壮大な昭和裏面史つづった『沢村忠に真空を飛ばせた男』本田靖春ノンフィクション賞に

壮大な昭和裏面史つづった『沢村忠に真空を飛ばせた男』本田靖春ノンフィクション賞に

 『第43回 講談社 本田靖春ノンフィクション賞』の選考会が15日に行われ、細田昌志氏による『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝』(新潮社)が受賞した。



【写真】著者の細田昌志氏



 取材・執筆に10年をかけた同書は、キックボクシングを命名・創設し、沢村忠というスーパースターに加え、歌手の五木ひろしを世に送り出した伝説のプロモーター・野口修の生涯を描くノンフィクション。日本一の「拳闘士」にして「国士」でもあった父を持ち、戦前から続く政財界や裏社会の多様な人脈を生かしながら、スポーツと芸能の両面でさまざまな興行を仕掛け続けた野口のドラマチックな人生は、そのまま壮大な昭和裏面史となっている。



 今回の受賞にあたって、細田氏は「感無量です。ありがとうございます。10年間の苦労が報われた気がします。天国の野口さんもきっと喜んでくれていると思います」とコメントした。



 松原隆一郎氏は「この希代のプロデューサーはなぜ忘れられたのか。『沢村忠の試合は真剣勝負だったんですか、八百長だったんですか』。誰もが口に出せないできた問いをぶつける著者は、キックボクシングのリングアナも務める放送作家。いわばインサイダーであり、野口の晩年に密着、昭和臭漂う実像に迫っている」(毎日新聞)と賛辞を寄せた。



 大槻ケンヂ氏は「興行、政界、ヤクザ、野口修という一人の怪人を通して昭和の裏側の歴史が大河となって迫ってくるかの面白さ。一気読み間違い無しである」(週刊現代)、高田文夫氏も「沢村は俳優になりたくて日大芸術学部へ入った。私が大学1年で江古田キャンパスの中庭を行くと、私より数年先輩の沢村がいつも吊り下げたサンドバッグを蹴り上げていた。私は授業へ出る足を止めていつも沢村先輩のキックを見ていた」(週刊ポスト)とつづるなど、多くの反響が寄せられている。
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