久保ユリカ、“声優あるある”打破 5周年でようやく実感「“自分で歌う”ということ」

久保ユリカ、“声優あるある”打破 5周年でようやく実感「“自分で歌う”ということ」

 声優アーティストの久保ユリカが、ソロデビュー5周年記念日の2月17日にニューシングル「君なら君しか」をリリースする。カップリング曲にはデビュー曲のアコースティックバージョン「Lovely Lovely Strawberry あおによしVer.」を収録。この2曲でチャレンジした新たな試みによって、これまでどこか抜けきらなかったという“キャラソン感”を打破し、ようやく久保ユリカとして表現したい方法で歌えたと語る。



【撮り下ろし写真】アーティストデビュー5周年を迎える久保ユリカ



■アーティスト活動5周年「声優の活動が軸にあるからこそ」



――2月17日にアーティストデビュー5周年の節目を迎えます。久保さんにとっては、声優活動、アーティスト活動はそれぞれどういう位置づけなのでしょうか?



【久保】声優の活動が軸にあるからこそアーティスト活動もできているし、させてもらえているという感覚です。これから先も変わらないですし、変わらないでいたいなと思っていることです。今回のレコーディングでも再認識できた気がします。



――デビュー記念日にシングル「君なら君しか」(「きゃにめ」および奈良地域限定発売)をリリースされることになりました。新作CDとしては2019年2月発売のミニアルバム『VIVID VIVID』以来2年ぶりとなりますが、今作のリリースの経緯を教えてください。



【久保】本当はもうちょっと早く出せたらなと思っていたんですが、2020年はいろんなことがあったので、急ぎすぎずに丁寧に作ろうという思いもあって。結果、節目のデビュー5周年にリリースすることになりました。



――タイトル「君なら君しか」は、1月にスタートしたラジオ番組のタイトル『いまなら、いましか』(ラジオ大阪 毎週日曜 後10:00~/ニコニコ動画 毎週日曜 後10:30~)に通じるところもありそうですが、久保さんの希望だったのでしょうか?



【久保】このシングルはソロ5周年記念ソングでもあるので、生まれ育った奈良をテーマに作ってみるのはどうかとポニーキャニオンさんが提案してくださって。タイトルは仮の歌詞に既に「君なら君しか」と入っていたので「これしかない」という感じで、すんなり決まりました。私にゆかりの深い「奈良」も「シカ」も入っていて、すごくいいタイトルなので、この1曲だけで終わらせるのももったいないから、何かほかでも使いたいなぁと思っていたんです。



ちょうどその頃、ラジオの新番組のタイトルを決める打ち合わせがあったんですが、しっくり来るものがなかったんです。それで、『〇〇なら○○しか』というタイトルにしてもいいかどうかポニーキャニオンさんに確認を取っていただいて、OKが出たというのが経緯です。ポニキャンのスタッフさんならOKしてくれると確信していました(笑)。



――レコーディングで特に工夫したところ、苦戦したところは?



【久保】今回は「私の歌いやすい音域で歌いたいです」とあらかじめ伝えていたこともあって、仮歌のメロディーよりもキーを少し下げたいという相談を先にしました。ただ、客観的な目線も大切にしたかったので、そのうえで両方のキーで歌ってみて、結果どちらにするかはおまかせしますと話していました。



正直、キーを下げると自分としてはナチュラルだけど、今までにない感じに変わってしまうのが皆さんに受け入れてもらえるのか、と悩みどころだったんですが、プロデューサーさんが「新しいほうでいいんじゃないですか」と背中を押してくれました。心がスッとしましたし、実際にできあがったものを聴いても「やっぱりキーを下げてもらってよかったな」と思いました。言葉を選ぶのが難しいのですが、「無理をしない」って大事だなと。無理をしない=頑張らないではないので、それを自分がうまく表現すればいいんだなと感じました。



それと、落ちサビ前のところで、「ここに歌詞の決意みたいなものが伝わったらいいな」と思って意図して息を入れたところがあるんです。多分消されるだろうなと思っていたんですが、何も言わなくても察してくださって、そのまま、吸い息も吐き息も活かして使ってくれていたのがうれしかったです。



――ご自身の気持ちとリンクするようなフレーズはありますか?



【久保】実は、最初に“仮の仮”でいただいた歌詞と、最終的に届いた歌詞がわりと変わっていたんです。“仮の仮”はけっこう暗い歌詞だったんですが、ちょっと明るく前向きなものになっていて。正直私は、“仮の仮”のほうが好きだったので、「この歌詞を残したい」と、何往復かやりとりしたうえで完成しました。



わかりやすいところだと、「あと少しそばにいて」というところは、「ずっと」と言わずにあえて「あと少し」と表現されているところに私はすごくトキメキを感じて。すごく消極的ですが、「ずっとそばにいて」と言って1ミリも可能性がなくなってしまうのであれば、「あと少し」と言うことでちょっとの可能性があるのならそっちにかけたいって想いが伝わって来る気がする。



それをお伝えしたときはそんな部分まであまり意識しませんでしたが、私自身の考え方に近いからこそ残してほしいとお願いしたのかもしれないなぁと、後から思いました。



■ようやく実感できた「自分で歌う」ということ



――カップリング曲「Lovely Lovely Strawberry あおによしVer.」はソロデビュー曲「Lovely Lovely Strawberry」(以下、LLS)のアコースティックバージョンとのことですが、どのようなアレンジになっているのでしょうか?



【久保】全く別モノの曲になったと言えるかもしれません。「LLS」の中に生きている主人公が大人になったらこうなんだろうなとか、あるいは男性目線だったらこうなんだろうなとか、それくらいの変化を遂げました。テンポも私自身の歌い方自体も全く違うので、もしかしたら元々の「LLS」が好きだった方はその変化をちょっと寂しく感じるかもしれませんが、今の自分だからこそ歌えるアレンジになっているんじゃないかなと思います。



この曲を5年前にリリースしたときを振り返ると、いろんな方に「いいね」と言っていただけましたが、私をよく知るファンの方や親しい方々からは「LLS」は久保ユリカのイメージではないという声も耳にしました。今だから言えることですが、正直に言えば、自分自身も違和感がゼロだったわけではありません。ただ、当時は「言われたこと」や「与えられたもの」の中で自分のできる限りの表現をし、勉強していこうと思っていた時期なので、そのときの私にとっては確実に必要でしたし、今でも本当に大事な唄です。



あれから5年が経って、今回曲がアレンジされてこんなにも姿が変わったのであれば、私自身もいまの自分がしたくて、することのできる伝え方で歌いたいなと思いました。実際、優しくもあり、哀愁も漂うような感じで、同じ歌詞なのに全く違う聴こえ方がするような表現ができたんじゃないかなと思っています。



――今のご自身の心境に合った歌い方ができたということですね。



【久保】そうですね。「君なら君しか」にも共通していることですが、自分が歌いやすい音域、歌いやすいテンションで歌えました。“声優あるある”らしいんですが、私もそれまでは自分自身ではないキャラクターとして歌うことが多く、ただの久保ユリカとして歌うということがよくわからないままソロ活動をスタートしました。なので、わりとつい最近まで、それぞれの曲の中に存在する久保ユリカというキャラクターを久保ユリカが演じて歌っているような、ある種、「久保ユリカキャラソン」のようになっていたというか……。



楽曲によって声のトーンや出し方も違ったりして、それはそれで声優だからこそいい! と思っていたのですが、ふと“自分(久保ユリカ)で歌う”ってなんなんだろうって考えるとやっぱりわからなかったんです。でも今作では「君なら君しか」も「Lovely Lovely Strawberry あおによしVer.」も自分のテンション感に合わせてつくっていただき、それを感じながら歌わせてもらえたことによって、ようやく声優“アーティスト”久保ユリカとして表現したい方法と向き合って歌えた感じがしましたし、「“自分で歌う”って、そうか、これだったんだな」と実感できました。



この声で歌いながら、歌詞に寄りそってお芝居もして、やっと出会えた自分自身として歌うことの意味が心から楽しくて。そのうえでチームシカコ(PとD)も「いい曲ができた」と言ってくれたので、すごくホッとしました。シカノコ(ファン)のみなさんに聴いていただくのはドキドキもしますけど、今作は「リアルな久保ユリカのイメージに近いかも」と感じていただけるのではないかと思っています。

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