結成10周年カミナリ、時代に迎合しない覚悟「いまだにテレビに夢が詰まっていると思ってる」

結成10周年カミナリ、時代に迎合しない覚悟「いまだにテレビに夢が詰まっていると思ってる」

 4月17日、芸歴10周年を迎えたお笑いコンビ・カミナリ。2016年の『M-1グランプリ』で決勝7位、翌年も決勝9位と、霜降り明星やハナコら、いわゆる「第七世代」として活躍する同期芸人たちのなかでも早くから実力を認められる一方、コンプライアンス全盛の昨今、たくみの強いツッコミが批判の対象になることも。そんななかでも大きく芸風を変えず、今夏には10周年記念ライブも開催する。そんな2人にこれまでの10年を振り返ってもらいながら、同期の第七世代への想いや、自身のお笑いへの信念について聞いた。



【比較写真】10年前のカミナリ、風貌の違いに驚き…昔は鋭い眼光も今は毒っ気が抜けたいい人に?



■「『若いときに売れたね』と言われたい」がモチベーションだった



━━10周年を迎えた日、たくみさんはツイッターで、デビュー当時と現在の対照的な写真をあげ、「芸歴10年になりました」と感慨深げにつぶやかれていましたね。



【石田たくみ】実は、僕の前にまなぶがつぶやいていたんです。まなぶはこれまでのいろいろな写真を載せて、いろいろな文章を書いてたんですけど、なぜか俺のが伸びて、まなぶのが放ったらかしにされた(笑)。同じツイートでもバズるものとバズらないものの、良い例・悪い例みたいな(笑)。いい比較になったと思います。



【竹内まなぶ】10周年で感慨深かったので、頑張ってやったんですよ。でも、もし今、テレビに出られてなかったら、辞める話を2人でしていたと思うので。



━━結成当初、10年後にはテレビに出ていることを目標にしていたんですね。



【たくみ】今32歳なんですが、「30歳までに」っていうのは考えていましたね。もともと“俺らが一番面白い”って勘違いしている2人なんで、「10年以内には食えるようになってるだろう」って強い気持ちは持っていました。



【まなぶ】「カミナリって若いときに早めに売れたね」って言われたかったんですよ。とんねるずさんやダウンタウンさん、ナインティナインさんを観て育ってきたので、20代そこそこなのにスターですごいなって憧れていて。30歳超えてからテレビに出ても、苦労人っていうイメージや「頑張ったね」って言ってもらえるだろうけど、俺たちは「エリートだね」って言われたい気持ちがあったんです。



━━そういう意味では早くから活躍されてきたお2人にとって、この10年は割と思い通りに進んだのでは?



【たくみ】思い通りではないですね。ソフトバンクの孫正義さんやメジャーリーガーの大谷翔平さんが、年齢ごとの人生の目標を立てていたって聞いて俺らもやってたんですが、芸歴10年はもう「大御所になる」って書いていたんで(笑)。



■お笑いは、“笑えるか・笑えないか”“面白いか・面白くないか”だけで判断してほしい



━━昨今、「傷つけないお笑い」がもてはやされるなど、お笑いを取り巻く環境が大きく変わっていると思います。カミナリの漫才の強烈な個性である“ドツキ”もコンプライアンスの問題に上げられ、たくみさんがその件に関して、意見を述べたこともありました。



【たくみ】時代が何を求めてるかって、たぶん結果論だと思うんです。とりあえず、俺らは自分たちが100%面白いと思っていることをやっていれば、なんとかなるかなってことだけを信じてやってきたんですけどね。



【まなぶ】僕は“人を傷つけない笑い”っていうのがよくわからなくて。人間として、“人を傷つけない人”ではあるべきだと思いますけど。



【たくみ】観ている人には、いい人・悪い人じゃなくて、笑えるか・笑えないか、面白いか・面白くないかだけで判断してほしいですよね。でも僕らの暴力描写を観て、痛々しいと思ってしまった人には「ゴメンナサイ」って思います。プロレスと同じ、好き嫌いが分かれると思います。



━━そのこだわりからか、カミナリはお笑いに対してストイックでギラギラしているイメージがあります。



【たくみ】これがまた、テレビのロケでもそれが自然と出てるのか、カットされてることが多くて。自分たちがやりたいことと、テレビ局が出したいもの、お茶の間が観たいものが同じならいいのに、ズレがあって難しいなって感じています。



━━自分たちの好きなことだけを追求するために、テレビほど制約の多くないYouTubeに活動の拠点を移す芸人もいますが。



【たくみ】確かにYouTubeのほうがやりたいことができますよね。でも、俺らはテレビっていう難しい媒体で好きなことをやって、「テレビで何やっちゃってるの?」って言われるのがひとつの目標なので。今は配信サービスがいろいろあっていつでも観られるようになっているけど、決められた時間に、不特定多数の人に見てもらえるところにテレビの魅力を感じていて。そのテレビでやりたいことができるまで頑張りたいんです。



━━その考えに至ったのは、とんねるずやダウンタウンらテレビスターへの憧れからでしょうか?



【たくみ】そうですね。言い方に語弊があるかもしれないですが、暴力的なことで笑ってたし、学校でマネてましたしね。



【まなぶ】当時の僕たち小中学生からしたら、悪ふざけしてお金をもらってるみたいに思えて。悪ふざけを商品にする演技力というか、悪ふざけを昇華させているのがカッコいいなってホントに憧れたんで。



━━テレビで売れてナンボだと。



【まなぶ】テレビが一番夢が詰まってるっていまだに思ってますし、「何かやりたいことがありますか」って聞かれたら、まず「テレビで」っていうのが出てきますね。今、YouTubeに行っちゃったら、小さい頃の僕の夢を壊してるみたいで。ちっちゃいまなぶを否定しているみたいな感じがします。



【たくみ】今、テレビが元気ないとか言われるけど、尖ってるかもしれないですけど、「だったら俺らが昔のテレビに戻してやる」みたいな気持ちはあります。



■人生「ドロー」は嫌…勝ちか負けか、ドローがないお笑いをやっていきたい



━━先ほど、「早めに売れたねって言われたかった」と言っていましたが、ほぼ同期とされる最近注目の「第七世代」の中で売れる時期は早かったですよね?



【まなぶ】次世代の若手芸人を発掘するフジテレビ系の『新しい波24』に出演したとき、他は霜降り明星とかハナコとかまだ賞レースを獲る前のメンバーがいたんです。当時テレビに出られているのも俺らぐらいだったから余裕ぶっこいてたら、最後の5組くらいに絞るときに入れなかったんですよ。



【たくみ】でも落ちたとき、まなぶは「逆に入んなくてよかったわ」って強気なこと言ってました(笑)。まなぶは第七世代にくくられることに、すげー反発してますからね(笑)。



【まなぶ】年齢とか芸歴的には同期なんですけど、僕は芸能界はすごくトガった世界であってほしいんです。みんなで仲良しこよしは何も生まれないなって思うんですよ。



━━では、そんな同期や追いかけてくる後輩たちのことをどうとらえていますか?



【たくみ】賞レースとかはもちろん「負けねえぞ」って気持ちでいきますけど、普段のお笑いの仕事やテレビの仕事では、一緒に走っているようで「一緒じゃねぇよな」って感覚ですね。小さい頃って年齢の壁が大きくて、足の速さにしても、力にしても、勉強にしても、何事にも年上に勝つってすごいことじゃないですか。同期や後輩を見るのではなく、先輩を追いかけて育ってきたので、先輩が笑ってくれたら嬉しいなっていう気持ちでやってますから。



━━下剋上の精神?



【たくみ】そうかもしれないっスね。後ろから来てても俺らは上を見てるぞっていう感じ。



━━では、今後の目標は?



【たくみ】ずっとギラギラしたマインドでいたいなって思いますね。「カミナリはステージ上がったからもういいじゃん」って言ってくれる先輩もいるし、確かに今ある仕事をやっていれば、とりあえず生活できるお金はいただけています。でもそれで満足してたらいろいろなもののクオリティが下がりそうで怖いんで。「いい人だね」で終わりたくないし、大前提、面白いと言われていたいんで。



━━今夏には10周年記念として7月3日に東京・草月ホールで『結成10周年記念 カミナリ単独ライブ 発電所』(5月15日チケット一般発売)を開催します。



【たくみ】新ネタをやるライブはコロナになる前、3カ月に1回のペースでやってたんですよ。ただ、せっかくだからエンターテインメントとしてちゃんと大きいところで定期的に単独ライブをやれたらって考えるようになって。10周年を機に、毎年やっていけたらいいなって思います。



━━今はネタ作りの真っ最中?



【たくみ】はい。やっぱり一番楽しいですね。去年はライブができなかったから、マジで1年間、ひとネタも作ってなくて。頭使ってないというか、白髪増えるっていうか、しわが増えるっていうか(笑)。自分が何者なのかわかんなくなっちゃうくらいだったんで。



【まなぶ】去年、死にますって言われたら後悔したけど、今は明日死にますって言われても後悔ないかもしれないです。



━━カミナリの最新型の笑い、楽しみです。



【まなぶ】ウケるか滑るかのどっちかです(笑)。サッカーの試合見に行って、引き分けってなんかモヤっとするじゃないですか。僕らは勝ちか負けかに振りたい。人生、「ドロー」は嫌なんで、ドローがないお笑いをやっていきます!



取材・文/河上いつ子
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