フジテレビ社員が監督したドキュメンタリー映画『ムヒカ』が受賞

フジテレビ社員が監督したドキュメンタリー映画『ムヒカ』が受賞

 映画界を励ます目的のもと、現役の映画批評家が集まって賞を選出する「第30回日本映画批評家大賞」の受賞作品が10日に発表され、フジテレビ社員である田部井一真氏(情報制作センター)が監督を務めた映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』がドキュメンタリー賞を受賞した。



【動画】作品賞を受賞した映画『星の子』本編映像



 2010年から5年間、南米・ウルグアイの大統領を務めたホセ・ムヒカ氏は、収入の大半を寄付、公邸に住むことを拒み、愛妻と愛犬と共に小さな農場で質素な暮らしを続けた。そんな姿から、敬意を込めて“世界でいちばん貧しい大統領”と呼ばれている。



 12年の国連会議で現代の消費社会を痛烈に批判し、人類にとっての幸せとは何かを問うた名スピーチは世界中で話題となり、田部井氏は当時ディレクターを務めていた『Mr.サンデー』でムヒカ氏を取り上げることに。ウルグアイへ渡った田部井氏は一度も日本を訪れたことのないムヒカ氏が、日本の歴史や文化にとても詳しく、尊敬していることに驚かされる。なぜ、日本のことをよく知っているのか? その答えを突き止めるために何度もウルグアイへと渡り、ムヒカ氏への取材を重ねた。ムヒカ氏の言葉に心を動かされた田部井氏は、多くの日本人にムヒカ氏の言葉を聞いてほしいと願うようになり、ムヒカ氏自身も訪日を熱望。絵本の出版社の協力を得て、彼の来日が実現する。



 本作品はムヒカ氏と監督である田部井氏との不思議な交流、そして日本に贈られた愛に満ちたメッセージの数々を、田部井氏が追いかけた映像でつづりながら、ムヒカ氏の政治家としてだけでなく人間的な部分にもスポットを当てて丁寧に描いたドキュメンタリー映画。昨年10月に公開され、スクリーン数も全国累計64館まで拡大、今月9日現在で観客動員は2万7000人(※配信による視聴者数を含む)を超え、興行収入は約3400万円とドキュメンタリー作品としては大ヒットとなっている。



 選考委員の映画ライター・新谷里映氏は、本作品を高く評価、ドキュメンタリー賞に選考した理由について「真実を伝えること、世の中で起きていることを伝えることがドキュメンタリーですが、『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』には、それ以上に“ムヒカさんを、ムヒカさんが思う幸せについての考え方を多くの人に伝えたい”その情熱を感じました」と、語っている。



 受賞した田部井監督は「この度は、日本映画批評家大賞ドキュメンタリー賞に選出していただきまして誠にありがとうございました。一報を聞いて驚きました。とにかく、驚きました。この映画は、南米・ウルグアイの大統領を務めたホセ・ムヒカさんについて日本人である“私”の視点で見つめた物語です。公開前、手厳しい批評は覚悟しておりましたが、コロナに負けず上映してくださった全国の映画館、映画を愛してくださった観客の皆さま、関係者の力をお借りしたことで作品が歩み始め、いただくことができた賞だと感じております。今回の受賞を励みに、細くとも長くムヒカさんのことを伝え続けていきたいと思っています」と、コメントを寄せた。



■第30回日本映画批評家大賞・受賞作品一覧

作品賞:星の子

出演:芦田愛菜、岡田将生、大友康平、高良健吾、黒木華、蒔田彩珠、新音、永瀬正敏、原田知世 監督・脚本:大森立嗣



主演男優賞:中村梅雀『山中静夫氏の尊厳死』

主演男優賞:津田寛治『山中静夫氏の尊厳死』

主演女優賞:のん『私をくいとめて』

助演男優賞:宇野祥平『罪の声』

助演女優賞:浅田美代子『朝が来る』

監督賞:大九明子『私をくいとめて』

新人監督賞:内山拓也『佐々木、イン、マイマイン』

新人監督賞:HIKARI『37セカンズ』

新人監督賞:佐藤快磨『泣く子はいねぇが』

新人男優賞(南俊子賞):宮沢氷魚『his』

新人男優賞(南俊子賞):奥平大兼『MOTHER マザー』

新人女優賞(小森和子賞):服部樹咲『ミッドナイトスワン』

新人女優賞(小森和子賞):佳山明『37セカンズ』

新人女優賞(小森和子賞):吉本実憂『瞽女GOZE』

ドキュメンタリー賞:『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』

アニメーション作品賞:『劇場版 ごん - GON, THE LITTLE FOX -』

脚本賞:天野千尋『ミセス・ノイズィ』

脚本賞:入江悠『AI崩壊』

編集賞(浦岡敬一賞):李英美『スパイの妻<劇場版>』

映画音楽賞:渋谷慶一郎『ミッドナイトスワン』

特別賞(松永武賞):新文芸坐
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