映画『MINAMATA』はセルビア&モンテネグロで撮影 その理由は?

映画『MINAMATA』はセルビア&モンテネグロで撮影 その理由は?

 ジョニー・デップが製作/主演を務める映画『MINAMATA―ミナマタ―』(9月23日公開)。この映画は、1970年代の熊本・水俣が舞台だが、現在の水俣は当時から大きく変化していたため、セルビアのベオグラード港の倉庫でのセット撮影と、モンテネグロのティヴァトという海岸沿いの街でロケ撮影が行われた。



【動画】映画『MINAMATA』WEB限定予告編



 本作は、報道写真家ユージン・スミスが、日本における“四大公害病”のひとつ水俣病を取材するため1971年に来日し、のちにその悲劇を世界に知らしめ、自身の遺作となった写真集「MINAMATA」を出版(75年)するに至るまでの実話をもとに映画化したもの。



 監督のアンドリュー・レヴィタスは撮影前の2018年にプロデューサーらと水俣を訪れ、今も闘病中の患者や家族と対面し、この出会いで「水俣の人々を正しく描こうと決意した」と語っている。しかし、今の日本で“70年代に見えるロケーション”を見つけるのは至難の業。水俣も例外ではなかった。水俣でのロケーション撮影はごく一部に限られ、撮影監督は「セルビアのセットで内装を撮影し、その後モンテネグロで外観を撮影した」と説明している。



 ロケ撮影は、13世紀に建てられた修道院と、小さな難民のコミュニティがあるティヴァトの“花の島”で行われた。ここでの映像が水俣湾と見事にマッチし、まるで日本で撮影したように見えるほど、70年代の水俣を見事に再現した。



 今月18日に、水俣市でプレミア上映会が開催されるが、地元の人たちも驚くのではないだろうか。水俣上映実行委員メンバーの小泉初恵氏は、「全国公開を前に水俣で上映会ができることをうれしく思います。水俣には映画館がないので、映画のために普通は遠方に出かけなければなりませんが、この映画はぜひ多くの水俣市民と一緒に観たいと思い水俣での上映会の準備を進めてきました。当日はたくさんの人に来ていただき、これまで水俣病と距離を置いてきた人や関わりがなかった若い人にも、映画を純粋に楽しんでもらいたいです」と、コメントしている。



 では、現在の水俣はどうなっているのか。地元から寄せられた、水俣の魅力について紹介する写真とコメントも届いている。広大な海に映える美しい夕焼けが印象的なのは、水俣市の海沿いに位置する「湯の児」。温泉旅館が立ち並び、絶景を一目みようと多くの観光客が訪れる場所だ。地元の人たちからも「凪の水俣の海は特に好き。」「海が美しい。」といった声が上がる。



 爽やかな青空と不知火海のもとで、実りゆく甘夏みかん。「安心なおいしいみかんがあること!」と地元の方も誇る特産物だ。酸味と甘味のバランス、さっぱりとした清清しい味がその魅力。和モダンな雰囲気のゲストハウス「Tojiya」では、旅の疲れを癒してくれる源泉かけ流し温泉も。そして、「良い景色を守る面白い人がいるから好きです。」「水俣には海も山があり、そしていい人たちがたくさんいる。」といったコメントもある。



 ジョニー・デップは先日行われた日本側とのオンライン取材で、次に来日したら「まず水俣に行きたい。そして、水俣の皆さんに私の敬意を表したい。そしてお礼を伝えたい」と語っていた。実現することを願うばかりだ。



■役者を超越したジョニーの姿がこの映画の中にある



 本作で主演を務めるジョニー・デップは多くの人が知る世界的ハリウッドスター。ティム・バートン監督との初タッグとなった『シザーハンズ』で顔面蒼白、ハサミの手をもつ人造人間という奇抜なビジュアルで一躍有名になり、『ギルバート・グレイプ』や『ショコラ』など、良質なドラマ作品にも数多く出演。メジャーからインディーズまで幅広いジャンルで活躍してきた。



 2000年以降は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでの酔いどれ海賊ジャック・スパロウ船長、『チャーリーとチョコレート工場』のおかっぱ工場長ウィリー・ウォンカや、『アリス・イン・ワンダーランド』のおかしな帽子屋マッドハッターなど、クセが強めながらも世界中で愛される数々のキャラクターから、実在の犯罪者を演じた『パブリック・エネミーズ』や『ブラック・スキャンダル』など色気すら漂う伝説のアウトローまで。作品ごとにまったく異なる表情を見せる。



 そんなジョニーが日本の熊本県水俣市を舞台にした本作で、水俣にすべてを捧げ、命を削りながら撮影を続けた伝説の写真家ユージン・スミスを演じている。今回、主演だけでなくプロデューサーとして製作にも携わることを熱望したジョニーは、長年憧れだったユージンの遺志を引き継ぎ、この映画がまさに今の時代につくられるべき作品だと明言する。



 映画でのジョニーの姿は、まさにユージンそっくりだ、と当時のユージンを知る人たちからも感動の声が上がっている。ジョニーの長年の友人であり、ビジネスパートナーでもある製作のサム・サカールは「私は人生のほとんどで、彼が素晴らしいキャラクターを生み出すのを見てきた。だが、本作での彼は、そんな私まですっかり驚かせてくれた」と感嘆の声をあげる。長年のパートナーですら見たことのない、役者を超越したジョニーの姿がこの映画の中にある。



 WEB限定で公開された予告映像では、「私にとって一番の挑戦は実在人物を演じる責任だった」とジョニー自身が本作を振り返る。続けて日本人キャストがジョニーの演技を称賛。「そこに居るだけでユージンに見えてくる」と真田広之が語り、國村隼も「ユージン役はジョニー・デップしかいない」と絶賛。ジョニー・デップが映画をとおして伝えたかったことは一体何か、自分の目で確かめてほしい。

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