青山真也監督、東京オリパラ開催は「国民の生活無視した形で突き進んでいる」

青山真也監督、東京オリパラ開催は「国民の生活無視した形で突き進んでいる」

 青山真也監督が14日、都内で行われたドキュメンタリー映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』公開記念舞台あいさつに登壇した。また、人生2度目の立ち退きにあった同アパート元住人の甚野公平さんも参加した。



【特報】都営霞ヶ丘アパート住民たちのドキュメンタリー



 明治神宮外苑にある国立競技場に隣接した都営霞ヶ丘アパートは、10棟からなる都営住宅。1964年のオリンピック開発の一環で建てられ、東京2020オリンピックに伴う再開発により2016年から2017年にかけて取り壊された。本作は、オリンピックに翻弄(ほんろう)されたアパートの住民と、五輪によって繰り返される排除の歴史を追った。



 冒頭、甚野さんは「1964年、そして今年と2度にわたりまして、住み慣れた霞ヶ丘町、ふるさとから転居せざるをえなくされてしまった者でございます」とあいさつした。



 青山監督は「ちょうどオリンピックが終わり、パラリンピックが控えているわけですが、政治家の方はコロナの感染者数の増加はオリンピックに関係ないと言っているけれど、私はそうは思っていなくて、コロナ禍でオリンピックが開催され、パラリンピックが開催されようとしているというのは、国民の生活を無視した形で突き進んでいるなと思っているのですが、『きちんと生活があった霞ヶ丘アパートがオリンピックによって立ち退きになる』という映画をこのタイミングで公開できて、皆さんに見に来ていただいて、感謝しています」と感慨深げに語った。



 本作のタイトルに込めた想いについて、青山監督は「オリンピックは『参加するもの』『参加することに意義がある』、と“参加”みたいなキーワードと結びつきがあると思うんですけれど、甚野さんさんはじめ住居を追われてしまった方々の引っ越しの様子がとてもとても悲しい『オリンピックへの参加』のように見えてくる場面が多かったので、まずオリンピックと名付けたかったんです。2017というのは、霞ヶ丘アパートが解体された年になります。『東京オリンピックの霞ヶ丘アパートの会場』と名付けると、いろいろ気づきもあるのではないかと思ってこのタイトルをつけました」と説明した。



 甚野さんは、1964年の東京オリンピックの再開発で立ち退きを要求され、このアパートに移り住み、また今回のオリンピックで立ち退きに遭った。「2度の立ち退き。率直な話、もっときつく言いますと強制立ち退き。そんな風に今回は感じました。というのも、最初のオリンピックの時は、丁寧なあいさつがありました。知事から手紙が来たりしました。ところが今回は、間近になってから、オリンピックだからどいてくれよという感じで、私どもへの連絡があったので、2度を通じて考えてみますと、今回のオリンピックは、なんとおそまつな手順で進めてくれたんだ、我々に対する理解する気持ちが何も感じられなかったな、という風に感じるオリンピックでした」と語った。



 本作のどういう点に注目して見てもらいたいか問われ、青山監督は「住んでいる方々の生活を撮影させていただいた映画ですので、生活風景をしっかり見ていただければと思います」とした。甚野さんはこの映画を通して「オリンピックをやるということは確かに平和の大切な行事の一つだと思います。しかし、それを行うことによって、その陰で、悩み、悲しみ、つらい想いをしている者がいるということも気がついてほしいと思います」とメッセージを送った。
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