“つり革”のネタを披露する機会に恵まれた。「どうしてもつり革のネタをやりたかったんですけど(つり革を1本目にしなかったのは)賭けましたね。ギャンブルでした」(野田)「優勝の芽が残るのは、フレンチが先だと思っていたので、結果論ですが、そうなってよかったです」(村上)。瞬時の判断が求められる現場で、冷静に2人で決断をして、おいでやすこがと見取り図がともに2票を獲得する中、3票を獲得し、激戦となった『M-1』で見事に優勝をたぐり寄せた。



 今年の『R-1』では、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、一般客の来場を取りやめて史上初の“無観客”大会という通常とは異なる空気の中での優勝となったが、野田は見事に優勝。その勢いを年末の大舞台でも見事に生かしたが、野田は「『R-1』を経験していたのは強かったかもしれないですね。おいでやす小田さんも同じ環境でやっていたので、もしかしたら残っていたのかもしれないですね。お客さん少ないほうがやれるということかもしれないです」と満面の笑みを浮かべた。



 「自分たちのネタは漫才か、コントか」。その点が審査員たちの中での評価を分けることは想定していた。自分たちの強みを信じて、笑いで迷いを吹っ切った。「いろんな漫才があったなと。おいでやすこがさんが優勝してもとんでもないことになっていたと思うし。僕らでよかったのかというのはありましたが、チャンピオンとして自覚を持って。オレはチャンピオンです。文句言わせません。あれは漫才です」(野田)。



 3年前の『M-1』で最下位という結果に終わり「お笑いやめてもいいくらいの最下位だった」というほど、沈んでいたマヂラブが、華麗な逆転劇で『M-1』王者に。2冠を手にした野田の目には、新たな景色が広がっている。「これが終わりじゃないんで。いろんな大会がありますから。僕、お笑い王になりたいんで、史上初の3冠取ります。キングオブコントは、制限ないので、3冠オレが取るんだ!」。バカバカしさと冷静な一面の切り替えで、見事に『M-1』王者となったマヂラブの“お笑い王”への道は、まだまだ途中だ。



 同大会は「日本一の漫才師を決める大会」として2001年にスタート。2010年の第10回開催で一旦終了し、2015年に5年ぶりに復活した。今回のファイナリストは、アキナ、マヂカルラブリー、見取り図、錦鯉、ニューヨーク、おいでやすこが、オズワルド、東京ホテイソン、ウエストランド、敗者復活を勝ち上がったインディアンスの10組。



 決勝の司会は、今田耕司(14回目)と上戸彩(9回目)、審査員は松本人志(14回目)、オール巨人(8回目)、上沼恵美子(8回目)、中川家・礼二(6回目)、富澤たけし(4回目)、立川志らく(3回目)、塙宣之(3回目)の7人(※回数順、同数の場合は50音順)。3年連続で同じ審査員が顔をそろえるのは、M-1史上初となった。



■M-1グランプリ 優勝者一覧【参加組数】

2001年度 中川家【1603】

2002年度 ますだおかだ【1756】

2003年度 フットボールアワー【1906】

2004年度 アンタッチャブル【2617】

2005年度 ブラックマヨネーズ【3378】

2006年度 チュートリアル【3922】

2007年度 サンドウィッチマン【4239】

2008年度 NON STYLE【4489】

2009年度 パンクブーブー【4629】

2010年度 笑い飯【4835】

2015年度 トレンディエンジェル【3472】

2016年度 銀シャリ【3503】

2017年度 とろサーモン【4094】

2018年度 霜降り明星【4640】

2019年度 ミルクボーイ【5040】

2020年度 マヂカルラブリー【5081】
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