柏木由紀「センター諦めません」 変化するファンへの“神対応”ならぬ“友対応”の真意

柏木由紀「センター諦めません」 変化するファンへの“神対応”ならぬ“友対応”の真意

 AKB48の最年長メンバーで、近頃は"すっぴんYouTuber"としても人気の柏木由紀が、3日にソロシングル『CAN YOU WALK WITH ME??』をリリースする。アイドル戦国時代をAKB48が制覇してから幾年月。ますます多様化するアイドルシーンの中で、自身の現在地とは。かつて“神対応”として頭角を現した柏木だが、最近はファンと友達のように会話や喧嘩をすることもあるという。そのファン対応の変化には彼女なりの“アイドル論”があった。



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■卒業を考えたことは一度もない「一生アイドルでいたい」30歳を前に強まる思い



──初めて外部プロデューサー、それもWACKチーム(BiSHや豆柴の大群らが所属するWACK代表の渡辺淳之助氏)をプロデューサーに迎えての楽曲を歌ってみていかがでしたか?



【柏木】他人が書いたとは思えないほど今の自分の気持ちが嘘偽りなく描かれていて、素直にすべてを出し切ることができました。歌詞の制作にあたって渡辺さんからものすごい長文のアンケートがあったんですが、私も負けずに長文でお返しする中で、『これまでとこれからの自分』を改めて見つめる機会にもなりましたね。プロデュースは渡辺さんでしたが、すべてがWACK色なわけではなくAKB48の良さも残りつつ、新しいものが生まれたなと思います。秋元さんと渡辺さんと食事にも行って色々お話したのですが、生きた心地しなかったですね(笑)。



──「変わらない わたしの夢・未来 まだ途中なんです」と歌っていますが、柏木さんが追い続けている夢とはどんなものですか?



【柏木】小さい頃にアイドルに元気をもらって、今度は自分が元気を与える側になりたいという夢を抱いてAKB48に加入したのが15年前のことですけど、あの頃から私は何も変わっていなくて。やっぱりステージで歌って踊ることが私には1番の幸せなんです。いろんなお仕事をする中でも、芯の部分では一生アイドルにこだわり続けていたい。30歳を前にした今は、改めてその思いが強くなってます。



──AKB48で数多くの卒業に立ち会ってきましたが、ご自身の卒業を考えたことはありますか?



【柏木】それが正直なところ、一度もないんです。私の中で1番心に残ってるのが、前田敦子さんの卒業(2012年)なんですね。東京ドームにいたすべてのメンバー、すべてのファンの寂しさと未来を応援する気持ちに包まれて去っていく後ろ姿を見ながら、『いつか自分が卒業するときには、こんなふうに送り出してもらえるんだろうか』と思ったことを今でも覚えていて。そう考えると、まだまだだなと思うんですよね。



■柏木の持ち味“神対応”をやめた理由とは「自分というものがなくなってしまった」



──今や最年長メンバーとなり、お姉さん的ポジションになりました。以前は前に出ないタイプとおっしゃっていましたが、変化はありましたか。



【柏木】そういう意味では年代の近いさっしー(指原莉乃)の卒業(2019年)は、いよいよ自分がしっかりしなくちゃと思ったタイミングでしたね。それまでさっしーが率先して後輩を指導してくれていたので、私はずっとその後ろに隠れていたんですけど。



──メンバーの顔ぶれも大きく変わりつつあるAKB48の現在をどう見ていますか?



【柏木】グループの雰囲気はすごくいいんですよ。ただ、なんとかもう一度"国民"のみなさまにお届けしたいんですよね。みんな本当に真面目で一生懸命で、見ていただけたら好きになってもらえる自信はあるんですけど、AKB48という名前が浸透している分、なかなかみなさん腰を上げて『見てみよう』という気持ちになっていただけないのかな? とか……。そんなもどかしさはあります。



──YouTubeで後輩を紹介する企画もありあましたが、その取り組みも、やはり最年長メンバーとしての責任感からなのでしょうか?



【柏木】私も先輩たちのおかげでここまで来られたので、そういう良き伝統は残していきたいんです。何より私はAKB48が好きなので、自分にとって誇りの持てるグループであってほしいんです。だから広報活動をするのは後輩のため、グループのためでもあるけど、突き詰めれば自分のためでもあるんですよね。



──柏木さんは握手会やYouTubeなどで、近年そのぶっちゃけたもの言いなどが好感を持たれています。以前はそんなことはなかったとお聞きしましたが、ご自身の心境にはどんな変化があったのでしょうか。



【柏木】それは私がずっと模索してきたことにも通じるんですが、AKB48ってファンとの距離をグッと縮めたアイドルの先駆けだったと思うんですね。ファンの要望も直接耳に入ってくるわけで、その1つ1つの要望に応え続けることがアイドルの務めだと思い込んでいたんです。



──握手会での“神対応”もアイドルの務めだと思い込んでいたと。



【柏木】そうですね。ただ、そうしていった結果、自分というものがなくなってしまった時期があったんです。ファンの方の要望に応え続けているだけだと、要望に応えてくれるところが好きっていうファンの方が多くなるんじゃないかと思ったんです。でもそれって“私じゃなくても成立するな”って気づいて、「こういうことがやりたいです」「こうしたら楽しくないですか?」っていう発信をちゃんとするようにしようと決めたんです。それから、アイドルとしての芯をしっかりと持ちながら、バラエティとかYouTubeもそうだし、グラビアやったり演技やったりして、そういった派生する活動もアイドルの1つの形だと思うようになりました。握手会でも、ただファンの方の要望に「うん」と肯定するだけでなく、自分の意見を伝えることによって会話が生まれるようになって、より1人1人との深い関係性ができるようになりました。



──柏木さんの中のアイドルの芯とは?



【柏木】ステージから歌で元気を届けること、それに尽きるんじゃないかと思ってます。自分が『これがベスト』だと思うものを提示すれば、好き嫌いはあってもファンの方は納得してくれるんじゃないかって。そう思えるようになってから、アイドル活動がさらに楽しく充実したものになっていったんですよね。



■“なんでもいい”からステージに立ち続ける意志「長年応援してくれたファンに報いる方法は単独センター」



──「生涯アイドル」を見据える中で、結婚や出産といったライフステージをどう考えますか?



【柏木】そういうタイミングが来るかもしれないですけど、自分としてはアイドルであり続けたいと思っています。それにきっと今いるファンはついてきてくれるんじゃないかな、という気もしてるんですよね。みんな「ゆきりんはもうなんでもいいから、とにかくステージに立っていてくれ」と言ってくれるので。



──「もう、なんでもいいから」って(笑)。つまりは「柏木さんのすべてを受け入れるよ」という意味なんですね。



【柏木】そんなみんながいてくれるから、私も『生涯アイドル宣言』ができる強さをもらえたんですよね。だからファンが求めてくれる限り、私は一生ステージで歌い続けます。



──いつかはAKB48を卒業するときも来るかもしれません。それまでに叶えたいことはありますか?



【柏木】一度でいいからシングル表題曲の単独センターを務めたいんですよね(Wセンターは39thシングル『Green Flash』で経験済み)。自分が叶えたいというのもあるけど、長年応援してくれてきたファンに報いる形ってそれくらいしか思いつかないというか。これで私が単独センターなしで卒業を迎えたら、本当にファンは崩れ落ちると思うんですよ(苦笑)。それもあってまだ卒業はできないですし、現役メンバーとして『諦めてません!』という意思表明を、この場をお借りして改めて秋元さんにもお届けできればと思います(笑)。



(取材・文/児玉澄子)
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