キートン山田、『ポツンと』3・28卒業「最後の最後にいい番組に出会えた」

キートン山田、『ポツンと』3・28卒業「最後の最後にいい番組に出会えた」

 声優業から引退することを発表しているキートン山田が、ABCテレビ制作・テレビ朝日系で放送中の『ポツンと一軒家』(毎週日曜 後8:00)のインタビューに応え、これまでナレーションを担当してきた同番組の魅力や今の心境などを語った。なお、キートンは28日の放送をもって同番組を卒業する。



【写真】MCの所ジョージと林修は変わりなく



 番組は、衛星写真で見つけたポツンと存在する一軒家を訪ね、人里離れた場所でどんな人が、どんな理由で暮らしているのか、その人の人生にも迫っていくドキュメントバラエティー。キートンは、番組誕生当初から一言一句ていねいに、そして愛のこもった語りで長く番組を彩ってきた。



――『ポツンと一軒家』との出会いのエピソードからお聞かせください。



【キートン山田】最初は、前の番組(※)から引き継いだので、区切りが特にないんです。ただね、『ポツンと一軒家』はすごくインパクトがありましたよ。ほかの番組にはない“この世の中に逆行した番組”ですから、最初から乗り気でした(笑) 僕は、生まれが北海道の山奥。小学校の頃は炭鉱の入り口にある、それこそ“ポツン”とある家に暮らしていたんです。水道も井戸もなくて、沢水をバケツで運ぶのが僕の役割で、お風呂に水を貯めるために何度も運ぶんですよ。そんな暮らしをしていたので、この番組に出てくる暮らしぶりには共通するところもありますし、懐かしさも感じるんですね。



※『ポツンと一軒家』は前身番組『人生で大事なことは〇〇から学んだ』のワンコーナーとして誕生



――キートンさんにとっては、懐かしい風景でもあったのですね。



【キートン】私は昭和20年生まれですから、昔はみんなこうだったんだなって、思い出させてくれるような番組です。便利さだけを求めて合理性だけを目指してきた戦後です。ただ、この番組で感じるのは懐かしさだけではなくて、やはり人間力の大切さかなと思います。素朴で不便な暮らしに見えるかもしれないけど、生きる力をすごく感じる。高齢者の方にとっては懐かしく、まだまだ人生を楽しめると感じられる方もいるでしょうし、今の若い方々にとっても、この番組を観て、考えさせられた人もいるんじゃないでしょうか。僕自身、勇気をたくさんもらえたと思います。



――毎回、どのような思いでナレーションに臨まれていたのでしょう



【キートン】『ポツンと一軒家』の映像って、距離が遠いと感じませんか? 作り物ではないありのままの自然の映像をそのまま映し出しているので、映像にすごく力があるんです。都会で暮らしていると風や雨や空の色なんかを感じることが少ないじゃないですか。でも映像には鳥の声も川のせせらぎの音も聞こえてくる。特に今の時代はそんな自然の中に行けないような方々も観ていると思うんです。ナレーションがなくてもいい部分もいっぱいあるなあと感じていましたね。僕は収録に入るまで映像を観ないでぶっつけ本番で話すんです。だから感動、感激しながら、心奪われてナレーションを忘れることもありましたよ。



――そうだったのですね!



【キートン】ただ、ナレーションは飾らず装飾しないことが大事なんです。なんたってこの番組は映像が中心ですから、僕の感動はなるべく出さないようにしてました。僕が感動しているのをお見せするのではなくて、観ている人が感動するわけですから。僕自身は感動の起伏を出さないようにしていましたが、どうしても出ちゃうので、抑えるのが大変でした(笑)。映像の魅力がしっかりと伝わることを心がけながら、だけど自然に気持ちが出る部分はそのままにしゃべっていました。



――キートンさんの語りも3月28日放送で最後となりますが、今の心境は?



【キートン】まだ終わった感がないんです。3月28日のオンエアを観てからでしょうね。28日の夜は『ちびまる子ちゃん』を観て、その後に『ポツンと一軒家』を観て、そこで“終わったかな”と感じるかどうか、でしょうね。



――3月28日の放送はどのように観るご予定ですか?



【キートン】その日はね、自宅にいないようにしようと思っていて、とある温泉地の老舗旅館で観る予定にしています。温泉に入って、いつもと違う環境で観ようと思います。



――最後に、『ポツンと一軒家』ファンのみなさまへメッセージを



【キートン】近所の方々もよく番組を観てくださっているんです。視聴者には高齢者の方も多いと思うのですが、若い方にも影響を与えているんじゃないかなあと思います。番組を観ていても、若い方がポツンと一軒家に移住して生き生きと暮らしていたり、何百年も代々続く家にお孫さんが遊びに来ていたりね。



 世の中に逆行している番組ですが、小細工のない偉大なるマンネリが喜ばれるとても貴重な番組だと思います。みなさん毎回本当に楽しみにされているので、作り手のみなさんにはこのまま続けていただければと思います。



 50年以上この世界でやってきて、最後の最後にいい番組に出会えたという感謝と喜びを感じています。僕が幼少期に生まれ育った環境がそのまま出てきて、感動しながらナレーションができるなんて、こんなことってなかなかないですよ。本当に幸せものだと思います。ナレーションは変わりますが、これからもみなさんには見続けていただきたいと思います。僕も見続けます。
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