3万6000人が見届けた山里亮太&若林正恭『たりないふたり』解散ライブ 笑いの涙の2時間“ネタバレなし”ルポ

3万6000人が見届けた山里亮太&若林正恭『たりないふたり』解散ライブ 笑いの涙の2時間“ネタバレなし”ルポ

 まさに“最後の漫才”にふさわしい2時間だった。南海キャンディーズ・山里亮太とオードリー・若林正恭による「たりないふたり」が、5月31日に東京・下北沢で行われた配信ライブ『明日のたりないふたり』をもって、解散した。2009年にお笑いライブ『潜在異色』で生まれ、2012年『たりないふたり』、14年『もっとたりないふたり』と日本テレビ系深夜番組で漫才を披露してきた2人が、12年におよぶコンビ活動に終止符を打ったが、当日現場では何が起きていたのか。漫才の詳細については言及せず、漫才を見守っていたスタッフの様子、番組を立ち上げた安島隆氏へのインタビュー内容などをもとに“涙と笑いの解散漫才”を振り返ってみたい。



【写真】すべてはここから…9年前の『たりないふたり』カット



■12年間紡いできた歴史に終止符 立ち上げ人・安島隆氏の感慨



 まずは、改めて『たりないふたり』についておさらいをしておきたい。『潜在異色』のスピンオフ企画で始まった同ユニットは、人見知りで社交性・恋愛・社会性の“たりない”ふたりが、毎回さまざまなテーマを元に各々のたりない部分を暴露しあいながら、最後はそれらの恥部をすべて漫才に落とし込み披露していった。



 14年8月に開催した番組ライブ『たりふた SUMMER JAM '14 ―山里関節祭り―』以来、活動を休止していた2人だったが、19年の山里の結婚を受けて、同年11月に1日限りでライブイベント『さよなら たりないふたり~みなとみらいであいましょう~』を開催。当初予定されていた舞台上での打ち合わせを若林がすっ飛ばし、約80分と20分、2本の即興漫才で会場を爆笑の渦に巻き込んだ。その直後に若林も結婚したことで、コンビとしての活動は「さよなら」するのかと多くのファンは覚悟した。



 しかし、ふたりは「さよなら」せずに、昨年4月からは『たりないふたり2020~春夏秋冬~』と題して、季節ごとに特番がはじまった。「冬」に新作漫才を披露することを目標に、春・夏・秋と放送してきたが、秋に亀裂が発生。2人が互いにパーソナリティーを務める、ラジオ番組(『水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論』『オードリーのオールナイトニッポン』)を巻き込み場外乱闘まで発展した。そんな展開を経て、5月31日、2人が2009年に初めてユニットを組みライブを開催した聖地・下北沢に立った。緊急事態宣言を受けてオンライン生配信ライブのため、会場には観客はおらず、2人だけの空間で漫才を行うことになった。



 記者は「たりないふたり」の明日を見届けるため、関係者から許可をもらった上で、開演時間の1時間ほど前、会場の北沢タウンホールを訪れた。普段は物販などが行われているスペースは、密を避けながら機材が設置された“技術スペース”になっていた。検温と消毒を終えたところ、安島氏が笑顔で迎えてくれた。「もう、ここまで来たら、僕はすることがなくて(笑)。あとは、山ちゃんと若林くんに本当におまかせです」。この言葉を聞きながら、ライブ1週間前に安島氏が語ってくれた言葉を思い出した。



 「この12年、僕らが用意した舞台を、いつもはるかに凌駕(りょうが)することをやってきてくれた2人ですので。2009年の初舞台でも、『たりなさ』なんてネガティブなテーマをとんでもなく面白くしてくれた。2012年のテレビシリーズでは毎週新作の漫才を作るという無茶な企画を形にして、すばらしい漫才を13本も作ってくれた。『さよならたりないふたり』では、100分の即興漫才で『さよなら』へのアンサーを見事に返してくれた。そんな風に、今回もきっとやってくれるだろうなと楽しみにしています。こういう言い方をすると無責任で偉そうに聞こえてしまいますが…」



■開演前にスタッフから“呼びかけ” 涙と笑いの漫才が終わった後に起きた“拍手”



 ラストという感傷に浸りながらも、刻々と開演時間は迫ってくる。会場内は、カメラスタッフなどの最少人数にとどめ、2人が真正面から思いをぶつけ合う舞台が作られた。会場の外では、スタッフが「みなさん、大きな声で笑いたいと思いますが、心の中で、大声で笑ってください」と呼びかける。画面上では、安島氏による開演前の注意ツイートが放映され、ついにライブが幕を開けた。過去の映像が流れる中、SNS上では早速「なつかしい」「もう泣きそう」などの声があふれた。



 視聴者の思いも高まってきた中、センターマイクに立った2人。冒頭から、かけあいは熱を帯び、じわじわと攻めていく若林に対して、山里のワードセンス光るツッコミも絶好調。お互いの“生き様”を見せる『たりないふたり』らしく、最後の漫才で、これまでの歴史をたどりながら、思いの丈をあますことなくぶつけあう。2人のかけあいを画面越しに見つめる安島氏は心からの笑みを浮かべながら、時折感慨深げな表情も見せていた。



 それぞれのすべてを漫才に込めた、笑いと感動の2時間。エンディングを迎え、オンライン配信が終了した瞬間、会場の外では、誰からともなく拍手が起こり、その音は次第に大きくなっていく。『明日のたりないふたり』というタイトルに全力でこたえ、その先をも見せた2人に対する最大級の賛辞だった。山里は、1日放送のTBSラジオ『たまむすび』(月~金 後1:00)に生出演した際、今回のライブについて次のように語っていた。



 「若ちゃん大変だったと思うよ。打ち合わせは何回か重ねたんだけど『こんなこと言うかも』くらいのことを言って、それが何ヶ所かあるっていう感じだったから。若ちゃんの頭の中にやりたいことがあって、それをもってセンターマイクに行くから、アドリブしかない。12年一緒にやっているけど、解散の日でも『コイツ、イカれてるな』って(笑)。『なんでそんなこと言うの、そんなことするの』って思ったから(笑)。無観客だけど、楽しくて楽しくてさ」。



 2人が12年分の思いを乗せた、約2時間のノンストップ漫才。3日時点では、3万6000人が視聴していることからも、注目度と熱量の高さがうかがえるが、ドラマティックな2人の軌跡は、8日までアーカイブ配信されているので、ぜひとも実際の映像で最後の勇姿を目撃してほしい。



■『明日のたりないふたり』

公式ホームページ:https://www.ntv.co.jp/tarinai/

見逃し配信:6月8日まで

チケット:一般視聴チケット 3000円(GOTOイベント適用 2400円)(6月8日午後7時まで販売)
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