ジョージ・クルーニー、天才子役に大人たちが負けていた 映画『ミッドナイト・スカイ』秘話

ジョージ・クルーニー、天才子役に大人たちが負けていた 映画『ミッドナイト・スカイ』秘話

 Netflixで23日より配信がスタートした映画『ッドナイト・スカイ』。監督・製作・主演を務めるのは、ハリウッドを代表する名優ジョージ・クルーニー。今月上旬、オンラインで日本のメディアの取材に応じた。「本当に誇らしく思っている映画なんだ。最初に見据えていた、そうあって欲しいと思う通りの作品になった」と、かなりの自信。それもあってか、インタビュー中も終始機嫌な様子だった。



【動画】『ゼロ・グラビティ』を彷彿とさせる本編シーン



 本作は、作家リリー・ブルックス=ダルトンによる小説「世界の終わりの天文台」が原作。ある理由により人類滅亡の危機に瀕している地球と、宇宙探査ミッションを経て地球に帰還しようとする宇宙船を舞台に描く物語。地球の滅亡を目前にしてもなお、北極に残り続ける孤独な科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)は、任務を終えて帰還しようとする宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)らを何とかして止めようと奔走する。危機が迫る中、サリーら宇宙船の面々を救うことはできるのか? そして、オーガスティンが地球に残り続ける衝撃の“ある理由”とは…?



――監督・製作・主演の3役を全うできたコツは?



【ジョージ・クルーニー(以下、GC)】僕のパートを先に撮れたのは良かったよね。そのあとで他の部分を撮影したから、最初に自分のパートに集中して演出することができた。秘けつは準備万端でいることかな。撮るものの準備を8~9ヶ月の間、しっかりとしていれば、カメラの前にパッと立って演技をして、カメラの後ろに戻ることはそう難しいことじゃない。準備ができているかが重要だと思う。



――オーガスティンは、北極に残り続ける孤独な科学者という設定ですが、撮影はアイスランドで行ったそうですね。



【GC】 南極や北極には行けなかったからね(笑)。行ける範囲で一番近かったのがアイスランドだった。10月で零下30~40度近くあったので十分に寒かったよ(笑)。利点はスケール感の大きさを表現することができたこと。物語は小さく、親密だ。でもその(背景の)パレットは壮大だ。それを見せるためには、アイスランドも天候も、全てが必要だった。



――疲れ果てた老人というオーガスティンのキャラクターがリアルで、あなたのイメージと全く異なり驚きました。苦労した点はありましたか?



【GC】そこまでかけ離れていないよ。年取ってきているからね(笑)。今年60歳だよ。(どんどん)やってきちゃうんだよ。打つ手立ては何もないんだよ(笑)。このオーガスティンというキャラクターについて最初読んだ時…最初は監督じゃなくて出演でのオファーだったんだけど…これはいい役だと思った。これは演技入門編みたいな話だけど、『ER 緊急救命室』に出演していた時、僕は小児科医を演じていて、常に子どもと仕事をしていた。キャラクターはアルコール依存症だし、女たらしで、ちょいワル。でもいつも子どもの面倒は見ていて。すると皆、子どもが好きなのか、じゃあ、いい奴だなって、なる(笑)。子どもは守らないといけないからね。(本作にも) 守らなければいけない少女がいる。それだけで観客は彼の応援をしたくなるし、ある意味、少女のキャラクターがいてくれたことは大きく役立ったんだ。



――地球に取り残された謎の少女(カオリン・スプリンガル)ですね。オーガスティンは彼女と、不思議な共同生活を送りますが、ほとんどせりふがないのにすごい存在感でした。共演者としての彼女はいかがでしたか?



【GC】彼女は演技経験が全くなかった。7歳の女の子を200人ぐらいオーディションしたんだけど、彼女が(部屋に)入ってきた時、何か感じるものがあったんだよね。大人でも「演技をせず、ただ耳を傾ける」というのは難しい。でも彼女はそれができたんだ。しかもカメラの前で。すぐに彼女は特別だと思った。彼女(の演技とキャラクター)が成立しているから、映画も成立していると思っている。



 僕らほかの俳優が赤っ恥をかかされたよね(笑)。だって全部1テイクで済むんだよ。1テイクだよ! 通常は子役がいる場合、時間にしろ日数にしろ多めにスケジューリングしておくものなんだ。1日で働ける時間が5時間と制限があるし、せりふも失敗するかもしれないし、派手に落ち込んだり、癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうかもしれない。だから、子役が失敗してもいいように時間を取るんだけど、ケイリンはうますぎて毎回1テイクで撮れちゃうから、その日の予定半ばで仕事が終わっちゃたりする。その後で自分を含めたほかのキャストのところに行って「(いかにも役者っぽい、『役作りの時間をください』みたいな)準備をする時間をください」なんて言うなよ、と言ったよ(笑)。(僕らみんなが)ケイリンに負けていたからね(笑)。



――完成した作品の手応えを聞かせてください。



【GC】『ミッドナイト・スカイ』は本当に誇らしく思っている映画なんだ。最初に見据えていた、そうあって欲しいと思う通りの作品になった。一番誇らしく思っているシーンは《血のバレエ》のシーンかな(宇宙船の乗組員マヤが怪我をして出血した血液が無重力空間に漂うシーン)。映画では今まで観たことがないし。僕のアイデアだったんだよ。



 最初、脚本では《酸素が切れて》となっていたんだけど、『ゼロ・グラビティ』でもうやっていたしね。宇宙飛行士が水滴を無重力空間に広げて飲んでいる映像を見ていて(インスパイアされて)、効果(VFX)のチームに連絡を取ったんだ。水の代わりに血液で、どこか踊っているような、エレガントなものにできないだろうかって。「できると思います」って言われたから次にアレキサンドル・デスプラに電話をして「血のバレエの音楽を書いてくれ」って言ったら、フランス人らしく「(フランス訛りで再現)え、血のバレエ???」って言うから、「そう、血のバレエだ」って答えた(笑)。彼は本当に美しい曲を作曲してくれた。難しい、デリケートさが要るシーンだったから、すごく誇りに思っているシーンだ。
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