森川智之×甲斐田裕子、“引き算の芝居”求められる声優のこれから「削ぎ落とせる勇気とセンス」

森川智之×甲斐田裕子、“引き算の芝居”求められる声優のこれから「削ぎ落とせる勇気とセンス」

 ゲームを原作に実写映画、CGアニメと多方面に展開されてきた名作「バイオハザード」シリーズ。その初の連続CGドラマ『バイオハザード:インフィニット ダークネス』が8日、Netflixで全世界独占配信される。主人公のレオン・S・ケネディ役には森川智之、クレア・レッドフィールド役には甲斐田裕子と、ゲームからのファンにはおなじみのキャストが起用された。手に汗握るストーリーと、キャラクターの肌の温もりまで感じられる圧倒的な映像美――進化したアニメ表現技術の粋を集めた同作に、2人のベテランはどう挑んだのか、話を聞いてみた。



【ソロショット】インタビューに応じた森川智之&甲斐田裕子



――過去何作もレオンとクレアとして共演されていますが、改めてお互いの役作りをどう感じていらっしゃいますか。



【森川】最初の出会いがあまりに鮮烈で、相当な修羅場をかいくぐってきた2人ですからね…。公開されてるPVでもわかりますが、あの通りなんですよ。久しぶりに会っても冗談を軽く言い合えたり。そんな感じが互いにしてます。



【甲斐田】実際には、ゲームの時から一緒に声を録ることってなかったんです。なので実際にレオン役をやってる森川さんの声を聞くのは、完パケ(完成状態の映像)をもらった時とかで、隣のマイクの役作りというのは、実は見る機会がないんですよ。それでも、やはりレオンとして登場したときのカッコよさは、段違いだなと(笑)。なんか、(他の人と)録り方違うんじゃないのと思ってしまうくらい、やけにマイク乗りが良いですよね! ズルいなと。やっぱり主役です。



【森川】まあ、色んな作品で付き合いも長いので、互いに勝手知ったるというか。声優アワードで一緒に賞もとったからね(笑)!(※森川と甲斐田は2019年、第13回『声優アワード』で新設された「外国映画・ドラマ賞」の初代受賞者である)



――今回のシリーズは、2008年のアニメ映画『ディジェネレーション』から格段に映像技術が進歩していて感動を覚えました。こうしたアニメ制作の技術が進歩することで声優に求められる“表現”というのは何か変わってくるのでしょうか。



【森川】映像のリアルさに伴って、演じる側もよりリアルにならないと合わないというか。今回のシリーズでは肌感までリアルですよね。その肌の奥に血管があり、血が流れていて温かみがある。これまではそういう要素を補うためにデフォルメして演じていた部分がありますが、こうしたリアルさが増す分だけ、画もお芝居をしてくれているんです。なので、画とお芝居、ダブルで同じことをやっては“やりすぎ感”が出る。余計なものを削ぎ落とせる勇気とセンス、そういうものが求められてきていると思います。



――いわゆる“引き算”のお芝居というのは、やる上で勇気がいるものですか。



【森川】そう思います。これまでの声優の歴史は足し算の芝居で成り立ってきたので。画の表現技術が発展していない部分を声でカバーして、どれだけ話を立体的に見せられるかだった。それが、技術の進歩で画がお芝居を細かくできるようになった今、同じデフォルメのアプローチではうるさくなってしまうので、そこのセンスですよね。削ぎ落とす演技は、ともすると棒読みになってしまうのでは?と思われるかもしれないけど、そういうことではなくて、核の部分では演じ、その上で削いでみる作業が必要になる。これは今回の作品に限らず、ここ何年か特にそういう傾向になってきていると思いますね。



【甲斐田】普通(実写)の吹き替えでもそういう傾向が好まれるようになってきていますね。演技が過剰にならないように。『何もしない』という感覚は私たちには難しい部分もありますが。サービス精神で色々したくなっちゃうんですよね(笑)。そうしないと“やった感”がないような気がしてしまったり。



でも、それを敢えてしない選択をしても棒読みにならない基礎はできているので、何もしないとは言っても、実際は何もしないために色々やっているんですよね。むしろやらない方に意識を集中しないと過剰になってしまう。ディズニーの作品なんかも本当に表情が豊かに動きますから、そこに余計なお芝居を足すことで、くどくなってしまうんです。昔は外国人の顔に負けないお芝居を乗せようと教わってきましたが、今は変わってきましたね。



――方法論として、削いでいくアプローチというのは“足すこと”を知っているからこそできるものなのでしょうか?



【森川】というよりも、お芝居の基礎が出来上がっているかどうか、の方が重要です。基本ができなければ足すことも引くこともできないんですよね。基礎が無いなかで引いても何もなくなるだけですし、わからなくなってとりあえず足すしかない、となってしまう。



【甲斐田】しっかりデッサンができた前提で、ピカソみたいになれるかどうか、と同じです。基礎があるから初めて(型を)崩したり、自分の思いを込めたりすることができるので。やろうと思えば写実的なものがしっかり描ける状態であることが大事だと思います。



■『バイオハザード:インフィニット ダークネス』ストーリー



6年前(2000年)、内戦中のペナムスタンへ軍事介入していた米軍の「特殊部隊」のヘリが墜落した。

同作戦地域にいた米軍の「マッドドッグス」隊は、司令室の待機命令に背く形で生存者の救助に向かうがすでに「特殊部隊」は壊滅。隊長ジェイソンが率いる「マッドドッグス」隊も命からがら脱出することになる。しかし、ジェイソンらが現場で見たものは、死んだはずの「特殊部隊」が不気味に動き出す様子だった…。



現在(2006年)、ホワイトハウスの極秘ファイルへの不正アクセス事件が発生する。その捜査のため召集されたレオン・S・ケネディ、ペナムスタンの英雄ジェイソンを含むエージェント4名は、突如停電したホワイトハウス内で正体不明のゾンビ達と遭遇。SWATと共にそれらを制圧する。

その後、極秘ファイルは上海の生物科学研究所に関するものだとわかり、手がかりを求めレオンら3名のエージェントが捜査に向かうことに。最新鋭の潜水艦で上海へ向かう途中、突如として現れた集団で襲ってくるネズミ型B.O.W.の襲撃を受け、窮地に立たされてしまう。



一方、テラセイブの職員クレア・レッドフィールドは難民支援のためぺナムスタンに在留中、失語症の少年が描いた奇妙な絵と出会う。ウィルス感染者を描いたと思われるその絵をきっかけに独自の捜査を進めるクレア。そしてペナムスタン内戦時に実施された、ある恐ろしい実験に辿り着く。

思いがけぬ真実、そしてペナムスタンに端を発した事件の真相に近づくレオンとクレア。更に、平和を覆す恐怖の発露が迫っていることが発覚する…。



NETFLIXアニメシリーズ

『バイオハザード:インフィニット ダークネス』



原作・製作・監修:株式会社カプコン

監督:羽住英一郎

(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.



日本語吹き替えキャスト:

レオン・S・ケネディ:森川智之

クレア・レッドフィールド:甲斐田裕子

ジェイソン:立木文彦

シェンメイ:潘めぐみ

パトリック:野島健児

グラハム大統領:井上和彦

ウィルソン国防長官:田原アルノ

ライアン大統領補佐官:小形満



話数:全4話

配信日:Netflixにて2021年7月8日(木)より、全世界独占配信
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