「一度もない、めったにない、時々、いつも」原題の意味がわかる本編映像公開

「一度もない、めったにない、時々、いつも」原題の意味がわかる本編映像公開

 16日より公開中の映画『17歳の瞳に映る世界』。原題は「Never Rarely Sometimes Always」で、このタイトルの由来となったシーンの本編映像がWEBで解禁となった。直訳すると「一度もない、めったにない、時々、いつも」。



【動画】映画『17歳の瞳に映る世界』本編映像



 ベルリン、サンダンスをはじめ、世界の有力映画祭で絶賛された本作は、予期せず妊娠してしまった17歳の少女たちが向き合う世界を鮮やかに活写した物語。



 ペンシルベニア州に住むオータムは、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこであり唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう…。少女ふたりの旅路は、どの国にも通じる思春期の感情と普遍的な問題をあぶり出す。



 主役のオータムを演じたシドニー・フラニガンは、本作が長編映画デビューでありながら、等身大の演技が絶賛され、第86回ニューヨーク映画批評家協会主演女優賞、第41回ボストン映画批評家協会主演女優賞など、数々の俳優賞を獲得。監督のエリザ・ヒットマンは、性的アイデンティティに悩む青年を描いた第2作『ブルックリンの片隅で』(2017年、Netflix配信)で、2017年サンダンス映画祭監督賞を受賞し、一躍注目を集めた新進気鋭の女性監督。



 公開された本編映像は、プランドペアレントフッド(全米家族計画連盟)でのシーン。プランドペアレントフッドとは、世界的にリプロダクティブヘルス/ライツを提供する非営利団体のアメリカ支部で、全米で約600の施設を運営しており、さまざまな種類のマイノリティや生活困窮者の利用も多い。



 実在の施設で撮影されたこのシーンは、主人公のオータムが中絶手術を受ける前に、診察室でカウンセラーから「相手との関係もきかせて。とても大事なことなの」と問診を受ける。立ち入った質問をするわよ、との前置きのあと「答えは4択。一度もない、めったにない、時々、いつも。テストじゃないから」と優しく語りかけるカウンセラーに、終始表情が硬いオータムも「オッケー」とやっと口を開く。



「この1年間で相手がコンドーム装着を拒否した?」

「相手が避妊の邪魔をして妊娠させようとした?」

「相手に脅された?」

「相手に殴られたり、暴力をふるわれた?」



 これらの質問への回答が4択であるのには理由がある。それは、当事者が答えやすいようにという意図だけでなく、セカンドレイプを防ぐため。性暴力にあった女性からその詳細を語らせることは、セカンドレイプにあたる恐れがあり、当事者本人を傷つけてしまう可能性がある。詳細を聞くことは中絶手術を行うには必要ない情報だが、暴力の有無は再発防止のために必要な情報。施設で働く人々は、徹底されたプロフェッショナルな態度で、やるべきことをする…。そんな姿勢が、実際に中絶手術を受けにきた女性たちへの“優しさ”なのだ。



 「一度もない、めったにない、時々、いつも」から一つ選び、慎重に答えていくオータム。答えづらい質問が続くこのシーンは、緊張感のある撮影となることが予想されたが16ミリによる長回しで撮影された。監督は、少しでもオータム役のシドニーの負担を減らすため、静かで落ち着ける部屋と時間を用意し、後半のシーンに集中できるよう、質問には自身の家族のことを答えるよう伝えたという。



 また、実際にセンターで働く女性がカウンセラーとして出演したことで、よりリアリティのあるシーンとなった。監督は、メディカル・センターに勤めるケリー・チャップマンから「エリザ、中絶は決してただの危機ではないの。家の中で起こっている秘密は、20分では解決できない。妊娠、セクシュアルヘルス、パートナーによる暴力、暴力から安全を確保する方法、すべてが絡み合っている」との話に胸を打たれ、このエピソードを物語に取り入れたと語っている。



 「映画が信頼できるものであってほしい」との願いから、この場面のような会話をこれまで何度もしてきているケリーを、カウンセラー役としてキャスティングしたと明かしている。過度な演出をせず、忠実に再現したことで、観客がひきつけるシーンとなった。

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