『レッドアイズ』脚本家が込めた挑戦的なこだわり「時間を止めない」「聞き込みをしない」

『レッドアイズ』脚本家が込めた挑戦的なこだわり「時間を止めない」「聞き込みをしない」

 人気グループ・KAT-TUNの亀梨和也が主演する日本テレビ系連続ドラマ『レッドアイズ 監視捜査班」』(毎週土曜 後10:00)第9話放送を前に、脚本家・酒井雅秋氏のインタビューが公開された。亀梨演じる主人公・伏見は愛する人を失った痛みを乗り越えることはできるのか。黒幕・鳥羽(高嶋政伸)がKSBC(神奈川県警捜査分析センター)に仕掛けた最後の罠、警察組織に潜む内通者など、最終回に向け緊迫感も増していく。酒井氏が新たな“刑事ドラマ”を作るため今作に込めた挑戦的なこだわりを語っている。



【動画】鳥羽が伏見の前に現れる…第9話予告



──放送も今週の9話と最終話を残すのみとなりました。展開がより一層加速している印象を受けるのですが、レッドアイズの作劇上、大変だったところはありますか?



僕は普段、事件モノのドラマを執筆することが多いので、事件のロジックをしっかり組み立てて物語を作ることを心がけています。でも『レッドアイズ』の場合、ロジックばかりを気にしすぎると、ドキドキ感のあるダイナミックな展開が失われます。逆に予想外の展開を狙いすぎてしまうと、今度はつじつまが合わなくなってしまう(笑)。ダイナミックで意外な展開と破綻のないストーリー、このふたつを両立させるにはどうすればいいのか? そこには、とても悩まされました。

でも、尾上(貴洋)プロデューサーや監督、他の脚本家の方たちとも意見を出し合いながら、バラエティに富んだストーリー展開になったように思います。



──事件の意外な展開に加えて、今回は毎回ハラハラするタイムリミットサスペンスも好評です。



タイムリミットサスペンスに関しては、誰もが成功を願うシンプルなミッション、例えば、被害者や仲間、家族を助けるというような展開を心がけました。その中で、必ずしもミッションが成功しないという残酷な結末も描きたいと思いました。



タイムリミットサスペンスといえば、必ず助かることがお約束ですよね(笑)。でもそれを破ることで、先読みをさせない展開を作れると思ったからです。同時に残酷な結末は、キャラクターたちに大きな困難を与えることになります。それに苦しみながらも乗り越えようとする姿を描くことで、キャラクターに奥行きも生まれると考えました。



また、レッドアイズでは『物語の現在進行形の時間を止めない』ということが、僕の中のひとつのテーマでした。とにかく矢継ぎ早に事件が起こり、ひとつ解決したと思ったら、次に起こる事件の伏線が既に張られているというくらいのスピード感をイメージしていました。タイムサスペンスは、それを盛り上げる大切な要素のひとつでした。



──時間が止まるシーンというのは例えばどんなシーンなんでしょうか?



極端な例ですが、あと数分で爆弾が爆発するという時に、『罪を犯したのは、こんなつらい理由があったからだ』とか『今までありがとう、実は言えなかったけど、こんな想いがあったんだ』とか…そんな切羽詰まったタイミングで語り合ってたら死んじゃうよ、みたいなシーンでしょうか(笑)



ちなみに『レッドアイズ』では、刑事ドラマの定番をあえてやらないことで、時間を止めない工夫もしました。その定番は『聞き込み』です。普通は聞き込みで犯人や被害者の情報を得ていきます。でも今回は監視カメラで事件を捜査していく物語ですし、プロファイリングやハッキングで情報を集め、スピード感のある展開をイメージしていたので、意識してやりませんでした。伏見は聞き込みなんかしないで走る! 誰かを助けるために、とにかく走る! そんなイメージでした(笑)



──ついに9話では事件の黒幕である先生=鳥羽がKSBCに、乗り込んできます。伏見の感情に揺さぶりをかけるなど、サスペンスの行方だけでなく、人間ドラマの決着も大きな見どころです。



僕は事件ものを執筆する機会が多いので、必然的に多くの殺人事件を描いてきました。物語の中とはいえ、これまで結構な人数を殺したり、傷つけたりしてきたんです。ある時、そのことに気づいてゾッとしました。だから主人公だけでなく、被害者や犯人を始め、すべてのキャラクターの感情をできる限り丁寧にすくい上げて、地に足のついたキャラクターにしようと心がけています。そうすることで、どのキャラクターに対しても感情移入してもらえると考えるからです。



『レッドアイズ』では『怖い』とか『見ていてつらい』という視聴者の方の感想も目にします。大切な人を傷つけられたり失ったりする痛みは、やはり残酷なものとして捉えられてしまうのかなと心苦しく感じる一方で、痛みを感じてもらえるということは、感情移入をしてもらえている証明でもあるので、脚本家としてはうれしいことでもあります。大切な人を失った痛みや怒り、心の軋(きし)みを、伏見を始めとしたキャラクターたちが、どうやって乗り越えていくのか?



レッドアイズは愛についての物語でもあると思っています。サスペンスや謎解きだけでなく、人間ドラマの部分もぜひ、怖がらないで見届けてもらいたらうれしいです。

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